一人会議
今日の日替わりは、ふわふわの白パンにソテーした白身魚とピクルス、チーズを挟んだサンドイッチ。さすがは令嬢が通う学院、綺麗に四頭分された状態で箱に入り、フォークとナイフが添えてある。カトラリーは食堂に返却する仕組みらしい。
予定通り、購買でサンドイッチを購入した私は人気のない木陰にいる。
サンドイッチを一つ手に取り、パクりと口に放り込む。
「んーっ!おいひぃー。」
思わず笑みが溢れる。
相変わらずいい天気で、花々が華やいており、たまに吹くそよ風が心地よい。そう言えば、中庭の薔薇も見事だったなぁ。。
うっ、、一瞬薔薇の香りとともに、金髪碧眼が頭をよぎる。。瞬殺で思考に蓋をする。
食欲を無くすところだった。。
殿下と話していたせいで休み時間の残りが少なくなってしまったのでというのは建前で、単純に面倒なので、手づかみで残りを食べ進める。
入学2日目でぼっちランチとか、考えると寂しさに打ちひしがれて現実世界に戻って来られなくなるので、考えない。
そうね、これからのことを考えよう。
殿下のことは一旦置いておいて大丈夫、、かな?
もう接点も無いはずだし、このまま様子を見よう。
問題はクラスメイトだ。
あの雰囲気は無理だ。
友人どころか挨拶できる相手すら見つからない。
メンタルやられるわ。。
友達もいない、婚約からも逃げ回る。。
私の将来どうなるのだろう。
ほとんどの令嬢は卒業後結婚する。所謂、永久就職ってやつだ。どこに死亡フラグが潜んでいるか分からない私には、怖すぎて結婚なんて無理。。愛を誓った相手に首を切られるなんて、死んでも嫌だ。
で、結婚しないなら働くしかないよね。
働くことは嫌いでは無い。
でも貴族令嬢、それも侯爵令嬢が働くとなるとかなり難しい。。この世界での女性の働き先は、下女や侍女が一般的だからだ。身分の高い侯爵令嬢を使用人にしたい物好きなんていない。
うーん、、、
そもそも両親が許してくれないだろう。
となると、やはり王宮勤めが有力か。
王宮で侍女として働くことはかなり価値が高く、早々なれるものではない。筆頭侍女ともなれば、かなりの権限を得られる。間違いなく高給取りだ。
しかし、王族とは絶対に関わりたく無い。
惨殺怖い。。
そうなるとやはり文官が最有力候補か?
賢いイメージで難易度高そうだけど、私はまだ学院1年生。これからの努力で目指せないことはないだろう。勉強は嫌いじゃないし、決め付けるのはまだ早いわ。
よし!
そう決まれば、まずは情報収集よ。
パチンと手を叩いて立ち上がる。