休み明け波乱の初日
あっという間に夏季休暇が終わり、今日は休み明け初日だ。
朝少し早く教室に着いた私は、さっそくラクスで買ったお土産を配った。
挨拶しかしたことのない子もすごく喜んでお礼を言ってくれて、お土産効果のすごさを実感した。
配り終わって空になった紙袋を眺めながら、本当に楽しく充実した休みだったなぁと思い出に浸っていると、ローラ先生が入ってきた。女子生徒らしき人物を連れて。
ん、、?誰だろう?
その彼女は、紫がかった艶のある黒髪、長いまつ毛、漆黒なのに透き通るような瞳、雪のように白い肌、華奢な四肢、それぞれが完璧に組み合わさり、男女問わず、美麗だと感じる様だった。
「休み前にお話ししてた通り、テネブラエ皇国から留学生がうちのクラスにいらっしゃったわ。」
「初めまして、皆様。テネブラエ皇国第一皇女のルシアにございます。みなさんどうぞ仲良くしてくださいね。」
そう言ってにこっと控えめに微笑むルシア。
攻撃力半端ないその笑顔に、男女問わずクラスメイトが次々と被弾し、うめき声をあげている。
はぁ。なんて美しい生き物なのかしら。。
ほうっとエルザもため息を吐いている。
にしても、、皇女ってつまりはお姫さまってことよね?隣国の高貴な身分の方まで留学にやってくるなんて、うちの学校すごいわね。。
クレメンス殿下の存在をすっかり忘れているエルザだった。
テネブラエ皇国はレイ王国の隣に位置する。国の規模は圧倒的に皇国の方が上だが、お互いの国にないものを輸出入し合っており、穏やかな関係が続いている。
その関係性の良さを対外的にアピールする目的もあるのが今回の留学だ。
ルシアに見惚れていると、先生から声を掛けられた。
「アストルムさん、ちょっと話があるから、放課後生徒会室に来てもらえるかしら?」
は!!!!話ってなんですか!!
言いたいことがあるならここで言ってください!
不安のあまり心の中で先生に喧嘩を売る。
「分かりましたわ。」
実際にそんなことは出来ないので、エルザは大人しく返事をして頷いた。
先生の話が気になり過ぎて、授業の話が頭に入ってこないし、お昼ご飯のの味もしなかった。。もったいない。。
待ちに待った放課後、気合を入れて生徒会室のドアを開ける。
「失礼します。」
そう言って緊張した面持ちで足を踏み入れると、すぐ見慣れた銀髪を見つける。メンシスがいた。
彼の姿を見てホッとしたエルザは、ゆっくりと室内に目をやる。
そこには、クレメンス殿下、側近のアイザック、そしてローラ先生がいた。
「これで揃ったわね。みんなには留学生のルシアさんとその歓迎会を兼ねた収穫祭パーティーについてお話があって集まってもらったのよ。」
にっこりと微笑んで先生が言う。
反応から察するに、殿下は粗方事情を把握しているらしい。メンシスはやや勘繰るような表情をしている。
「ええとそうね、収穫祭パーティーの話からした方が分かりやすいかしらね。来月末に行われるのは皆さんご存知よね?」
各々が頷く。
「そこでね、ルードさんとアストルムさんにペアになって踊ってもらいたいのよ。」
「なんですって!」
思わず大きな声を出すエルザ。
メンシスは驚きで固まっていたが、いつもの無表情のままだったため、周囲から彼の動揺は見えない。彼とは真逆に、思い切り項垂れている金髪頭の姿があった。




