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翻弄


「ねぇ、あれワザとだと思う?」 

「意図的だとは思いますが、目的は違ったように見えますね。」

「そうだよねぇ。あれを狙ってやっていたら、とんでもない悪女だよね。エルザ嬢らしくないし。」

「本当に…。殿下があれを目にしなくて心底ホッとしてますよ。」

「何の話をしている…?」


殿下を置いてけぼりにしたまま、マルクスとアイザックの2人で話をしていた。エルザとトマスの会話を聞いてなかった殿下は2人の会話についていけない。


「うーん、、でもやっぱり変だよね。あんなの、彼女自身で思い付くと思う??これまであんなに翻弄されてたのに。」

「そうですね、、。誰かの入れ知恵、でしょうか。」

「そうだよねぇ。でも誰が何のためにそんなことをする?」

「目的は読めないですね、、」

「だから、何の話だ。私にも教えろ。」






久しぶりの1人きりのランチ、エルザは晴れやかな気持ちで満喫していた。今日は外で食べるため、サンドイッチをテイクアウトしてきた。風は少し強いが、春の日差しが暖かで心地良い。



ふふふ、念願の1人ランチ!!

メンシスが教えてくれたパワーワードは本当に効果覿面だったわ。


あんなに自信満々な人でも、嫌われると思うと言動を控えるようになるのね。


騙したような気がしなくもないけど、、私も散々彼に揶揄われたのだから、この1回くらい見逃して欲しいわね。次からは、もう少し対等に話が出来るといいな。

悪い人では無いと思うんだよね。




************



「ねぇ、メンシス。トマス皇子の件、エルザちゃんに変なこと吹き込んでたりしないよね?」

「…。」

「なんか言ったの?」


同日夜、公爵邸のメンシスの執務室で、彼はマルクスから取り調べを受けていた。


「変なことは言っていない。皇子の言動で困ることがあったら、『嫌いになりますよ』って脅せば良いとアドバイスしただけだ。」


「なるほどねぇ、、それにあのアレンジかぁ。。予想以上の効果だったね。」


「何の話だ?」


マルクスから、昼休みの出来事を聞いたメンシスは、やはりそうなってしまったか…と頭を抱えていた。




***********



あの時、自分で分かった。


どうやら僕は彼女に絆されてしまったらしい。

でもあいつには敵わないから、彼女を手に入れることは無理だって頭ではそう思ってる。


あの時は、自分のおもちゃを横取りしに来たただの犬だと思ったが、今の僕にとってあいつは、彼女を掻っ攫っていく唯一の男だ。


彼女だって、あいつが現れただけで、あんなに嬉しそうにして声色まで変わって、、今改めて思い返すと、本当に愛らしかったと感じる。


はぁ、、ムカつく。


人に翻弄される自分なんてらしくないってそう思うけど、思い通りにならないこの感情が恋というものなのだろうか。


僕にはわからない。


だから、一度ちゃんと彼女と話そうかな。

自分の気持ちを知るために。



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