次に向けて
エルザ達が帰ったことを知った殿下達は今、猛省に近い反省会を行っている。
ちなみに、エルザは殿下に挨拶をしてから帰ろうと思っていたが、オルドが、自分がしたから不要だとしれっとついた嘘に騙され、そのまま帰路に着いたのだった。
「殿下、」
「言うな。」
「いえ、今回ばかりは仕方のなかったことですよ。想定外に出て来ちゃいましたからね、あの人。」
「慰めてくれるのか、、お前、飴と鞭の使い方上手いな。」
「お褒めに預かり至極恐悦です。」
「それにしても、なぜあの男は招待もされていないのに、この会に参加出来たのだろうか。招待状がなんとかって言っていたが。。」
「気のせいですよ。それよりも、今後の策を考えましょう。」
アイザックは知っている。うっかり家名だけで招待状を出してしまったことを。自分の凡ミスである。
普通であれば、本文に学院の話が書いてあるため勘違いなどされるはず無いのだが、それを普通じゃないあの男に目をつけられ、まんまと揚げ足を取られてしまったのだ。
「そうだな、、最終手段だったが、こうなれば国家権力を使おうじゃないか。」
「…。」
いや既にあなた使っているでしょう。直属の諜報部隊使って1人の女の子にストーカーしたくせに。。
まぁ、考えがあるみたいなので、今回は本人に任せて静観するとしますか。もう疲れたし。
うっかり出た本音を隠し、殿下への忠誠を誓う。
「殿下の御心のままに。」
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「急にあんなことを言って悪かった。でも2人が協力してくれたおかげで計画通りに進められて良かった。感謝する。」
先ほどまでの人懐っこい明るさは息を顰め、落ち着いた表情と声色でマルクスがお礼を言う。
「いいえ、私たちもエルザ様とご一緒したかったですから、お気になさらず。」
エミリアが当然のようにそう答える。
「まぁ、どこまで協力するかは相手の行動を見てから決めますけどね。今のところ敵対するつもりは無いので安心なさってね。」
やや圧のある笑顔でアリスが続けて言った。
「もちろんだよ。僕もそこまで世話を焼いてやるつもりはないからね。最後は本人次第でしょ。」