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あの果てしない空の果て  作者: kai
綾取廻編
11/13

11.夜が明けるまで

Tips:『不動の装衣』

綾取廻が有巣仁理と接敵した際に着用していた装備。有する能力はDクラスの『耐性強化』。装備者へのダメージを軽減する効果を持つ。

なお、有巣のめっちゃ強い蹴りにより壊れた。

「綾取廻ちゃんだね。」

金属を撫でるような声。綾取廻は振り返り、鉛でできた義眼を見据える。

「何の用ですか?」

微笑みを崩さない綾取。彼女の目線は一瞬だけ、空中で静止している雀を確認した。

「やってくれたね。まさか私が嵌められるなんて。」

数日前、事件の発端となったその日、綾取は柊黒彦に接触し『支配』の影響下に置いた。その後、柊は幻覚の有巣と接敵し、綾取の能力と同質の効果を持つ光を放った。

その後、不特定多数に当てられたその光の影響は三星会玄武組により除去された。それにより、民間人への被害は殆ど無かった。

「いやあ、素晴らしいよ。是非欲しい。もし良ければ、私と共に来てくれないかな。」

不気味な笑顔を崩さない金属製のマスク。

対して綾取は毅然としていた。

「遠慮します。私にはしたいことがあるので。」

「そうか、残念だよ。君とは良い仕事仲間になれそうだと思ったんだけどね。」

全く残念そうではない声で言い、柊は踵をかえす。

「殺さないのですか?」

「あぁ。殺さないよ。君は既に有巣くんの庇護下にあるからね。彼とは相性が悪いんだ。私の能力が通用しない。」

一方的に話した柊は、黒い煙と共に消えた。

数秒後に響いた正午を告げる時報は、綾取の耳に軽やかに届いたのであった。



「お邪魔しまーす。」

「邪魔すんなら帰ってー。」

「はーい。」

図々しくも有巣仁理の隣に座る綾取。向かいのソファの無堂瑞希と天道穂香には、特に綾取を警戒する様子も無い。

「...警戒しないの?」

沈黙を破ったのは綾取の疑問符だった。首を傾げる綾取に、無堂は気まずそうな顔をする。

「......まぁ...こっちの方がキルレ高いので...」

実際、有巣陣営に死者は居ない。舵原良也と天道舞香、そして斑目詩織の3人も、後遺症により療養中ではあるものの命に別状は無い。

そこで、あることを思い出した有巣は、

「そういえば、柳壊ってどうなった?」

と3人に聞いた。綾取との和解の後、有巣はアパートの前に戻って確認したが、そこに柳壊は居なかったのだ。

無堂と天道が顔を見合わせる。有巣は綾取に視線を向けるが、綾取は「知らない」と首を横に振った。

「......柳壊の能力って何。」

質問する有巣。

「確か、『分解』だったかな。詳しい効果までは聞いてないけどね。」

綾取の返答に、有巣は「あー...」と思わず声を漏らす。

「こりゃ柊の仕業だな...」

あぁ...と無堂。柊黒彦の能力は『能力与奪(アドミニストレータ)』。能力を奪い、奪った能力をストックし使用したり他者に与えたりすることが出来る能力である。

そういえば、と綾取は柊との接触を3人に伝えた。有巣曰く、目を付けられたな、とのことらしい。

「綾取の能力は強いからなぁ。しばらく単独行動は避けた方が良い。」

有巣の言葉に付け入る隙を見つけた綾取。

「じゃあ、有巣くんが守ってくれる?」

「んー...気が向いたら。」

はぁ、と溜め息をつく無堂。無堂の見立てでは、途方もない道のりである。

一方で、見慣れない美人に終始ビビり散らかしている天道であった。



「クッソ...!綾取...何処に居る!!」

壁に手をつき、息も絶え絶えな五十嵐伊織。首には一本の痣が通っており、仮面の外れた素顔は荒れてボロボロである。

「おのれ無堂瑞希...!よくも俺の能力を...!」

無堂が水着アンシャを引いたのは五十嵐の能力『引き寄せの法則(イノセント・ドリーマー)』の摸倣による結果ではない。何故なら、神器を使わなければ複数能力の同時使用は不可能であるためである。つまり、無堂は五十嵐の因果律操作をすり抜け、自前の豪運で0.3%を引いたのである。

五十嵐はギリギリでブラック・ジャックのプレイに成功し、一度死んでからの蘇生を享受した。しかし、効果の反動で『不滅のメダル』は崩壊。自身の蘇生以上の効果は得られず今に至る。

「おやおや、お困りかな。五十嵐伊織くん。」

「お前は...!!」

見慣れた金属製のマスクに、五十嵐は怒りを見せる。

「お前の能力が弱いせいだ!お前が俺に寄越した能力が弱いせいで負けた!!」

胸ぐらにつかみかかる五十嵐。大柄な柊はビクともせず、余裕な様子だ。

「それはすまないね。取り替えるから、回収しようか。」

五十嵐の顔に手を当てる柊。

その時、五十嵐の視界が大きく歪む。

「...は?」

倒れる五十嵐。柊は膝をつき、五十嵐の肩に手を当てる。

「おや、大丈夫かい?救急車を呼ぼうか?」

「何をした...!柊...!」

恨めしい表情で柊を見上げる五十嵐。しかし柊は両手を上げ首を横に振る。

「私は何もしてないよ。おおかた、君に渡した『奇跡』の能力が、君をギリギリで生き長らえさせていたんだろう。すまないね。」

立ち上がり踵を返す柊。五十嵐は地面に手をつこうとするが、力が入らない。

その後数分も掛からず、恨めしい表情をした、身元不明の男の遺体が確認されたのだった。

Tips:能力無しで腕相撲対決

一位:斑目詩織

二位:舵原良也

三位:天道穂香

四位:綾取廻

五位:有巣仁理

六位:無堂瑞希

七位:天道舞香


無堂「有巣さんより綾取さんの方が強いんですね。」

有巣「俺が弱いのもそうだけど、多分綾取が強いのもあるんだよな。そもそも俺スピード型だし。」

無堂「負け惜しみですか?」

有巣「うん。普通に悔しい。」

綾取「ふふ。可愛いね。」

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