04 難攻不落
ヤマトの雰囲気が、否、闘技場の空気が変わる。
「俺はバレイ男爵と女王メイを場に出すぜ!!」
高らかな宣言。バレイ男爵と女王メイが現れる。堂々とした出立ちの彼らは、ヤマトを主と認めるように巨大なコロッサスに立ちはだかる。
男爵イモとメークインである。
『菊水教授! これは!?』
『これは初代北海道優良品種! そしてこの二つは揃うことで特殊コンボが発動します!』
『特殊コンボ!?』
「そう、この2体が場に揃ったとき、俺はコンテナから好きなイモを場に出すことができる!」
ヤマトが高々と右手を天に掲げた。
「めざめろ!! インカー!!!」
金色に輝く姿が降臨する。
ヤマトのコンテナに眠っていた切り札のひとつ。
『これは幻のイモ!! インカのめざめ!!』
アンデスの高級ジャガイモから誕生した黄金のイモである。貴重種として幻のイモとも呼ばれていた。
「めざめたインカの特殊効果!! インカの金色の光が相手のイモを破壊する!! 砕けろコロッサス!」
めざめたインカから黄金の光がほとばしり、コロッサスに突き刺さる。文字通りコロッサスの巨体が砕け散り、大地に落ちた。
『これは逆転の一手だああぁ! ヤマト少年形成逆転ー!』
実況が割れんばかりに叫ぶ。
だが。
「形成逆転? 笑わせるね」
アキラが不敵に微笑む。
ヤマトは不気味さを感じながらも力強く宣言する。
「バレイ男爵、女王メイ、めざめたインカでトリプル攻撃!」
アキラは動じない。ヤマトの背筋に冷たいものが走る。
これはーー恐怖。
追い詰められているはずのアキラの目に宿る光は、圧倒的強者のものだった。
「倒されたコロッサスの特殊効果!! コロッサスを養分に、ボクは大要塞ポテトニアンフォートレスを呼び出す!」
「ポテトニアンフォートレスだって!?」
巨大な壁に阻まれるように、ヤマトの放った必殺の一撃が弾き飛ばされた。
コロッサスよりも更に巨大な化け物。ポテトニアンフォートレス。
ようは馬鹿でかいジャガイモである。
「ポテトニアンフォートレスはあらゆるイモの攻撃を無効化する!!」
『ポテトニアンフォートレスは難攻不落。そしてフォートレスの力はそれだけではない』
アキラは大きく両手を広げた。アキラのコンテナが不気味に明滅する。
「ターンをもらうよ! ボクはフォートレスの第二の能力を発動!! フォートレスはコンテナのイモを生贄に捧げることで武装から発射することができる!」
「なんだって!?」
「天から降り注ぐイモがすべてを滅ぼす!!」
機関砲のようにヤマトの場へイモが降り注ぐ。
ヤマトを守る三体のイモはポテトチップスのように砕け散った。