早起きで得たもの
昨夜のことで罪悪感を抱いた私は、いつもより早く起きて、せめてもの罪滅ぼしにと、義父と兄にハグをしてお見送りをした。
こちらの打算など梅雨知らず、泣く勢いで喜んでくれた2人を見て私の罪悪感は増したのだった。
そんな朝の出来事をそっと胸に仕舞い込み、学院に着いた私は、ひとり教室へと向かう。
一番乗りだった。
静かな教室、誰の視線も気にすることなく席につき、軽く伸びをする。
静かだな、、
この世に自分しかいないような感覚。
寂しいような、どこか満たされるような、少しホッとするようなそんな不思議な気持ち。
「あ、あの、、アストルム侯爵令嬢、ご、ごきげんよう。今少しだけお時間よろしいでしょうか?」
自信なさげだけど、よく通る可憐な声によって、
突如として静寂が破られる。
「はぇ?」
自分の世界に入り込んでいた私は、思わず令嬢らしからぬ、を通り越して、人間らしからぬ鳴き声を上げてしまった。恥ずかしい。
顔を上げると、目の前、とは言い難いほど離れたところに、白いに近い金色の長い髪の可愛らしい雰囲気の女子生徒が控えめに立っていた。
え、、、 わ、、私??
私に声かけてきた??
名指しだったから、間違いないよね?
話しかけられたことがない私は疑いまくる。
しかし、私は腐っても侯爵令嬢。女子生徒としては、この学院で最も身分が高いのだ。不安定な心を悟られるわけにはいかない。
意を決して言葉を発する。
「どうかしましたか?ルッツ伯爵令嬢。」
ほわわわわわわ。
ちゃんと声出た!!
震えなかったよ!!
生徒名簿、まる暗記していて良かったぁ。
「わ、私のことはどうぞエミリアとお呼びになってくださいませ。」
「ありがとう、エミリア。では、私のこともエルザと呼んでくださいな?」
途端に、エルザを見て顔を赤く染め破顔するエミリア。泣きそうなほどの笑顔を向ける。
「ありがとうございます!え、エルザ様、あのずっと憧れていて、その、良かったら私とお友達になってくださいませんか??」
は?なに?
お と も だ ち ??
友達?になってくれるの??こんな私と?
嬉しすぎて言葉が出ません。。
じゃなくって!
ちゃんとお返事お返事!!
すーはぁー。バレないように深呼吸をひとつ。
「私でよければ、喜んで。これからどうぞよろしくね。」
にこやかな表情とは裏腹に、
心の中では歓喜の舞を踊り狂う。
きゃーっ!!!
ひゃっほーーーー!!
初めてお友達が出来ましたーーーー!!!