表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/153

仁義なき戦い


痛い痛いイタイ。

周囲の視線が突き刺さる。


これが本物の矢だったら、もう10回以上は死んでると思う。


「お兄様、後頭部痛くありません??」


気になって思わず兄に尋ねてしまった。


「はは、エルザは面白いことを言うね。」


楽しそうに笑っていた。

さすが鋼のメンタル!まったく動じてない!!


庭園というより自然公園のような大きさの広場に、よく手入れされている芝が広がり、これまた大きなテーブルに美味しそうな料理が所狭しと並べられていた。


少し離れたところには薔薇園のようなものが見える。あとで行ってみようかな。


「とりあえず、主催である殿下のところに挨拶に伺いますか??」


「その必要はないみたいだよ。向こうからお出ましだ。」


クレメンス殿下とアイザックの2人がエルザたちの方に向かって歩いてくる。こちらの存在に気が付いたようだ。


先にクレメンス殿下が声を掛ける。


「やぁ、エルザ嬢。よく来てくれた。今日は気軽な学生の集まりみたいなものだから、何も気にせず大いに楽しんでくれ。」


「殿下、お変わりないようで何よりでございます。また、本日はお招きいただき誠にありがとうございます。楽しませて頂きますわ。」


続けて、オルドがナチュラルに殿下に声を掛ける。


「クレメンス殿下、お久しゅうございます。妹からは、殿下には大変お世話になっていると聞き及んでおります。兄としてお礼申し上げたく、本日は馳せ参じた次第でございます。」


そう言って、これまた見事な騎士の礼をする。顔を上げたオルドは、最後のトドメのように、殿下に向かってにこやかに微笑む。


その麗しい姿を見てしまった女子生徒達から悲鳴に近い歓喜の声が聞こえた。


その黄色い声と重なるように、殿下の悲鳴も聞こえた。


「な、なぜお前がここにいるのだ!オルド!」


「何を言っていますか。睡眠不足ですか?頭回ってます??殿下が招待状を送ってくれましたでしょう?このアストルム家に。それは殿下からのお誘いですからね、何があっても駆けつけますよ、私は。」


不敬を散りばめながらオルドが言う。


しまった、、、。思い当たる節があったアイザックはそっと気配を殺して影に徹する。


「そ、そもそも、お前とはほぼ毎日会ってるではないか!それを休みの日にまで、、なんの嫌がらせだ。」


「え?お兄様って殿下と面識がありましたの?」


「あぁ、エルザには話していなかったっけ?僕は殿下の指南役として、剣術、算術、政務など一通りの教育を一任されているのだよ。だから関わることが多くてね。歳も近いし。」


なんてことないと言うように話し出すオルド。

そして最後の一言は明らかな口撃だ。


は。。。。


兄が優秀過ぎる。。

底が見えなさ過ぎて怖いんですけど。。


「さすが、お兄様ですね!ひとりでたくさんのことを教えられるなんて。」


「いや、そうでもないよ?算術は初歩で止まってるし、剣術ではまだ僕から一本も取れてないし、他もまだまだかなぁ。。だから、僕はそんなに難しいことはやってないんだよ。謙遜とかじゃなくてね。」


クレメンスの殿下の顔色が一気に悪くなる。

後ろからすっとアイザックが現れ、グラスに入った冷水を差し出す。



お に い さ ま !!



不敬にもほどがありますよ!

というか、なんでそんなに口撃してるの!?

殿下に何か怨みでも、、


あ…


もしかして、

これ、あの時の闇討ちの代わり??


状況を把握したが、そうしたところでエルザには止められそうにもないので、心の中で殿下に向かってまた手を合わせる。


合掌。(2回目)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ