説得
「何やら楽しそうな話をしているね。」
殿下とのお話とやらが終わったのか、オルドがエルザ達のところに戻ってきた。
「ええ、今みんなでラクス地方にある公爵領に遊びに行く話をしてましたの。せっかくの夏季休暇ですし、私も行けたらなって、、」
最後小声になってしまった、、、
さっき、即答で行きますって言ってた奴誰だよ!
だって、兄が怖くて、、
そんな行きたいなんてはっきり言えないよー!!
「あぁ、ラクスか。夏にはぴったりの場所だね。観光地だから治安も良いだろうし。公爵邸にお世話になるのなら滞在中の安全面は大丈夫だろう。」
そう言いながオルドはらちらりとメンシスを見る。彼は肯定するように頷く。
あれ?反対されるかと思いきや、意外にすんなり許可もらえるパターン?
よし!行け行けゴーゴー!
心の中で大声援を送る。
「問題は道中かな。整備された街道とは言え、何があるか分からないし、、だから僕が、」
え。。。。。
護衛として付いていくって言うつもりか、、
息を呑む音が重なる。
しかし、オルドに先を言わせまいとするかのように、メンシスの声が被せられる。
「それでしたら、公爵家の馬車をご用意しましょう。最上位のランクのものですので、通常の襲撃では傷ひとつ付かない仕様です。御者には腕の立つものを誂えます。こちらでどうでしょう?あぁ、もちろん、俺もマルクスも剣を使えますので、有事の際は女性陣を全力でお守り致しますよ。」
有無を言わせない笑顔で言い切った。
か、かみさまーーーー!!
天の声来たーー!!
予想してなかった援護射撃にエルザは心の中で喜びまくる。
めちゃくちゃカッコいいー!
あのお兄様に言い切るなんて!
しかも、言葉遣いが外行き仕様になってるー!
思わずキュンとしてまったわ!
オルドはぐっと喉を鳴らす。
「あぁ分かったよ。そこまで言うなら今回は任せよう。信じてるからね。」
や、やったーー!!
無事に許可がおりましたー!
兄の許可があれば義父も納得するだろう。
「お兄様、ありがとうございます!お土産たくさん買って来ますね!」
「ありがとう、エルザ。呉々も気を付けて行ってくるんだよ。さて、もうこんな時間だ。そろそろ我々はお暇しようか。」
兄にはちょっとだけ待っていてもらい、メンシスに先ほどのお礼を伝えにいく。
もちろん、兄には聞かれないようにこそっとね。
「メンシス、さっきはお兄様を説得してくれて本当にありがとう!嬉しかったわ。それにしても、ふふふ。あなたもよほど遊びに行きたかったのね。良かったわね。じゃあまた!」
「は。。。」
なにか盛大に感違いされたメンシスはその場で固る。
小声で話したはずのやり取りはしっかりと周りに聞こえており、3人は下を向いて肩を震わせていた。
さすがのマルクスもこれは声に出して笑ってはいけないと思ったらしい。




