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晴れのち雨


あの騒動からしばらく経って、クラスの雰囲気が少し変わった。全体的に明るく穏やかな空気になったように思う。


ひとり、ふたりと私に挨拶をしてくれるようになり、今ではクラスのほぼ全員と挨拶を交わす仲になったのだ。


挨拶っていいよね。

些細なことだけど、自分の存在をちゃんと認識してもらってるって思えるから、めちゃくちゃ嬉しい。居心地も良くなるよね。

このまま穏やかな学園ライフを過ごせるかも。


ふふふ。


休み時間、自席でそんなことを考えていた私は、自然と笑みが溢れた。

しかし、穏やかな感情は一瞬で消え去る。



「エルザ嬢はいるか?」



は???



声がした方を見やると、金髪碧眼の奴がいた。



な に し に き た !!



思わず親の仇の如く睨みつけ、、そうになるのをグッと堪える。それはもうグッと。


私は侯爵令嬢、私は侯爵令嬢、私は侯爵令嬢。


大事なことなので3回言いました。

荒ぶった精神を整える。


「殿下、何かございましたか??」


私は立ち上がり、殿下との距離は保ったまま、完璧なアルカイックスマイルで言葉を返した。


「あぁ、エルザ嬢。久しいな、息災であったか?」


「ええ、お陰様で(あなた様が今ここに現れるまでは)心穏やかに過ごしておりましたわ。」


他意を込めずにはいられない。


「それはなによりだ。で、話なんだが、夏季休暇中に王宮でガーデンパーティーを開こうと思ってな、学院の皆に声を掛けているのだ。」


へ、お誘い、、、??


え、どうしよう、、、

なるべく殿下には関わりたくない。。


勅命でしょうか、なんて聞いたらさすがに不敬で捕まるよね。


さぁ、どうしたものかと逡巡する私に天の声が聞こえた。


「まぁ!王宮でガーデンパーティーだなんて、素敵ですわね。ぜひ、クラスのみんなで参加させて頂きますわ。」


さすがうちのエミリア!!

なんて気が利くの!!


個人で返答がしにくいことを察して、クラスの代表者として彼女がまとめて答えてくれた。

色々あったしね。さすがにもう変な噂を立てられたくはない。


「あ、あぁ。では皆に招待状を送るから、気軽に参加してくれ。」




***********




「殿下、」


「何も言うな。」


教室の外に控えていたアイザックは、言いかけた言葉を飲み込む。


全くこの人は、、エルザ嬢には招待状を手渡しするんだって息巻いていたクセに、なんで手に持ったまま戻ってきたんだ。。


主の手からさっと招待状を抜き取り、自分の胸ポケットに仕舞う。


これ忘れずにアストルム侯爵家に届けないとな。。

王宮に戻ったら手配しよう。


はぁ。



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