34.みんなの色
Tips:クラス認定基準
Sクラスの指定の際とAクラス以下の認定の際は参照される基準点が少し異なる。今回は、参照される基準点と本編で登場した実例を公開する。
・Aクラス以下の認定基準
以下基準点の一つ以上を満たせば該当するクラスに認定される。満たしていなくとも複合的に考慮され認定される場合もある。
「最大破壊規模」
全力で能力を行使した際の破壊半径。殺傷力に直接関わる基準であるため最も優位に考慮される。町一つ以上でAクラス。
→例:舵原良也
「対人制圧能力」
特に対人戦で有利に働く能力、もしくは技術を有している。防御の不可能性と効力の絶対性が肝となる。
→例:綾取廻(初登場時)
「不死性および継戦能力」
防御力が高い、防御・治癒系能力を有している、疲労しづらい。もしくは特定の性質に対して有利に働く能力を有している。明確なボーダーは無く、その他要因と併せて考慮される。
→例:舵原良也、天道舞香、斑目詩織、白井響香など
「能力に直接干渉する能力」
与奪、無効化、模倣など、能力に直接干渉するものの判断は周辺の人物が持つ能力や干渉する条件に依存する。
「身体能力」
飛び抜けて身体能力が高い場合、能力と同列のものとして考慮されることがある。
→例:斑目詩織、井桁蒼太など
「“理”に干渉する能力」
自身や他人ではなく、世界やそのルールに直接干渉出来る能力を持つ場合。
→例:五十嵐伊織、佐藤ヒロシ、佐藤タカシなど
「その他の要因」
能力と技術が噛み合っている場合や、周辺の環境と能力が噛み合っている場合など。能力に合った武具を保有している場合も含まれる。また、先述の基準に当てはまらない場合も対象。
→例:舵原良也、宮本双葉、五十嵐伊織など
・Sクラス指定基準
Sクラス指定基準はただ一つ
「独力にて一国の軍事力を壊滅に追いやることが出来る」
この場合の“一国”は日本国を指す。
現在のSクラス能力者が上記の基準を満たしているかの判断に用いられたのは以下の基準点である。
「最大破壊規模」
首都を物理的に破壊出来る場合。もしくは最大破壊規模が不明な場合。
→例:有巣仁理、天道穂香、炎藤乾太
「対人制圧能力」
自衛隊や警察など自身を制圧しようとする勢力を武力以外の何らかの手段を用いて抑止出来る。
→例:有巣仁理、綾取廻
「能力に直接干渉する能力」
相手の能力を完全に無効化出来る、もしくは奪える場合、能力発動の条件にある程度の絶対性がある、または効果に優位性があるとSクラスに指定される。
→例:有巣仁理、柊黒彦
(特殊な例)「周囲の環境」
模倣能力者がSクラス指定基準を満たす能力を模倣している場合。
→例:無堂瑞希
街中を歩くラフな装いの男が一人。
「右玄!いい魚が入ってんだ!」
「悪ぃ、用があるんだ。」
「あら右玄ちゃん。どこかへ出かけるの?」
「あぁ、行くとこがあってな。」
新城右玄。後に、Sクラスに指定される能力者である。
数分ほど歩いた後、新城は周囲の物が静止していることに気付いた。
(時間停止ってフィクションじゃねぇんだな...)
「新城右玄くんだね。」
振り返るとそこには、金属の仮面を着けた男。
「柊黒彦か。指名手配犯が俺に何の用だ。」
「君は選ばれたんだ。」
柊の突拍子もない発言に、新城は怪訝な顔。
「何に。」
「神に、だよ。」
新城は鼻で笑う。
「神なんか信じてんのか。あんなもんただの子供騙しだろ。」
大きな声で笑う柊。
「違うさ!君が神に“成る”んだ。」
次の瞬間、新城の耳に鳥の声が届く。
柊の姿は無い。新城は舌打ちする。
「煙に巻かれたか。」
新城がアジトの戸を開けると、豪勢な食事を囲んで11人の男女と一匹の精霊が談笑している。
「来たぞ。」
「それじゃ、始めましょう!」
率先して皆の前に立つのは宮本双葉。
「皆さん!今回は大きな被害...はあるけど、なんとか解決できて良かったですね!」
「何でお前が仕切ってんだ。そこのオカッパがリーダー格の筈だろ。」
「オカッパ...」
新城の指摘は的確である。オカッパ、もとい有巣仁理がこの中で最も強く、リーダーの経験もある程度ある。(そもそもこの作品の主人公である。)
「ま、まぁ...そうなんですけどね...」
「ほらぁ、有巣さんが不甲斐ないから宮本さんが困ってるじゃないですか。」
そう指摘するのは無堂瑞希。
「知らん。俺が集めた訳じゃねぇし。」
「他責は良くないですよ〜。」
「いつも責任の方から飛び込んで来るんだが...」
有巣は困り顔。見かねた斑目詩織が割って入る。
「ま、まぁ、大いなるなんちゃらには大いなるなんちゃらって言うし。」
「大事なところが“なんちゃら”になってる!?」
「コホン!」
宮本が注目を集めた。
(今「コホン」って言ったな。)
(今「コホン」って言いましたね...)
(「コホン」って口に出す人居るんだ...)
(まだ食べちゃダメなのかな。)
「今回の件を経て、我々に新たに3人の仲間が加わることが決定しました!拍手!」
天道舞香と白井響香が拍手する。しかし他は微動だにしない。
「まーた子猫を拾ってきてしまったのか。」
「有巣も連れて来たよね。」
と斑目。
「勝手に着いてきただけだが?」
「うっわ他責じゃん。」
「静粛に!」
一層大きい声の宮本に、一同は再度注目する。
「新メンバーに自己紹介をしていただきましょう!」
宮本は井桁の肩を叩き自己紹介を促す。
「あー、俺は井桁蒼太。非能力者で、有巣と舵原に助けてもらったんだ。...まぁ、アパートはぶっ壊れてたけど...」
まばらな拍手。
「新城右玄。」
「......それだけ?」
「他に何を言うんだよ。」
「ほら、能力...とか...」
「無闇に能力を開示すべきじゃない。Sクラスが複数人揃ってるこの場なら尚更。」
有巣の指摘に苦い顔をする宮本。
「でも!知ってた方が連携とか」
「必要無い。」
新城にキッパリと否定されてしまった。
「新城さんは、出雲に出現した神格実体の基礎になってたんですよ。」
「ほう。」
無堂の言葉に、有巣は興味を示す。
「実体は討伐したのに基礎は壊れてねぇのか。」
「俺はちっと頑丈だったみてぇだ。」
「へぇ...」
有巣には思う所があるようだ。
「では最後!」
しかし、宮本が思考を遮る。
「はい!私は酢漿菜々!能力は『才食権備』!よろしくお願いします!」
「『才食権備』?」
「食った物の性質を模倣する能力。蝿食って乗っ取られてた。」
あはは...と頭を搔く酢漿。
その後、宮本の音頭で乾杯し、祝賀ムードで食事会が始まった。
「何なのよあの人間...」
悪態をつきながら魔界を歩く悪魔。その背後に迫る男が一人。
「駄目じゃないか。他人の名前を騙るなんて。」
アジトの二階、自室のベッドでくつろぐ有巣。
「寝苦しい夜だな。」
ドアを開けたのは無堂瑞希。
「魔力ダダ漏れだぞ。」
「良いじゃないですか。戦国時代でもないんですし。」
「戦国時代は寧ろ一騎打ちの時代なんだから魔力ドバドバの存在感マシマシだろ。」
有巣は寝返りをうち、無堂と目を合わせる。
「そういえば、魔力の相性が悪いと不快に感じるらしいですね。」
ドアを閉める無堂。
「......ニヤニヤすんな。キショい。」
上体を起こし、ベッドの下からカゴを引き出す有巣。
「菓子食う?」
「結構です。」
「遠慮すんなよ。」
「いや今何時だと思ってるんですか。太りますよ。」
「その言葉そっくりそのまま返すぞ。」
スナック菓子の袋を開ける有巣。
「良いですね〜男は楽で。」
「例え俺が女でも同じことしてたよ。」
口いっぱいに菓子を頬張る。
「んで、用件は。」
「出雲の神格実体の件です。『祈りの御手』が取り込まれてしまって、討伐後も消失したままです。」
「アンブラハンズ...?知らんな。」
「...はぁ?貴方が寄贈したんじゃないんですか...?」
有巣は首を傾げる。
「心当たりが無いな。どんな見た目?」
「ミイラの手みたいな感じです。こう、祈るポーズみたいな。」
「あー...それか...たぶん流木だな。」
「...え?」
「めっちゃ良い感じの木拾ったから影山...陰陽省の宗主に渡したんだよ。」
「え、じゃあ、あの霊力は...?」
「さぁ...でけぇ神社の地下にでも仕舞ってたんだろ。」
「えぇ...何のために...?」
「知らん。俺に訊くな。」
「じゃあ私たちは何でもないただの流木が霊力を吸っただけの物を守ろうとしてたんですかね?」
「ただの流木じゃないぞ。めっちゃ良い感じの流木だぞ。」
「どっちでも良いです。」
「どっちでも良いか。」
その時、部屋のドアがノックされる。
無堂が「やれやれ」といった様子でドアを開けると、そこには綾取廻が居た。
「こんばんは。」
「綾取さん。こんな時間に何の用ですか?」
「夜這い。」
「だそうです。」
「追い返して。」
「だそうです。」
「わかった。お休み。」
素直に引き下がった綾取に、無堂は拍子抜けする。
「あっさり引き下がるものなんですねぇ。」
ドアを閉める無堂。
「有巣さんはそろそろ背中刺されそうですね。」
「俺の背中刺せたらそいつが俺のフィアンセだよ。」
「逞しいですね...」
有巣はスナックの空袋をゴミ箱に入れる。
「どうして追い返したんですか?私に気を使いましたか?」
ギシ、とベッドが音を立てる。
「色には興味が無いんだ。」
ゆっくりと息を吐く有巣。
静寂が耳を突く。
「......有巣さん。」
「どうした。」
次の言葉が出て来ない。
「無堂。」
有巣は視線を上げる。しかし目は合わない。
「俺は色に興味が無いんだ。」
その時、無堂が有巣に歩み寄り肩に手を掛けた。
そのまま、ベッドの上に押し倒す。
数秒ほどの沈黙。
「......抵抗しないんですか。」
「...抵抗したら、どうなるんだ?」
手に込めた力を抜く無堂。
「...すみません。」
早鐘を打つ動悸の中、無堂は有巣の部屋を後にした。
「ヘタレが。」
「うるさい!!」
クラスを変更された者
・井桁蒼太:クラス認定無し→A
・新城右玄:A→S
・酢漿菜々:C→S
有巣陣営のクラス認定/指定まとめ
・Sクラス
有巣仁理
無堂瑞希
天道穂香
綾取廻
新城右玄
酢漿菜々
・Aクラス
舵原良也
井桁蒼太
斑目詩織
宮本双葉
・Bクラス
天道舞香
白井響香




