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第4話 NPC


 ――シュウウウン。

 無事にログインして2人は転送され現れた。


「ちょっと聞いた話しと違うけど、無事にたどり着いたみたいだね」

「ああ、そのようだ。無事にたどり着けて幸いだった」

「誰よ?」

「松永だ」



 松永と脩人の2人は、3Dアニメーションのような見た目のアバタ-だ。



 体格がガッシリとしたアバターの脩人しゅうと

 装備は初期装備で、布の服とナイフだけで『剣使い(ソードアーツ)』ファイターや剣士系になる。


 松永のアバターは女だった。

 装備は初期装備で、布の服と杖。それとメガネを掛けた巨乳だ。紫のロングヘアが風に揺れている。

 『杖使い(ステックアーツ)』攻撃や回復の魔法系になる。



 声まで女の松永。

 男らしく自分の胸を揉み『確かに、揉むと手と胸に感触がある』知識の欲求を満たす。



「何で女のアバター?」

「本当に性別が変わるのか? それを期待した」

「……おまえソッチ系だったの?」

「――違う、ただの確認だ!」


 この2人が今いる場所はムール帝国だ。

 首都ライヒの城門をくぐった所になる。

 所謂、メインストリートだ。


「そういやさあ、悠葵ひまりってどこ?」

「僕が知るはず無いだろ『参ったな――離れてしまったらしい』」


 近くに門番の兵士が立っている。

 初めての世界に2人には土地勘もない。

 脩人は兵士に近づいて話かけた。


「すいません。チョッと聞きたいんですけどね」

「ここはルーム帝国の首都ライヒだ。真っ直ぐ行けば皇帝陛下の居城がある」

「イヤイヤ、そうじゃなくて」

「ここはルーム帝国の首都ライヒだ。真っ直ぐ行けば皇帝陛下の居城がある」


 同じことを繰り返し喋った兵士。

 さすがに脩人も困惑気味だ。違和感に気づいた松永が脩人に近づいた。


「どうした。聞けたのか?」

「イヤ、それがさ同じこと繰返し喋ったんだよね」

「ふむ、わかった。僕が変わろう――おい、貴様! ここはどこだ?!」


 松永が問いかけた。


「ここはルーム帝国の首都ライヒだ。真っ直ぐ行けば皇帝陛下の居城がある」

「だそうだ」

「だからさっきから、ソレばかりなんだよ」


 普段サッカーばかりで全然ゲームをしない脩人にはピンとこないが、松永はもちろん心当たりがあった。


「では、あの女性に聞くか?」


 建物の前でウロウロしている女性だ。

 明らかに怪しい動きだ。脩人は仕方なしと考え、2人は女性に向かって歩きだした。

 あと少しといったところで後ろから誰か走ってきた。


 ――ダダダダダダダダダダダダダダダ!


「――大変だ! ウンターガンダが滅んだぞ!」

「なに?! どういうことだ?」


 門番の兵士が男に駆け寄り話かけた。

 城門にある兵士の詰所からも兵士が出てきた。


「俺は商人なんだが、ウンターガンダに寄ったときには既に滅んでいた」

「大変だ! 俺は皇帝陛下に知らしに行く!」

「わかった。頼んだぞ」


 ――ダダダダダダダダダダダダダダダ!


 詰所から出て来た兵士がダッシュで走り去る。「大変なことになった」それだけ言うと門番は元の位置に戻っていった。


 松永は巨乳を揺らしながら商人に駆け寄り話かけた。


「おい、何だって?」

「俺は商人なんだが、ウンターガンダに寄ったときには既に滅んでいた」


 脩人も駆け寄っており、やはり同じことを繰り返すだけかと思っていた。

 松永は呟いた「NPC」脩人は悠葵に借りたコミカライズでしか知らない。


「へえ、これがNPCってか? マジ……リアルじゃん! 人間みてえだな」

「――よく見ろ、それなりにデフォルメされている。それに俺たちだってそうだ」

「……うわ、ホントだ」


 3Dアニメーションぽい見た目のアバターとNPC達。


 今の状況で一番、松永が焦っていた。

 異世界と聞いていたがVRMMORPG。

 所謂、仮想現実そのものだったからだ。

 他にプレイヤーらしき人物は見当たらない。情報交換が出来ないのは痛すぎる。



 首都ライヒを流れる運河横に2人は移動した。


松永と脩人はルーム帝国の首都ライヒから出れないでいた、迂闊に動きまわれない状態だ。


「ステータスオープン――出た!」


 名前:松永秀久 杖使い(ステックアーツ) 性別:女

 Lv. 1

 HP  12/12

 MP  15/15

 STR 0

 INT 0

 VIT 0

 AGI 0

 DEX 0


 SP:20

 スキル一覧

 『ファイア


「松永、なにやってんの?」

「ステータスのチェックだ。ハッキリと決まった訳では無いが、戦ってレベルを上げることも視野に入れないと危険だ」

「……えっと、なにそれ戦うって? ひょとして帰れないってこと?」


 松永は手を横に動かす動作を何回かした。


「ログアウトは見つけたが怖くてタッチ出来ない、。元に戻れるのか――それとも違う世界に戻されるのかが解らない。だから触るな」


 松永の言葉に脩人は冷や汗をかいた。

 脩人も真似てウインドウを開ける。


「了解。頼りにしてるぜ、大将――ステータスオープン」


 名前:鈴木脩人 剣使い(ソードアーツ) 性別:男

 Lv. 1

 HP  15

 MP  12

 STR 0

 INT 0

 VIT 0

 AGI 0

 DEX 0


 SP:20

 スキル一覧

 『斬撃スラッシュ


 ステータスが2人とも0でSP20ポイント持っている。

 つまりSPがステータスポイント20ポイントになる。

 ステ振りしなければならない。


 松永はITNに全振りして魔法攻撃と魔法耐性を上げるか、DEXに少し振って詠唱速度を上げるかを考えていた。


 問題は脩人だ。

 ゲーム知識がマンガレベルに乏しい彼を、どう生かすか?。

 ステ振り次第では『剣』は、タンクも火力もできる。

 ステ振り系RPGの特徴だ。

 VRMMOでスポーツマンの脩人の身体能力を使わない手はない。

 しかし魔法の火力が高い松永は本音を言えばタンクが理想だ。

 だが――。



「脩人、お前に聞きたい。タンクと火力――どっちが向いてると思う?」

「う~ん。オレ、ゲームはよくわかんねえし。松永が決めてくれ」

「そうか――僕は火力が向いていると思う」

「わかった。んじゃ、オレがタンクってヤツやりゃ良いんだな」


 ニッコリ――脩人はイケメンな笑顔で微笑んだ。


「違うぞ。僕は魔法使いで、最初から火力で決まっている」

「……あっそう」



 松永と脩人は取り敢えず、ステ振りは後回しにして首都ライヒの外に出た。

 近辺のモンスターの強さを確認するためだ。スライム程度なら2人でなんとかなると踏んだ松永の提案だ。


 城門から外にでで道から外れ、草むらに入った。30センチほどの背丈に伸びた草が生い茂っている。深いところで60センチ、背高植物が生い茂ってる場所は2メートル以上だ。


 安全を考慮し、30センチの茂みで獲物を探す。脩人は集中力が欠けたのか油断している。


「全然いねえし、いてもこんな草むらじゃあ草で見えねえよ――?! でた……」


 脩人が掻き分けた草の中にブルースライムがいた。


「――脩人、後ろへ跳べ! ――ファイア!」


 ハッと我に返り。バッ――とバックステップでかわす。――バンッ! 離れた瞬間、炎の塊がブルースライムに直撃した。

 脩人はナイフを抜くとブルースライムに跳びかかり、スライムに突き立てた。

 パリン――ガラスが割れるように散ったスライム。

 同時に経験値が2与えられた。

 ゴールドはなかったが、1と表示された。


「油断しすぎだ」

「わりい、助かったよ」


 夕刻の草原に「スラッシュ」「ファイア」2人の声が響き渡っていた。


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