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ヲタク四人の異世界漫遊記  作者: ニニヤマ ユポカ
第一章
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ドラゴン-5

 ウルフレームらは丸みを帯びたボディラインを持っているが消炭色のそれはところどころ破けている。体の暗さとは対照的に鮮やかに染色されたマントを各々羽織っており赤黄青と様々だ。もちろんこちらも綺麗ではない。また特徴的なのが顔の動きだ。小刻みにカタカタと動かしているのもいれば、あかべこのようにのったりと顔を振っているのも存在し、顔を三六〇度回転させている酔狂なモノもいる。


 敵さんの観察をしているうちにミラルエさんはすっかり取り囲まれてしまったが、剣を左方に向け切っ先を地面に着けている彼女は微動だにしない。


 そしてミラルエさんに対して右後方のウルフレームが彼女に向かって跳躍した。


 左足を一歩踏み込みながら体を動かしウルフレームの顔面をフットスタンプ


 すかさず右にずれ左後方から跳んできた顔に裏拳


 体を旋回させながら右左とステップを踏み一斉に襲ってきた彼奴らを避け


 雑草を親の敵のように右足で踏みつけ、動く木材たちに金属を振りかぶり乾いた音を鳴らす


 左脚を離陸させ右脚を軸に上半身を過剰に回し巻き込んだモノを中空へ


 一匹は最初の衝撃でバラバラ

 

 二匹は空中分解


 二匹は地面と衝突し複雑骨折


 眼前に転がってきた頭が僕たちをジロリと見やる。


 再び前方に顔を向けるとミラルエさんは最後の一匹と対峙していた。


 ミラルエさんは草刈機のように長剣を横振りし牽制する。


 ウルフレームはそれを逃れながら後退し、そして、剣撃を避けるため、剣の持ち主を機能停止にするため、前方へと高く弾んだ。


 相手が跳ねると同時に体をピタリと不動にして、右手をグリップから離し颯爽と腕を突き上げた。


 首を支点にして体がへにゃるウルフレーム。ミラルエさんが手を広げると、頭と体は仲良く地面へと落ちていった。


「…………」


「終わった、でいいんだよね?」うにやんが前を向いたまま口ずさむ。


 赤と青の布が風に吹かれ東へと泳いでいき、観戦していたメカブドリの群れは散り散りに飛び去り、そして序盤に襲いかかった二匹のウルフレームは起き上がり、仲間達の惨状を目にし南南東へと走り去っていく。


「うん」と頷く三人。


「…………」


「最初、蹴りを入れたとき、剣使わないのかーって思ってしまった」ぼっさんが立ち上がる。


「わかる」僕も起き上がる。


「次の裏パンチでも同じこと思ってしまった」起立するおんちゃん。


「わかるー」


「で、こう剣を振りまわしてドカバビューンだったね」うにやんもおっ立ち剣を持っている感じで体を一回転させる。


「最初の避けモーションを含めれば二回転はしてたんじゃない?」こうやってと言いながらおんちゃんが慣れない足捌きを入れながら体を二回転させる。


「うん。さらにもうちょっとこう踏ん張って上半身を大きく使っていたかな」動きにアドバイスを入れるぼっさん。


「なんにせよ」


「「「「凄かったっ!!」」」」と僕たちはミラルエさんの元へ走り出す。


「でもあれだね。もうちょっと別の視点でも戦闘を見たかったよね」


「ああー。固定だったもんね」共感してくれるぼっさん。


「ミラルエさんやウルフレームたちの視点からとかね」とおんちゃん。


「あとはミラルエさんを中心に置いて、円周上にカメラを移動させたい!」とうにやん。


「「「イイねー!」」」走りながらうにやんの方を見る三人。


「これを元に自分たちでアニメとか作っちゃう?」


「じゃあ私絵コンテ切るー」おんちゃんが元気に挙手。


「僕もコンテやってみたい」


「二人とも作ってみて良いところを合わせれば良いんじゃない。それではボクはキャラデザで」うにやんも手を挙げる。「ぼっさんは?」


「うーん。声をあてる……かな」ぼっさんが少し考えながら答える。


「…………」


「ウルフレームの?」


「いやいや」手を振るぼっさん。「でもまぁそれも良いかー。だけど俺が思ったのはミラルエさんの心の声」


「ええー。それは要らないでしょー。台無しになっちゃうよー」


「奇跡的に面白くなるかもしれないでしょ」


「仮に入れるとしても本人にやって貰えば良いんじゃない?」ミラルエさんを斡旋するうにやん。


「あ、それもそっかー」と目から鱗のぼっさん。


 ぼっさんの反応に笑う我々。


 こうして僕たちは神アニメを見せられたヲタクのようにキャッキャとはしゃぎながらミラルエさんのところへと駆け寄った。

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