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文官のお仕事が気になる


「兄様、おかえりなさい!」


「あぁ、ただいま。」


ルルから兄の馬車が到着した報せを受け、慌てて玄関ホールに向かい出迎えた。

ドレスの裾を摘んで軽く膝を折って挨拶をする。


「エルザが出迎えてくれるなんて、珍しいね。さては、何か僕におねだりかな??ふふ、可愛い僕のエリザ、僕が叶えてあげられるものは全て差しだそう。さぁ、姫は何を欲するのかな?」


冗談めいた口調で、それでいて優雅に完璧な紳士の礼を取る。


ただでさえ、栗色の髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ端正なその顔立ち。それでいて、甘さのある表情を携えてこんな完璧な仕草をされては、すべての女性を虜にしてまうだろう。


うっ、、、、目が、目が痛い。。。

眼福だけど、もう少し物理的に距離が欲しいわ。


前世の記憶が戻る前はこれが普通だと思ってたけど、間違いなく異常だわ。なにこの規格外のイケメン、そして、こんな美辞麗句、妹に言うのはおかしいでしょう。


せっかくのイケメンが、シスコン要素があるだけで、残念イケメン早替わりだわ。。。

妹は兄の将来が心配です。


どうして今まで、兄からの溺愛を受けてきゃっきゃうふふって普通に返していられたのだろう。

過去のあんなことこんなことを思い出すだけで口から魂が出ていきそう。。


はっ!いけない、見惚れたせいで思考が飛んでしまった。飛び出しかけた魂をグッと力を入れて腹の底に仕舞い込み、慌てて目の前に意識を戻す。


「もう、お兄様ったら!何も無いですよ!あ、でも、久々にお兄様とお茶をしたいですわ。」


「いいよ。では、そこで話を聞くとしようか。」


私に何か企みがあると信じて疑わない兄は、片手をヒラヒラさせて、着替えのため自室に向かった。


久しぶりに家族全員での晩餐後、私と兄はサロンで向かい合ってソファーに腰掛けている。

ルルが紅茶を2つ並べてくれた後退出した。


「それで?エルザ、何か話があったのではないかい?」


シスコン大魔王の兄に、働きたいなんてうっかり言ったもんには、何を言われるか、、。侯爵令嬢のお前がなぜ働くんだってお説教をくらってしまう可能性大。口が裂けても言えません。


よし、ここは文官として働く姿を褒める方向で上手く話を聞き出そう!名付けて、おだてろ大作戦!


「話ってほどじゃないんですけど、ちょっと文官に興味があって。ほら、働く姿って素敵でしょう?だから少しお話を聞きたいなって思いまして。」


「はぁ?」


にこやかだった表情の兄の顔が一瞬で変わった。

部屋の温度も下がった気がする。

え、悪寒までするんですけど。。。。


なにこれ魔法?

さすが異世界ファンタジー。

あれでもおかしいな、この世界に魔法は存在しないはず。。


「エ ル ザ 。文官に気になる奴でもいるのかな?それとも向こうからちょっかいでも出された??相手にはきちんと御礼をしてあげないとね。あぁ、名前は言わなくてもいいよ。エルザの口から男の名前なんて聞きたくないし、お前は関係ないしね。それに調べればすぐ分かるから。エルザは何も心配しなくて大丈夫だからね。だから、その男のことは死んだものと思って、記憶からすべて消し去るように。」


いやぁぁぁぁぁぁ、ちょっと待って!!


完全に伝え方間違えた!!


なんで、文官の仕事内容を聞きたいだけなのに、物騒な話になってるの??


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