ごめんなさい!
声の主は、メンシス・ルード公爵家嫡男。銀髪、ヘーゼルナッツ色の瞳。肌は透き通るように白く、溌剌さは感じられない。整い過ぎた顔のせいで鋭利な印象を与える。
大きな窓から差し込む光に照らされる姿はなんとも神々しい。
そんな美しすぎる顔を自分に向けられている。
なのに、まったくときめかない。
うん、思い切りガンを飛ばされているからね。
いや、まずいまずいまずいまずい!!
普通に心の声が口から出てた。。
いつも誰もいないから気が緩んでたわ。。
冷静に考えれば、筆頭公爵家次期当主として並々ならぬ期待をかけられ、幼少期から厳しい教育を受けてきたことなど容易に想像できるのに。
本人の努力を無視して結果だけを見て羨ましがるなんて、浅ましい真似をしてしまった。
何やってるんだ、私は。。
「本当にごめんなさい!人の努力を無視して、結果だけを見て勝手に羨ましいなんて言ってしまったわ。相応の努力をして今があるはずなのに、、。何も知らないのに、浅ましい発言をして悪かったわ。」
「は??普通、女なら公爵夫人の立場を羨ましがるんじゃないのか?」
先ほどの剣呑さはすっと消え去り、心の底から疑問に思っているような声色だった。
「え?だって殺されたくないじゃない??」
「お前、誰かに命狙われるようなことしてるのかよ。。」
呆れ顔でジロリとこちらを見てくる。
「し、してないわよ!そんな物騒なこと。えっと、、ほら、か、確率の問題で、男性より弱い女性の方が危害を加えられる可能性が高いでしょう?だから、男性の方が生き延びられそうで良いなって。。」
ま ち が え た !!!!
また余計なこと言ってしまった!
確実に変人認定されたわ。。
まぁ、どうせ友達いないし。
これ以上減りようがないから、いっか。
「そんなに怖いなら、王家の騎士にでも護衛に付いてもらえばいいんじゃないか?」
「はい??今なんて??おう、、け、??」
「お前、クレメンス殿下の婚約者だろ?」
は????????