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転生したのはレイ王国でした。


ここは、小国のレイ王国。

金の採掘が盛んで、隣国との取引も良好、国政の中心となる貴族たちも皆やる気に満ち満ちしている。周囲を囲む大国からも一目置かれている。


しかし、少し前まで国にそんな活気は無かった。誰も彼もが自身の義務を果たすことに精一杯で、自ら何かを得ようとする気持ちは皆無だった。


その大きな要因となったのは、政略結婚だ。貴族はみな親から政略結婚を強いられ、初めて顔を合わせる相手と婚姻を結ぶことが当たり前だった。


そのため、市井に下りて、好いた相手と添い遂げようとする猛者もいたが、それらは厳しく罰せられた。それを目の当たりにして後を追うものは続かなかった。


しかし、1人の男が変革をもたらした。

それは今から5年前、当時王太子であったヨハネスが、好いた相手との婚姻を強く望み、頑なに政略結婚を拒否したことがきっかけだった。


それはクーデターにまで発展し、国を脅かす事態となったが、1週間ほどで、陛下直属の近衛師団によって鎮圧された。


首謀者であるヨハネスは王位継承権を剥奪され、当時10歳だった弟のクレメンスが王太子となった。国側に死人が出なかったことから、ヨハネスは陛下の温情により極刑こそ免れたものの、生涯幽閉の身となった。


そして、この出来事が国全体の考え方を大きく変えた。


反逆罪は重罪であると受け止めつつも、自由恋愛を支持する声が民の間で広がったのだ。


年若い層を中心に貴族たちも自由恋愛を望んだため、民の声を押さえ込むことはなく、それどころか、国王陛下に対して連盟で進言をした。それを受け、この平穏を揺るがすわけにはいかないと、陛下直々に、自由恋愛への方針転換を宣言したのだった。


それから5年だった現在、

貴族の間で、政略結婚が完全になくなったわけではないが、好いた相手と縁を結ぶことが主流となっている。


そんな国に生まれた私は、現在15歳、アストルム公爵家の一人娘、エルザ・アストルムである。


昨日は王立学院の入学式だった。


この国の貴族の子どもたちは15歳になる年に王立学院に入学する決まりだ。在籍期間は3年間。この間、学院では貴族としての教養マナーに加え、領地経営や剣術、淑女の嗜みなど、自身が希望する進路に合わせて授業を選択する。


この国では、15歳になるまで婚約が禁止されているため、入学前にお茶会に参加することはあまり良しとされていない。(お茶会で出会いを求めているなどと良からぬ噂を立てられることがあるため)


なので、ほとんどは家庭教師をつけて、家で最低限の勉強を行う。そして、王立学院での出会いを心待ちにするのだ。


そう、私も入学を楽しみにしていたひとり。


友達できるかな、運命の人と出会えるかな、なんて。ウキウキ気分で入学式に臨んだのだ。


なのになのになのに、、、


入学式後、見事な薔薇だなと思ってふと中庭に立ち寄った時に、見知らぬ相手から求婚された衝撃で前世の記憶を思い出すなんて、、、


一晩寝たからから、昨日よりは混乱も落ち着いて、今までのエルザとしての記憶もちゃんとあるし、人格崩壊してないし、たぶん、今まで通りの自分で大丈夫なはず。


でも、これ、、、、


転生ってことは、前世にあったラノベとか乙女ゲームとかの世界なのよね、きっと。


セオリーなら、悪役令嬢に転生して、断罪からの冤罪で投獄、極刑のフィナーレってオチよね。


いやだだだだだだだだぁ!!!


死にたくない。

というか、殺されたくない。

可愛い制服を着て青春満喫したい。


さて、どうしよう。。。


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