表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/153

【番外編】カバンの行方と彼女

時は少し遡り、マルクス視点のお話です。


「は?何だよこれ。」

そう言うマルクスが手にしているのは1枚の請求書だ。


ここは、ルード公爵家のメンシスに当てがわれている執務室である。

メンシスは学生のうちから既に公務の一部を行っており、マルクスもまた同じく、既に補佐業務を行っている。


現在、メンシスは席を外しており、マルクス1人で書類整理を行なっていた。


そんな彼が机の上に並べた書類に挟まれた、メンシス宛の1枚の請求書を見て固まっていたのである。


「学院の、しかも女子生徒用のカバンなんて、あいつ何買ってるんだよ。意味がわからん、、。」


はぁ。とため息をつくマルクス。


メンシスは女性との関わりはほぼない。学院内でいえば皆無であろう。


そんな彼がどうしてこんなものを、、、。

しかもこのカバンかなり高い。


メンシスなら余裕で買える金額だが、ポンポンと人に買い与えてはいけない代物だ。


え、、変な女に騙されてるのか???

いや、あいつに限ってそんなことは、、

でも、恋は盲目と言うし、、


あぁ、もうっ!!!


気になった彼は、直接尋ねることにした。




執務室に戻ってきたメンシスに早速尋ねる。というかもはや詰問だ。


「あの学院のカバンの請求書なに?どうして女子生徒用のカバンを買ったの?」

「…。」

「自分で使うため?」

「違う!」

「うん、安心した。で、誰に買ってあげたの?」

「…。」

「教えてくれないならいいよ。こっちで勝手に調べるから。」

「余計なことはするな。」

「じゃあ教えて?」

「え、エルザ・アストルム。」



ふぅーん、エルザ・アストルム侯爵令嬢、ねぇ。

一応どんな人物か調べておくか。





なるほどねぇ。嫌がらせでカバンをダメにされて、それでメンシスが新しいのを買ってあげたってところか。

それにしても、彼女は彼女で、クラス全員に宣戦布告するとか、中々に興味深い。


そして、あのメンシスが他人のために、それも女のために何かやるなんて、、これ本気っぽいよなー。

「これしかないから」って言っていた彼が今、手を伸ばそうとしてる。


うーん、、最初だけ手を貸してやってもいいかなー。





クレメンス殿下主催のガーデンパーティー、俺は目当ての人物を探した。エルザの友人のエミリアとアリスだ。


出掛ける予定を作ってやろうと思ったのだ。最初にハードルの高い旅行で提案して、それは断ってくるだろうから、じゃ1日だけ遊びに行こうと言って、頷かせるつもりだ。



最初にエミリアを見かけて声を掛けた。


「やぁ、エミリア嬢。僕はキケロ子爵家のマルクス、気軽にマルクスと呼んでね?」


人好きのするこの顔で笑顔を向ければ、大抵の女は赤を赤くしたり、微笑んだりしてくれる。

なのに、彼女は、


「マルクス様、何かご用ですの?」


全く靡かなかった。

それどころか、不信感を露わにしていた。


これはマズイ、、、。


「えっと、君、エルザ嬢と仲良いだろう?その彼女と、僕の友人のメンシスが最近仲良さそうでね。それで、きっかけを作るためにみんなでおでかけなんてどうかなと思ってね。」


「まぁ!エルザ様にそのような素敵な方がいらっしゃるなんて!私初耳でしたわ!」


エルザの話を聞いた途端、彼女の顔はぱっと華やかな笑顔に切り替わり、一気に声も弾む。


自分のことのように友人のことを喜ぶ姿に、なんて心の綺麗な人なのだろうか、と俺は心底そう思ったのだ。そして、はしゃいでいる姿はとても可愛らしかった。




その後、アリスとも話を付け、旅行の提案をエルザにすることが出来た。驚くことに、彼女はその提案に即決した。ほんとに規格外の令嬢だ。。


でもそのおかげで、エミリアも含めて旅行に行くことが出来るのだ。楽しみだな。



本編に載せきれなかったので、マルクスとエミリアが出てきたこのタイミングで、番外編として載せてみました(^ ^)


読んでくださった方ありがとうございます!

励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ