爆弾投下!
その後、必死に説明をし、なんでこんなことやっているのだろうかと一瞬白目になりかけながらも、なんとか誤解を解くことに成功した。
部屋の温度も適温に戻った。
『友達の話なんだけどね、文官を目指したいのだけど、まず何をしたら良いのか分からなくて、それでね、王宮勤めのお兄様に話を聞いてきてほしいって頼まれたの!』
『あぁ、そういうことか。』
これでようやく真意を分かってもらえました。
友達の話なんだけどね、で始まる恋愛相談は自分のことでしょってバレてしまうんだけど、恋愛以外の話なら信じてもらえるのね。
ひとつ勉強になりました。
あ、もちろん、イマジナリーフレンドです。
これからもお世話になるだろう彼女に後で名前を付けて設定を考えよう。愛着が湧きそうだ。
とりあえず、イマフレちゃんって呼ぶことにしよう。
「エルザが聞きたいことは分かったけれど、僕の話はあまり参考にならないかな。騎士団から文官にキャリアチェンジしたからね。」
そ う で し た !!!
完全に忘れていた。。
実父の剣術の才を如実に引き継いだ兄は、学院卒業後すぐ騎士団にスカウトされて入団。
半年後、魔物討伐の遠征の招集がかかり、最低2ヶ月は帰って来られないことを知り、あっけなく退団。
理由は、2ヶ月も妹に会えないなんて無理。の一言だそうです。
当時は、私のために!なんて素敵なお兄様なの!なんて涙を流して抱き付いたっけ。。
あの時の自分を張り倒してやりたい。。
退団した兄は、元々賢く、学院での成績も良かったため、すぐ文官にキャリアチェンジ出来たそうで。
ただ、退団する時はちょっと大変で、力づくで団長を説得したって風の噂で聞いたような。。
はぁ。。。
聞く相手を間違えた。
全く参考にならん!!!
さて、どうしたものかと、完全に冷めた紅茶を口に運ぶ。ルルが入れてくれる紅茶は冷めても美味しいなぁ、なんて、のほほんと口元を綻ばせていると、
「そう言えば、殿下から婚約の申し入れをされたって本当かい?」
兄がえげつない特大爆弾を投下。
ぎゃああああああああああ!!!
まるで世間話のごとく、ぶっ込んできた。
警告音が脳内で鳴り響いて止まらない。
穏やかな口調で表面上ニコニコしいるけど、うん、目が笑ってないね。
美人の笑顔って迫力満点よね。
「えっと、、どうして、お兄様がそれを?」
とりあえず何か言わなくてはと焦った私は、ひとまず質問を質問で返す。
はい、その場しのぎです!
「うんうん、事実だったか。さて、久しぶりに闇討ちでもするか。」
や、やみうち??
今、闇討ちって言いました!?
久しぶりに一杯飲んで帰ろうかな?
みたいな軽い口調だったよね??
は?というか、久しぶりってなに!?
ん、、物騒な物言いに思わずツッコんでしまったけど、少しくらい良いかも??
だって、あの求婚が無ければもっと平和な学園ライフが待っていたはずだし、、少しくらい、ねぇ?
心の中で殿下に手を合わせる、合掌。