第2話 約1秒
――ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、ドックン――。
心臓の鼓動が悲鳴をあげる。
「……ハッ、ハッ……ハア――ふう」
――何メートルくらい飛んだ?。
寝転がり星空を見ながら息を整える。
――トス、トス、トス、トス、トス、トス。
足音が暗闇から月明かりへ、ソレはのそのそと現れる。
人を吹っ飛ばすモノが。
「グッ、グッ、グッ、グッ、グッ、グッ、グッ」
豚のように鳴き声をだしながら。
目の前に巨体のオークが現れた。
――イイィイィィイィィイィィンンンン。
体内のナノマシンがサポートし、確率された脳量子論に基づいて衛星を介したマイクロ波スペクトルを送受信する。
《接続完了》
虹彩がいきいきと耀きを放つ。
《バイタル値確認。呼吸数低下。酸素濃度低下。血圧低下、脈拍低下。意識レベル1。バイタル低下確認》
"1秒とちょと"――だけ。
《生体保護プログラム作動》
俺の思考は完全に停止した。
《無人格モードに切替。移行します》
――――――――――――――プツン。
普段より少し長い瞬きをするだけ。
《制限解除――全てのリミッターが解除されました》
スパンッ! ――左手で地面を押し叩くようにしてスライド。そのままの姿勢で飛ぶように移動をする。
リミッターの外れた動きは早すぎてオークの目では捉えきれない。
《想定される戦闘をパターン化して予測。戦闘プログラムを構築します》
サザザザザ――左手で地面を掴みブレーキ。
パッと手を離すと勢いのまま後方宙返りで大地にたつ。
オークは前方30メートルに立っている。
《ダウンロードを開始します――ダウンロードが完了しました》
視覚で認知された情報が、知覚で判断されるまでの時間が――『約1秒』後に獲物が消たと判断したオークは本能のままに怒り吠えた。
《インストールを開始します――インストールが完了しました》
「グォオオオ――」
《戦闘データ収集プログラム構築》
意思のない耀く虹彩はオークを捉えて離さない。
《ナノマシンによる身体補修を開始》
身体の中でナノマシンが簡易的に傷を塞ぐ。
《戦闘準備完了――起動します》
タッ! ――瞬く間に詰め寄ると同時にオークの顎、付け根に『スッ』と右手を添え。
触れるように軽く。パシッ――と手刀を叩き込む「――オオオォォ……ォ」吠えながら、オークの首がくるくると宙を舞った。
《データの収集に失敗しました》
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最後に。
読んでくれてありがとうございます。