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ヲタク四人の異世界漫遊記  作者: ニニヤマ ユポカ
第二章
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魔王-5

 その女性の特徴的な水色髪は肩甲骨辺りまで伸びており、裾が巻かれている。白の半袖シャツに青のロングスカート、足元にはチェックの靴下が顔を見せており、先が丸っこい可愛らしい茶色の革靴を履いている。ミラルエさんやキヌモアさんと年齢は近そうだ。


 女性は片手を腰に当て佇んでおり、我々のリアクション待ちだ。


 僕はすぐにミラルエさんの方を見たが、彼女は知らない知らない私は何も知りませんと首を横に振る。


「リオリネさん……」我々の後ろにいたキヌモアさんが声を出す。


「あ、お知り合いなんですね」少し安心し、僕はキヌモアさんに聞く。


「はい。氷処カルシュに属しているリオリネさんです」


 別の氷処の人か。ということは商売敵?


「私もその旅路に同行させてもらえませんか?」リオリネさんという方はズイっと一歩進んで尋ねてくる。


「えーっと」戸惑い僕はみんなの反応を伺う。


「戦力が多くなるのであれば私は構いませんよ」依頼主であるトナルさんの意見。


「リオリネさんも魔法の腕前は十分ありますので、大丈夫かと思いますが」キヌモアさんの考え「ただ、魔物との戦いに慣れているかどうかは分かりません」


「話を聞いていたのなら分かると思いますが、ゼーヲ荒野で僕たちをゾンビから守ることが同行の条件ですよ」僕は確認する。


「問題ありませんわ。わたくしも最近ここの狩処経由で魔物討伐をこなしていますのよ」


 僕はミラルエさんを見る。


「ちょっと待って確認してくるから」とミラルエさんはカウンターへと向かっていった。


「キヌモアさんが狩処で活躍していると聞いて、私も始めてみましたのよ討伐というものを」語り出すリオリネさん。


「何故か私の真似をしたがるんです」僕らにだけ聞こえるように話すキヌモアさん。


「あなたのライバルとして、わたくしは遅れを取ることは出来ない。ですので連れていって下さいませ。お願いします。わ」リオリネさんは少し謙虚に成る。


「私は別に構いませんよ」キヌモアさんは寛大な心で受け止めた。


「分かったよー」ミラルエさんがリオリネさんの身元調査を終え帰ってくる。「うん。きちんとうちに登録してて、先週にカプラント討伐を達成してるね」


「カプラントって手強いのですか?」ぼっさんが聞く。


「そこそこかな。金属の鎧を纏った植物の魔物で、初めての依頼で退治できるのであれば十分実力はあると思うよ」


 ふふふんっと自慢げになるリオリネさん。


「でも依頼の受注回数はその一回のみだけどね」


「それでも、俺らみたいな非戦闘員よりかは全然力になれますので、俺はリオリネさんにも依頼をしてもいいと思うけど」みんなの反応を伺うぼっさん。


 口を少し開け、両手を合わせて嬉しさを表現するリオリネさん。


「私も一人で護衛をすることに不安はありますので、その提案に賛成です」キヌモアさんに拒否感は無いみたいだ。


 僕とうにやん、おんちゃんももちろんオーケー。トナルさんは元より肯定はしていたので、全員賛同したことになる。


「ではでは、改めましてキヌモアさんとリオリネさんに僕らの護衛をして……」


「話は聞かせてもらったよ」


「…………」


 二人に依頼しようとしたところ、再び背後から声が聞こえてくる。


 僕はもう反応する元気もなく、ゆっくりと振り返った。


 視線の先には腕組みをして浮かんでいる妖精ポエさんの姿がありました。


「今、大事な話をしてるのでちょっと待っててね」僕はポエさんに一声掛ける「ではキヌモアさんとリオリネさんは同行をお願いします。後ほど受付で依頼書を用意しますので」ようやく僕は話を進めることができた。


 二人は首肯し、承諾してくれる。


「終わった?」ポエさんが僕の眼前に飛び出して聞いてくる。


「はい。取り敢えずは一段落です」僕は報告した。


「ピミサ……」トナルさんが目を大きくし、ポエさんに驚いている。


「…………」


 僕とポエさんはトナルさんの反応に黙ってしまう。


「この方はポエさんです」トナルさんに紹介する僕。


「失礼しました。ピミサさんに似ていたもので」


「ピミサって、あのキベロスが生き返らせようとした人ですか?」質問するぼっさん。


「そうです。そのピミサさんです」


「ピミサさんは妖精だったんですか?」次はうにやんの番。


「はい。キベロスさんは絵も得意でしたので、彼女の肖像画をいくつか描いていたのです。私もそれを拝見しており、今回ポエさんに反応してしまいました」


「そんなに似てるのですか?」僕は聞く。


「えぇ。心が騒ぐほどに」


「ということは……」僕は気づき始める。


「はい。キベロスさんを助けることができるかもしれません」

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