表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヲタク四人の異世界漫遊記  作者: ニニヤマ ユポカ
第一章
20/103

依頼-4

 カラルルさんは虚をつかれた感じで一瞬静かになった。


「……分かりました。えー、ではファレサさんからお願いします」


 んーっと手を顎につけて考え込むファレサさん。


「特にありません」ニコッとする。


 アピールポイントは柔和な笑顔っと。僕は脳内の記憶装置に画像付きでメモした。


「それでは次、ソルドさん。先に説明しておきますと、ソルドさんは先ほど会話に出てきた、男性のお手伝いさんです」


 ソルドさんは瞬きしているが、表情を変えない。


「改めてソルドさんどうぞ」カラルルさんが手を向ける。


 少し顎を上げて天井を見上げるソルドさん。考え込むように首を左右に振っており、サラサラの青髪も追従している。


「私を道案内役に選びますと……」若干低い声のソルドさん。「鉱石を集めることや運ぶことを手伝います」


 うにやんの言った通りだ。


「あと……」


「……」ソルドさんの顔をみる僕たち。


「野生動物や魔物に襲われても、守ります」顎を下ろし眠たそうな目で僕らを見る。


 トクン。今、何か心が動いた気がした。……。乙女ゲーはプレイしたことないけど、もしかして、こんな感じなのか……。いや、ちょっとまって、今魔物と言わなかった!? この世界の人から初めて魔物という言葉を聞いたと思う。


「では最後にママ……じゃなくて、ケイラ・シュモインさんお願いします」


 手を体の前に合わせているお母様。


「わたくしを選びますと、道中出会う花や木の名前を教えますよ」


「……」


「あ、もちろん性質や育て方も知ってますので、どんどん聞いてください」笑顔でポンっと手を叩くお母様。


「それだと役に立たないでしょ」とカラルルさんが突っ込んでいる。ケイラお母さんも「そうかしら道中楽しいと思うんだけど」と親子の会話が繰り広げられる。微笑ましい光景だ。


 その後、ぼくたちは再度相談、多数決を行い、シルム山エルミア鉱石がある場所までの案内役を選ばせてもらった。



 空模様は上天気。数多の雲が見え、お天道様を隠したり現したり、好適な鉱石集め日和ではなかろうか。昨日購入した革靴も陽の光を照り返して素敵だ。


 あれから僕たちは前金を頂き、おんちゃんの衣服を買った店へと突入した。店長のゲェッまたきたという反応を期待していたのだが、普通に接してくれた。お金を払ってくれるまともなお客だと判断され、特に驚かれることも無かった。むしろ少し親しく接してくれた気がする。それはそれで嬉しい。


 そして、前金を全て使って我々は革靴と靴下、そしてショルダーバッグを人数分購入した。革靴は底にゴムが付いており、長時間歩いても疲れにくい仕様。靴下は適当。ショルダーバッグに回すお金は少なくなってしまったので、中古品を購入。ボロボロだがバッグとしての機能は果たしてくれるはずだ。僕のは側面に小さな穴が空いてるけど……。でもってうにやんのバッグはツギハギだらけだ。しかし、うにやん曰く、ツギハギがおしゃれなんだよーとのこと。


 他には町長夫人から頂いたお金が少し残っていたので、水筒を一本購入し、水道水を入れて、僕のバッグの中に入れている状態だ。あ、バッグに小さな穴が空いてるからといって、いつの間にか水筒を落としていたというオチは無いので安心したまへ。


 このような経緯があり、現在僕らはシルム山への道なき平原を歩いている。


「やはり私が案内役では都合が悪いと思うのですが……ソルドくんが適していたと」ファレサさんは青白のボーダーTシャツに細めのインディゴデニム、底が平らな茶色のブーツを履き、リュックを背負って隣にいる。


「そんなことはありません。我々にとっては好都合というか、最適だったというか。一緒に居てくれるだけで元気が、活力が、モチベーションが保てます」


 ぼっさんとうにやんが相槌を打ち、おんちゃんも少し遅れて頷く。


 おんちゃんの反応が他の人より悪いのは理由がある。実はおんちゃんだけがファレサさんではなく、ケイラさんを推していた。再度相談をしているとき、木の名前知りたいでしょ花の育て方教えてもらいたいでしょと訴えていたが、おんちゃんが植物、園芸が好きということは聞いたことが無いし、話題が出てきたことも無い。おそらく興味は草花では無くケイラさん自身ではないかと踏んでいる。


 ソルドさんも悩んだが、カラルルさんが一度も危険な目に合っていないということから、護衛は必要無しだと判断した。鉱石集めも運びも四人で十分だ。


 故に多数決の結果ファレサさん三票、ケイラさん一票により、ファレサさんが僕らと共に歩いている。


「左様ですか……。そうですね、皆様が依頼を成し遂げ鉱石を持ち帰ることが、カラルルさんの目的でもありますので、私も頑張って道案内します」こぶしを握るファレサさん。


 気合いを入れるお顔も素敵です。エネルギーが湧いてきます。


「そうです。頑張りましょう。そして、鈴知こもかを救い出すのです」うにやんも握りこぶしを作り燃えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ