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波乱の予感


「えーるーざ!おはよう、今日も可愛いね。こうやって毎日君に挨拶出来る僕ってほんとしあわせだよね。エルザもそう思うだろ?」


「おはようございます、トマス皇子。今日も相変わらずご調子が良いようで、何よりですわ。」


「ふふ、君も相変わらずだね。僕の賛辞で照れる君も見たいけれど、つれない姿もそそるよね。」


「ちょ、ちょっと、口を慎んでくださいまし!!」


「あははー」



朝、授業が始まる直前の教室。クラスメイトはほぼ全員揃っている。そんな時間帯に毎日繰り広げられるこの寸劇。今度はこれが名物となっていた。なんとも飽きないクラスだ。


トマスは自身の恋心を自覚した後、それを隠すことなく臆することもなく、すべてを彼女に伝えようと決めた。1番になれない自分だからこそ、この気持ちを伝えるべきだと、そう思ったからだ。


その結果、毎朝の寸劇が常態化したのだった。エルザにとっては、相手の感情が入っている分、あしらいにくく、以前よりも状況は悪化した。


はぁ… 何でこうなるのよ…


一度エミリアにこのことを相談したら、『トマス皇子まで虜にしてしまうなんて、さすがはエルザ様ですわ!』とキラキラしたお目目で称賛されたエルザ。相談は失敗に終わった。


「そういえば、今ね、面白いことを計画してて、もうすぐ実現できそうだから、楽しみに待っててね。」


は… なんだそれ。 

それ、絶対に面白く無いことに決まってるーー!!

一生実現しませんように。


エルザは心の中で祈りを捧げた。




昼時のカフェテリア、久しぶりに、5人全員の姿があった。マルクスが皆の予定を調整してくれたのだ。


「エルザ嬢って本当すごいよね。傾国の美女になれるんじゃない?」

「そんなのなりたくないわよ…」


今日も、男性陣とエルザが日替わりプレートを食している。メインのチーズがかかったハンバーグに、ハムステーキ、ベイクドポテト、目玉焼き、コールスローサラダが添えられている。それに、白パンとポタージュスープも付いている。


エミリアとアリスは、相変わらず、サラダプレートに、デザートのティラミスを付けたものだ。


「そんなことより、皆夏季休暇の予定はもう決まっているの?」


「私は休みの間、婚約者の領地に滞在しますわ。現地の視察に同行したり、夜会に出て顔を広めたり、、みっちりと予定が組まれておりますの。」


「私は…アリスほどではないですが、お茶会や夜会に出て、婚約者を見つけてくるようにとプレッシャーを掛けられておりますわ、、」


マルクスはほんの一瞬表情が固まった。すぐに元の柔和な顔に戻ったので、その機微に気付いた者はいなかった。


「2人とも忙しそうね…。メンシスとマルクスは変わらず家の仕事をするの?」


「ああ、そうだな。」


「そうだねぇ。」


「とは言え、少しくらいは自由な時間もあるから、またどこか出掛かけよう。」


「ふふ、お気遣いありがとう。嬉しいわ。」





翌朝のホームルームで、ローラ先生がエルザとエミリアに対して、放課後生徒会室に来て欲しいと話があった。

2人で顔を見合わせた、エルザとエミリア。


2人揃って呼び出しってなんの要件だろう…





放課後、エミリアと2人で生徒会室に入ると、そこには見知った人たちがいた。ローラ先生に、メンシス、マルクス、トマス皇子の4人だ。


なによ、このメンバー…

何の話か怖すぎるんですけど、、


「皆さん、来てくれてありがとうね。今回は良い話があって皆んなを集めたのよ。」


先生、焦らさなくていいので早く言って…


「トマス皇子を除いた、あなた達4人は、夏季休暇の間に、この王立学院からの使節団としてテネブラエ皇国に行くことが決まったわ。滞在は1週間程度で短いけれど、すごく良い機会だわ。皆良かったわね!」



は…?何ですって!?



そして、めっちゃ笑顔でこっちを見てる皇子が怖いんですけどーーー!!

絶対あの人一枚噛んでるよ…




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