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ヲタク四人の異世界漫遊記  作者: ニニヤマ ユポカ
第二章
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アクアサ-9

 しばらく進むと灯台付近にまで到着する。灯台は小高い場所にそびえており、登り坂が体力を奪っていった。白き灯台の足元では観光客が数人集まっており、灯台を見上げたり海の景色を望んだりしている。


 灯台の下には扉が設置されており、我々はそこから内部へと入っていく。内壁に沿って螺旋状の階段が渦巻いており、そこを登らないと展望台へと行けないみたいだ。幸い階段には手摺りがあるから落ちることは無いだろう。


「この灯台の高さ二〇メートルだって」階段を攻略しながらうにやんが言う。


「それじゃ七階建てのマンションくらいだね」ぼっさんが比較対象を出してくれる。


 灯台を間近で見たときは高さを感じ登ることに億劫さがあったが、七階建てのマンションを階段で上がっていくと考えれば少し気楽になった。


 何回も太腿を上げることで僕らの体を展望台まで運ぶことができた。展望台の中央にはさらに扉が作られており、その先には行けないようだ。光を灯す場所は重要なので関係者以外立ち入りは禁止されている。平地よりも標高がある場所に灯台が作られているので、展望台からはアクアサの町が見える。全てが俯瞰できるわけではないが、景色を見たいという人であれば十分だろう。別の角度からは海が眺望できるが、海の向こうに島や他の陸地が見えることはないので、灯台の下から見えた景色と変わりばえがしない。


「帰るとき、画材屋寄っていくねボク」


 四人で海を眺めているとうにやんが声を出す。


「それじゃ帰りの馬車の時間まで別行動にしようか」ぼっさんが提案する。


 僕とおんちゃんは了承。


「画材屋で何を買うの?」僕はうにやんに聞く。


「カラルルさんから頼まれごとをしていたから、それを買いに行くんだよ。ついでに自分のも購入するかもだけど」


「あ、そういうことね」


「そういうこと。そういうこと」っと海に向かって頭を縦に振るうにやん。


 会話は途切れたが、僕は気づいてしまった。カラルルさんに頼まれた品を渡しに行くということは、ファレサさんやソルドさんにも何か持っていくべきではと。特にファレサさんにはドロールドラゴン討伐の際に頂いたお弁当のお礼ができていない。そもそも会えてもいないから感謝の言葉も言えてはないけども。


 灯台から降り、アクアサの町方面へ戻る道中、僕はぼっさんに相談した。


「うーん。趣味とか欲しいものとか分からないから食品を渡すのが無難じゃない?」ガイドブックを見ながら答えてくれるぼっさん。


「なるほど。それなら悩まなくても良いね。それじゃ保存が効きそうな物を買えばいいか」


「俺も行きたい場所はないからお供するよ」


「助かります」



 アクアサの町中に着いたので一時解散。うにやんは画材屋方面へ行き、僕とぼっさんはお土産屋さん巡りをする。おんちゃんの目的地は不明。駅馬車の時間までに帰ってくれば何でもいいや。


 ぼっさんと何軒かお店を回る。ついでだが、果物屋さんへ立ち寄り仮面の宣伝はしましたと報告もしておいた。正直宣伝効果があるとは思えないが、店長は喜んでくれたので良しとしよう。


 お土産を購入することができたので、僕とぼっさんは適当な喫茶店へと入り馬車の時間まで休憩していた。


 午後六時、夕焼けに染まるアクアサ。最初に降り立った地点で我々は無事集合できた。馬車移動の往路でうにやんと話していた通り、帰りの馬車はグレードを上げて、クッション椅子が装備されたものを選択する。他に同乗者もいないようなので四人で貸切だ。


「今さら言うのは遅いけどさ」馬車がシャヌラ方面へと進み始めてから僕は声を出した。


「何?」ぼっさんが聞いてくれる。


「ファレサさんへのお土産は買ったけど、ソルドさん個人へのお土産も必要だったのでは?」


 僕の疑問に対して、顔を少し上げて思考するぼっさん。


「ほら、最初の依頼で山に鉱石を取りに行ったとき、弁当を用意してくれたり、バニベアを退治してもらったじゃん」


「そっか。ファレサさんに気を取られすぎていたね。俺も失念していたよ」ぼっさんは反省する。


「そんなこともあろうかと私が準備しておいたから大丈夫」おんちゃんが右手を小さく上げる。


「ほんとう!?」僕は驚き安堵する。


「何買ったの?」ぼっさんが聞く。


 おんちゃんは自分のショルダーバッグから一つの瓶を取り出した。

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