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人形の名前

日曜礼拝から帰る6歳位の子供がいた。幼稚園がカトリック系の幼稚園で、行きと帰りは1人で歩いて通うのだ。親がいたが親は赤ちゃんが生まれて忙しく、子供に構っていられなかった。

歩く途中で中学生位の自転車に乗ったお兄さんに声をかけられた。

「きみ、かわいいね」

子供心にこいつは危険だ普通じゃないとわかった。その後も自転車でついてきて何度も何度も話しかけてくる。幼女は身の危険を感じ、何とか家に帰るまでにこのお兄さんをまいた。

(後からやっぱりこのお兄さんは普通ではなく、近所では有名だと知る。)

親に話して「1人で幼稚園へ行くと、途中で変なお兄さんがいて声をかけられて怖いから行きたくない」という内容を何とか説明して親に伝えると、日曜礼拝に行かないのを了承してくれた。それで日曜日は家にいたが、かわりに親から手のひらサイズの小さな人形をもらった。フェルトで出来た灰色の修道女の人形だった。

幼稚園で見かける女の先生の中にもこのような姿をした人を見かけることもある。

この幼女はその後の日曜日は灰色の修道女の小さな人形と共に家にある親のスマホから日曜礼拝をしていた。自宅でできる日曜礼拝、時代も変わったものだ。

親は、このフェルト人形を幼稚園の先生から幼女にもらったのだと言っていた。日曜礼拝の後にかわいらしい絵の描いた小さな名刺サイズのカードと飴玉がもらえるが、来られなかった幼児はもらえない。なので、そのかわりだということだ。その幼稚園は様々な事情で日曜礼拝に来られない幼児のために、幼稚園の先生が手作りの小さな手の平サイズのフェルト人形を作ってくれるのだ。修道女の人形や天使の人形である。その中の1つを幼女はもらったのだ。

幼女はこのフェルト人形が話せるし動けることを知っていたが親には言わなかった。

その人形がもし誰かに話してしまえば人形はいなくならなければならないと言うからだった。幼女はその人形と友達になりたいと思っていた。

幼女はその人形に名前を聞くと、人形は名前がないので名前をつけて欲しいと言ってきた。

幼女は(さくら)という名前だった。

ここは北海道で、北海道は5月の最初に桜が咲くことが多い。5月2日に生まれた時に病院の窓から桜が咲いていたのが見えたので桜と名付けられたのだ。

この人形に会ったのは5月の始めで、そして桜が外に咲いていて、何気に梅も咲いていたので、(うめ)はどうかと人形に聞いた。

するとフェルト人形は私は修道女で洋風だし、何か梅だと和風っぽくて合ってない気がすると言ってきた。

なら、桜の洋風名、【チェリーブロッサム】か、見た目の修道女を洋風にして【シスター】のどちらにするかと人形と二人で考えた。フェルト人形は、中身は幼女の桜よりは大人で桜の家の親のスマホから桜の洋風名を調べたりすることもできた。

そして桜という幼女と修道女のフェルト人形が二人で考えた名前が

【シスター ・チェリーブロッサム】

だった。

通称チェリー。長いので普段はチェリーと呼ぶことにした。

チェリーは、桜に内緒にしていた。自分が呪いの人形だということを…。

そんなことはチェリーと桜が仲良くなった嬉しさや奇跡に比べたら、ちっぽけで、たいしたことがないと思っていたからだ。

それくらい、チェリーは自分に友達が出来たことが嬉しかった。





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