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ヲタク四人の異世界漫遊記  作者: ニニヤマ ユポカ
第二章
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魔王-7

 我々の土産話や休憩を挟みながら、徐々に時間は過ぎ去っていく。最初の目的地であるガトガの町には未だ着かない。


 早朝に出発したこともありおんちゃんとぼっさんは寝ており、トナルさんも相変わらずぐっすりだ。そんな中、うにやんは本を読んでいる。


「リオリネさんも魔法ができるんでしょ」ポエさんが窓からの景色に飽きて、話し始めた。


「使えますわよ」ニコッとするリオリネさん。


「見せて見せてー」無邪気な妖精さんだ。


「もちろん。良いですわ」リオリネさんは「う〜ん」と少し思案してから右手を広げる。すぐに手のひらにはモヤがかかり始め、その霧がさらに真ん中へと集まっていく。そして、球状の氷へと変化していった。


「はい、どうぞ」魔法使いリオリネさんは作り出した氷をポエさんへ渡す。


 ポエさんは自分の頭サイズほどある氷を持ち上げ「わぁー」と感嘆した。


 僕が興味深そうにみていると「食べる?」とポエさんが差し出してくる。


「食べても平気ですか?」一応リオリネさんに確認。


「問題ないですわ」と即リプライが飛んでくる。


 僕はポエさんから氷を受け取り口に含んだ。それは飴玉のように滑らかな舌触りで、高級感のある氷に感じてしまう。


 リオリネさんはさらに小さい氷の粒を作り出し、それをポエさんにあげていた。妖精さんはそれらを小さな体へと入れ満足のご様子。


「とある人からカルシュの氷はケビスイの氷よりも雑味があると聞いていたのですが、今食べたのは全然そんなことありませんでしたよ」僕は素直に感想を伝える。


「実際はその、とある人の言う通りですわよ。今のは小さいサイズだから、空気を入れないように丁寧に仕上げましたのよ。仕事での氷作りはとても大きなサイズを短時間で作りますので、どうしても空気が入ってしまいますの」


「なるほど。その大きな氷を切り分けていき販売してるってことなんですね」


「ですわですわ。一応、頼まれれば、先ほどのように純度の高い氷を販売することもありますわよ。もちろん価格は高くなりますけどね」


「柔軟に魔法の使い方を変えられるのは凄いですねー」感心するぼっさん。いつの間に起きていたのか。


「これぐらいのことはお茶の子ですわ」また氷をいくつか作り出し、ぼっさんとうにやんにも手渡す。


「水が無くても作れるのですね。カルシュの氷は魔法で水を凍らせていると聞きましたけど」ぼっさんが氷を口に含む。


「カルシュではそうしていますわね。そして今は空気中の水蒸気を集めていますの。事前に水を用意するか、即席で集めるかのか違いですわ」


「なるほどぉ」ぼっさんは納得する。


 そして、彼女は再び氷を作り出し読書中のキヌモアさんの腕に押し付けた。


「ヒャう」と小さく声を漏らすキヌモアさん。本を閉じて、リオリネさんから氷を受け取った。キヌモアさんは特に怒ることもなく、その行為を受け入れている。何回もやられており、慣れっこなのかもしれない。


 リオリネさんが動いたことにより気づいたが、彼女の水色髪、その髪の裾の色が濃くなっているのが分かる。キヌモアさんと一緒で魔法を使うと髪の毛の色が変わるみたいだ。


 キヌモアさんも魔法が使えるが、ポエさんはリオリネさんのようにリクエストをしない。友人のメーネさんが火の魔法を繰り出すことができるので興味がないのかもしれない。触れないでおこう。


「そういえば、今回のことメーネさんには伝えてあるの?」僕はポエさんに聞く。


「当の然よ。お土産を頼まれたわ」


「心配されなかった?」


「全の然。最初にシキさんたちと一緒に行くって説明したから、微塵もそんな素振りはなかったよ」


 メーネさんも一緒に行きたい様子はなかった? と聞こうとしたが、僕の中の地雷探知機が警報を鳴らしたので思い止めることに成功する。喉元まで出かかっていてので危なかった。


「メーネさんってどのような方ですの?」リオリネさんの疑問。


「メーネは私の友人、いや親友でね。魔法で火が出せるんだよ」気合たっぷりで話すポエさん。「可愛くて、聡明で、ハコネズミグッズを集めるのにハマってるの」


「良い趣味をお持ちですわね」と楽しそうに話を聞くリオリネさん。


「シキさんたちとは肉を喰らう仲なのよ」


 その情報は要らないでしょっと思ったが、リオリネさんは興味深そうだ。


 それからしばらくポエさんによるメーネさんとの思い出話が続いた。



「火の魔法といえば……」リオリネさんはキヌモアさんの方をチラッと見やる。


「馬車の中だから、披露することは出来ませんよ」キッパリと断るキヌモア氏。


 それに対して残念がるリオリネさん。


「元気出して、私がいるじゃない」ポエさんはリオリネさんの側に飛んでいき慰めの言葉をかけた。

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