表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/153

髪飾り


城下町入り口の停車場に馬車を止め、兄にエスコートされて降り立つ。御者はこのまま停車場にある休憩スペースで私たちの戻りを待つそうだ。


兄がいるので護衛は連れてきていない。義父はせめて1人くらいは連れて行けとうるさかったが、足手纏いになります、の一言で兄が突っぱねた。


たしかに、その辺の騎士より兄は強い。今でも毎朝鍛錬しているし、たまに騎士団の訓練にも参加しているらしい。私には未だに兄の立ち位置が分からない。いや、、だってね、訓練に参加する文官って意味が分からな過ぎるでしょ。。


兄に手を引かれて歩きつつ、そんなことを考えていると、足が止まる。どうやら目的の場所についたようだ。


可愛らしい雰囲気のお店の前だった。


窓ガラスから店内を覗くと、そこには可愛らしい髪飾りやブローチなど、女性が好きそうなものがこれでもかというほど並んでいた。


素敵なお店だ。


って、ん??これ、どこからどうみても女の子のためのお店、よね??

兄は何しにここに来たのかな??



はっ、 こ れ は !!



好きな人への贈り物を買いに来たのね!

だから、私と来たがって、義父のことは嫌がったのか。確かに親と一緒に選ぶなんて嫌よね。気恥ずかしいわ。


うん、いつもお世話になっている兄のためだ。

相手に喜ばれるものを全力で選ぶぞ!


中に入った私たちは店内を見て回る。


「エルザ、何か気に入るものはあるかい?」


「そうね、、あ!これなんでどうかしら??」


私は、ひとつの髪飾りに手を伸ばす。


髪飾りだったらいくつあっても良いし、いきなりネックレスとかは指輪とかはハードルが高いし、何よりこの髪飾りは、、


「これは、、僕の色だね。うんこれが良いな。」


そう、兄の瞳と同じエメラルドグリーンの宝石が飾られているのだ。小さい石なので、それとなく輝くのが控えめでいい。土台にも花柄の模様が刻まれており、とても手が込んでいる。


その分お値段は可愛くないが、、侯爵令息である兄が贈るものとなれば、これくらいでちょうど良いかもしれない。


兄も気に入ってくれたようですぐ購入した。

お相手の方にも喜んでもらえると嬉しいなぁ。想像するだけで顔がニヤつく。


「エルザ、少し横を向いてくれるかい?」


「え?これで良いかしら?」


サクッ


ん?なにか頭に刺さった、、??


「あぁ、とても良く似合ってるよ。本当に素敵だ。愛しのエルザ。」


蕩けた瞳で見つめてくる兄。

とてつもなく甘い言葉。

色気のある声。


はっ、、、、。


ちょっと待て。何か間違ってる。

もうどこから突っ込んで良いかもわからない。

もう何もかも違う気がする。


さすがはシスコン大魔王。


なんだかよくわからない涙で視界が霞む。兄の将来が不安です。。でもとりあえず御礼は言っておこうね、うん。


うるうるした瞳のエルザから御礼を言われ、それはもう満足そうに微笑むオルドだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ