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05 かがみの世界
次の部屋に入った瞬間、翔太は目を閉じた。
眩しかったからだ。
たくさんの光が翔太を照らしていた。
明るさに慣れた頃、目をあける。
翔太がいたのは、鏡が並んだ部屋だった。
たくさんの鏡が所狭しと飾られていて、室内灯の光を反射していたから眩しかった。
鏡はどれもピカピカにみがかれていた。
だから、そこに映った姿はまるで本物のようだった。
正しい通路を見失わないように歩いて行くが、何度も鏡にぶつかってしまった。
そこはよくできた迷路だった。
翔太が鏡の部屋から出るのに数十分もかかってしまっ。
翔太の背中に向かって、鏡像がにやりと一瞬だけ笑いかけた。