呪いの人形の生まれた場所
呪いの人形トコトコトコ…
呪いの人形トコトコトコ…
どこかからこのような、ささやき声が聞こえる。
呪いの人形トコトコトコ…
呪いの人形トコトコトコ…
このささやき声は、いったいどこから聞こえてくるのだろう?
どうやら、この小さな建物全体から聞こえてくるようだった。建物とは小さな小さなお城を形造ったものである。
ここには、悪魔のような顔をして白い髭をはやしている男が1人と、気の弱いひょろりとした若い門番の男が1人、暗い目をした中年のお手伝いの女が3人暮らしていた。
ここは、人間に害を及ぼす呪いの人形を作る建物だった。
お手伝いの女3人がフェルトに型紙をあて、チャコペンで線を書き、それをハサミで切り、糸でぬいつけ、中に綿を入れて糸でまた閉じる。そのようにそれぞれの部位を手分けしてそれをつなぎ合わせて作った1体の人形に、
悪魔のような顔をして白い髭をはやしている男が呪いと称するある光線が出るボタンを押して人形に呪いを浴びせかける。
建物全体からは、【呪いの人形トコトコトコ…】のささやき声が聞こえている。
今回のフェルト人形は、灰色のシスターの服を着たとてもかわいらしい人形だった。
大きさは手のひらサイズ。
毎回このように人形を1体ずつ作り、呪いの人形を世に送りだしている。
しかし今回は、呪いの手違いが起こって、そこにいる全員が呪いによって死んでしまった。呪いのシスター人形だけが生き残ったのだった。
この時には呪いの人形トコトコトコのささやき声は聞こえなくなった。
シスター人形は、トコトコ歩き、建物から出た。
呪いの人形の誕生だ。