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あの果てしない空の果て  作者: kai
魔法少女☆有巣仁理編
19/39

19.魔力と体力

Tips:能力の成長

能力の応用には、能力者本人の体験や好みなどが大きな影響を与える。例えば、綾取廻の『支配』は有巣と一緒に観たアニメの影響を大きく受けている。

「改めてまして、まじかる☆マーゴです!よろしくお願いします!」

「マジカルマーゴ...」

宮本双葉が復唱する。

「有巣くんが言うには、マーゴは精霊なんだよね。そもそも精霊って何なの?」

「簡単に言えば、魔力の塊だな。生物の生命活動から湧いた残滓の堆積物。流れの中に出来た吹き溜まり。」

「吹き溜まり?なんで?」

「時間が経てば自然消滅するからだ。生物の特性を持たない精霊は自分で魔力を生み出せないからな。」

「え!?じゃあマーゴ死んじゃうじゃん!!」

宮本の言葉を聞き、マーゴは涙目。

「そんなぁ...」

「ねぇ!かわいそうだよ!どうにか出来ないの!?」

「さぁ?受肉してるから別に大丈夫なんじゃね?」

呑気な有巣。

「消えちゃう可能性は無いの?」

「知るか。受肉した精霊なんて初めて見たし。」

「酷い!人の心とか無いの!?」

はぁ、と溜め息をつく有巣。

「...契約だな。」

「契約?さっき言ってたやつ?」

マーゴが言っていた、「マーゴと契約して魔法少女になってよ!」という言葉を思い出す宮本。

「関係ない。それは恐らく魔力と一緒に食った何かの記憶だろ。アニメかなんかの。俺が言った“契約”は式神契約のことだ。」

「式神契約?」

またしても聞きなれない単語に困惑する宮本。マーゴは終始置いてけぼり。

「式神の魔力は(あるじ)に依存する。要は、自分で生み出せない分を人間に作ってもらおうってことだな。」

「なるほど!!」

マーゴの表情が明るくなる。

「じゃあ人間さんと契約します!」

宮本は期待に満ちた表情で有巣を凝視している。一方、有巣は悩んでいた。

(この場で魔力を扱えるのは俺だけだが、戦力的には宮本に持たせたい。寧ろ俺が持つと『 』との噛み合いが絶望的に悪い可能性があるな...)

「マーゴ。」

「はい!何でしょう?」

「お前、能力は?」



次の日。

「生命エネルギー...と便宜的に呼ばれるソレは、人間の生命活動に使用されるエネルギーだ。そして、」

有巣は大型の魔獣を片手で弾き飛ばす。

「能力の行使に使われるのはその残り。魔力も同じく、余剰分の生命エネルギーを練ることによって得られる。」

有巣の横に着地する宮本。

「“練る”?」

「それ以外に形容のしようがない特殊な操作だ。まずは生命エネルギーを自覚するところからだな。」

有巣の身体を包む白いモヤ。

「見えるか?」

「むむむむむ...」

眉間に皺を寄せる宮本。段々白いモヤが見えるようになってくる。

「なんか...白いような...」

「ソレだな。」

能力『会心(クリティカル)』の効果による影響で、宮本はエネルギーを知覚しやすくなっている。加えて、

「一般的に、コレは女体の方が多く持つと言われている。」

「なんで?」

片手間で魔獣を弾き飛ばす有巣。

「妊娠の用意があるからだ。自分の身体の中で別の命を支える必要があるから、それ用のエネルギーだな。逆に、妊娠していない時は余剰分になる。」

「そ、そうなんだ...」

反射的に自分の腹を撫でる宮本。

「意識すんな。気色悪い。」

「有巣くんが先に言ったんでしょ!?」

片手間で魔獣を切り裂く有巣。

「私のエネルギー...そんなに多くないかも...」

「いや、そんなこと無いな。」

「でも有巣くんの方が多いじゃん。」

「俺は能力用のエネルギーが多めに必要だからその分だろ。」

有巣の持つエネルギーは宮本のそれと比べるまでもないほど膨大である。

「でっかぁ...」

「“多い”だろ。」

有巣の手が魔力を帯びる。

「密度を高める...だから、圧縮か。とりあえず手に集めてみればいい。」

有巣は手を銃の形にし、魔獣に向けて魔力を発射する。

「こう!」

宮本の手には何も起きない。

「えい!!!」

またしても何も起きない。

「先は長そうだな...」



メガホンを構え、大量の魔獣と相対する綾取廻。

「『死ね』」

魔獣が一斉に倒れる。

「あの量を一発で殺して反動も無し...!?あの女、何者なんだ...?」

一方、綾取はというと、

(有巣くんと一緒に戦いたかったなぁ...)



「これ、お昼ご飯。置いておくからね。」


「そういえば、今日試験なんだぁ。だから...」


「む、無理だよ!今から行かなきゃだから...」


「...それは...ダメ...だよね...わかった...」



走って来る白井響香。

「貴女がギリギリになるなんて珍しいですね。」

「あはは...ちょっとね。」

無堂は違和感を持った。真面目な白井が集合時刻ギリギリに慌てて来たこと、白井は全力で走ったのに息が切れていないこと、そして、首筋の痣。

(昨日はキスマークかと思いましたが...この大きさは流石に違いますよね...?経験が無いのでわかりませんが。)

無堂の脳裏に様々な疑問が浮かぶが、それらを口にする前に号令がかかる。

「今から2次試験を開始します。」

試験官は獣人型で、背の高い女性...

(斑目さん!?)

準備運動をする斑目詩織。

「かかっておいで。5分後に立ってた人が合格ね。」

何を言っているのか理解出来ない者がほとんどである中、奇抜な格好の男が前に出る。

「キミがボクを楽しませてくれるのかい...?」

白塗りの顔にピエロのようなメイク、カラフルな髪と不釣り合いな黒のライダージャケット。男は、日本刀を舐めている。

(あの感じで刀なんだ...)

「いつまでもつかな!!!」

刀が空を切る。次の瞬間、男は膝蹴りをもろに喰らい倒れた。

「次。」

斑目の顔から笑顔が消える。

次から次へと挑戦者が倒れていく。無堂は白井を制止し、様子を見るよう促した。

「闇雲に攻めるから負けるんです。近接で数の有利を取れるのは攻める側が雑兵のみの場合ですから。」

あっという間に受験者は無堂と白井のみになる。

「...あ。やり過ぎた...」

頭の後ろをかく斑目。

「...ま、いいか。」

振り向いた斑目の眼が白井を捉える。

ぎこちなく構える白井。しかし、次の瞬間には腹を殴られ膝をついてしまう。

斑目の顔が眼前まで迫る。ブラフだ、と読んだ無堂は身を捩り、背後からの蹴りを避ける。

「やるね!」

一度に2つ以上の能力を使用することは出来ない。それは無堂の複製能力においても同じである。しかし、常在能力であれば話は変わる。

(『恵体』がコピー出来れば楽なんですけどねぇ...)

しかし、無堂が『恵体』を模倣することは出来ない。何故なら、無堂の能力『模倣』の発動条件は「相手の能力が発動する瞬間を見る」ことであるためだ。『超速再生』のようにカウンター型で発動する能力なら可能だが、『恵体』は常に肉体にかかる能力であるため、理論上は発動の瞬間を見ることが不可能だ。よって、無堂は自身の手札で勝負するしかない。

「『止まれ』」

しかし、曲がりなりにもSクラス。

「なッ...!?」

不自然な体勢で静止した斑目が膝をつく。

「...これは...?」

「綾取さんの能力です。精度は高くありませんが、この程度なら使えます。」

「ハハ!合格!」

斑目が出した条件は“5分後に立っていること”。条件達成までの5分間、何をしていようが関係無い。

そこで、白井が立ち上がった。

「......?」

「舐めないでください...!」

咳き込む白井。一方、斑目は警戒心を剥き出しにしていた。

(私は割と本気で殴った...腹筋の抵抗感も無かったし気を失うと思ったんだけどな...)

そこで、斑目は天道と有巣のことを思い出した。2人も筋肉質な方ではないが、天道は身体適格で、有巣は異常な胆力と根性で立ち上がっていた。

(何事にも例外はある...そういう能力なのか、それとも気概があるのか...)

斑目の心中で、ある思いが首をもたげていた。

「戦うだけ、だよね。」

神器の召喚にエネルギーや特殊な操作は必要ない。故に、余剰分の生命エネルギーが無い斑目であっても神器の召喚は可能である。

「神器召...」

その時、タイマーが鳴った。

「...あ。」

「...じゃあ...2人とも合格。」

「...あぁ...」

気が緩んだ白井が再び膝をつく。

「じゃあ、明日の3次試験は違う場所だから、ちゃんとメールを確認するようにね。」

倒れている他の受験生を避けながら会場を後にする斑目。

「...大丈夫ですか?」

「......大丈夫...じゃないかも...」

おっぷ、といやな音を口から出す白井。

「...白井さん?」

Side:天道穂香

天道「魔獣の数が多いですね...」

返り血に(まみ)れて真っ赤になった天道。

息は切れておらず汗もかいていないが、そろそろ飽きてきたようだ。

天道「......」

喋ってくれません?本編に出せないので...

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