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あの果てしない空の果て  作者: kai
妖魔黎明編
31/39

31.徒花

Tips:神格実体は能力で対処できる?

結論から言えば、神格実体には既存の能力が通用しない場合がほとんどである。これは天道穂香に綾取廻の『支配』が通用しなかったのと同じ原理で、規格外のエネルギーに能力効果が跳ね除けられてしまう現象によるものである。

また、神格実体の用いる能力が規格外のエネルギーにより強化され、本来の相性を無視する現象も確認されている。例えば、神格実体S-01はとてつもない高温の炎で水や氷の能力を無効化していた。

具体的な対抗策は「莫大なエネルギーを得る」か「神格実体同士をぶつける」の2択である。現在は天道穂香が人類に友好的であることに加え、神格実体同士をぶつけるのは例え有巣でも危険かつ現実的ではないため、前者の手段が採用される。

「有巣さんの...!?」

『祈りの御手』が元々有巣仁理のものであったという事実に驚愕する一同。

「で、でも有巣くんの手は両方あるよね...?」

宮本双葉の言葉に白井響香が共感を示す。

「え、もしかして4本腕だったとか...?」

「そこまでは知らないな。」

病葉煉次は苦い顔。

「少なくとも高校時代には既に2本腕だった。この手の大きさ的にある程度成長してからだとは思うが、本人に訊いても『俺の腕だ』としか言わない。」

不可解な事実に一同は首を傾げる。

「『俺の』というのが『元々俺に付いてた』じゃなくて『俺が手に入れた』なのでは?」

そう言ったのは詩柄唯織。確かに、と無堂瑞希は納得を示す。

「『呪手』の効果で切り取られる腕の範囲と一致してますし、詩柄さんの言う通りかもしれませんね。」

「まぁ、考えてもしゃーないやろ。コレが防衛の要なんは事実なんやし。」

「そういえば、その神器の目的って何なんです?」

無堂の質問に驚愕する覗魅慎也。

「嘘やろ!?何も知らんと護衛しよ思てたんか!?」

「何かあっても自分なら大丈夫だろうというSクラス特有の楽観視か。気楽なものだな。」

「そんな言います...?」

病葉の言葉が無堂に突き刺さる。

「ま、まぁ、強いから大丈夫なんだよね!」

「白井さん...余計惨めなので...」

結局、論点がずれて無堂は神器の目的を聞けずじまいだった。


地下を出た一同は移動経路を確認するべく病葉の携帯を覗き込む。

「現在地は島根県出雲市。ここからヘリを使って京都にある陰陽省本部まで移動する。」

「能力で飛ぶのはダメなんですか?」

「駄目だ。『祈りの御手(アンブラハンズ)』の持つエネルギー量が多すぎてバグを起こす可能性があるからな。」

病葉の携帯から一同が顔を上げた次の瞬間、全員の携帯がけたたましい警報音を上げた。

「えっ!?何!?」

それぞれ携帯を取り出し画面を確認する一同。


⚠警報

《Sクラス能力者・綾取廻の権限により発令》

神格実体の出現が確認されました。該当地域の方は速やかに避難してください。

該当地域

・東京都

・島根県

また、Sクラス能力者は以下で指定する場所で神格実体の対処にあたること。

有巣仁理:東京都新宿区

天道穂香:島根県出雲市

無堂瑞希:島根県出雲市

綾取廻:島根県出雲市


「これは...!?」

「何やアレ...!?」

覗魅の視線の先を見る一同。

そこには、茎が捻れて手足のように伸びた花が佇んでいる。

(この黒い煙...凄い霊力ですね...)

その時、無堂の左に無数の手が寄り合わさって生える。

「Aクラス以下の者は避難して。」

手の中から現れたのは綾取廻。首に『呪手』を付けている。

無堂が素早く掌印を結び結界を張る。これは結界外の事象を結界内の者に認識させない結界だ。物理的な断絶は弱いが、Sクラスが2人居れば逃げるまでの時間稼ぎにはなる、という無堂の判断である。

「ありがとう、無堂ちゃん。」

無堂は先程の病葉の「楽観視」という言葉を反芻する。

「感謝の言葉は要りません。今目の前に居るのは、」

花の前に霊力が凝集し、痩せた黒い人影が現れた。

「...恐らく、恐らくですが...私たちじゃ勝てないほど、強いモノです。」

空気が緊張する。

顔の無い顔が2人のSクラスを仰ぐ。

神格実体に動きは無い。

無堂が息を呑む。

「......!」

無堂は、実体の右手に『祈りの御手』が握られていることに気付いた。

「綾取さん!!」

時すでに遅く、実体は一対の腕を胸元に押し付け、取り込んでしまった。

一方、綾取は。

「...居ない!?」

突如、黒い実体は霧散してしまう。

霊力は溢れない。むしろ、集約されて花の方へと流れていく。

(......マズいですね...!)

複製能力『解析』『第六感』が警告を告げる。

花が多量の霊力を纏い黒く染まったその時。

「瑞希さーん!」

底抜けに明るい声。そして青い魔力。

「マーゴさん!」

無堂の隣に現れたのはまじかる☆マーゴ。

「準備できました!今接続しますね!」

「接続...?」

花が一度萎む。

無堂の身体を魔力が駆け巡る。

「これは...?」

「マーゴの能力です!今、双葉さんと響香さん、それと廻さんと舞香さんと穂香さんと詩織さんと接続してます!」

「え!?いやどういうことです!?」

重低音。地面が隆起し、蕾が肥大化を始める。

「今ならワンパンできるハズです!さぁ!やっちゃってください!」

「な!?ちょっと!?」

マーゴの鼓舞を受け、無堂は自らの拳に魔力を込める。

「...ヒーローは嫌いなんですけどね。」

『無尽蔵』と『核融合』の煽りを受けて魔力が膨張する。同時に、ブチブチと嫌な音がこめかみに響く。

(怯むな!『超速再生』がある!!)

花が開き始める。

瞬間、

『閉じろ』

再度、花が萎む。大量の魔力により、本来なら効かない能力を無理矢理通したのだ。

力強く踏み込む無堂。衝撃で僅かに地面が抉れる。

「ぶっっっ飛べぇぇえええ!!!!」

花と茎の間に拳が激突する。

霊力と魔力が対消滅し、余剰分の魔力が弾ける。

爆発。大きく弾き飛ばされた無堂は受け身に失敗し、大木の根元に衝突した。

「痛ぁ...く、ない...」

無堂は、マーゴの能力により負傷を等分されている、ということを思い出す。

(...誰かの頭にたんこぶが出来たりしたら申し訳ないですね......)

常在能力である『超速再生』が共有されているため杞憂である。

視線を上げる無堂。正面には、攻撃の余波で抉れた地面と、黒い煙が見える。

見る限り、神器『祈りの御手』も消失している。

静寂の中、立ち尽くす無堂。神器運搬の護衛任務と神格実体の出現事件は、部外者の一撃で終了してしまったのだった。

Tips:舵原良也の趣味

舵原良也には特にこれといった趣味が無い。というより、やりたい事を見付けるだけの発想力が無い。そのため、余暇が出来たら迷わず有巣の元へ向かう。

有巣が暇じゃない時は街を徘徊する。そして適当なチンピラやヤンキーに肩をぶつけ、突っかかって来た者を殴って遊んでいる。舵原曰く、「後ろめたいことがある人を殴れば警察に駆け込まれない」らしい。

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