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魔法使いと魔獣クロ  作者: カンヅキレンナ
第一章 想いの強さ
9/11

8 話し合い

なぜ日付変更してからでないと投稿できないのだー!!

「キュゥキュ~・・・」


(此度は失礼をば~・・・)


「ほら、こうやって・・・謝ってるんだから・・・許してやってくれ・・・ふぅ・・・」


「頭を・・・下げてる、のは認めるわ・・・けど誠意が、感じられないし、そもそも私の琴線に触れた事よ。今回は諦めてその魔物を・・・ふう・・・奴裂きにさせてもらうわよ。母さんでも許さないから。むしろ母さんは黙ってて」


「な・・・なんでそんなにクロを邪険にする。確かに魔物を従属して連れてきたのは初めてだし。それにしても余りにらしくないぞ」


土下座のポーズのまま動かないでいた。動いてまた矛先がまたこちらに向いたら今度こそ終わりだと思ったからだ。


「・・・はぁ。ええごめんなさい、ちょっとイライラして。原因はこいつの所為なんだけどね。私もある程度冷静じゃなかったわ」


「よかった落ち着いてくれて。クロもこれに懲りたら金輪際やらないように・・・」


「キュイキュイ」


(うんうん、分かってる分かってる、今度は手加減してって事だよね)


「反応がちょっと軽すぎない?本当に反省してるの?」


「してる、してるから・・・はぁ」


訝しげな眼をしながらも、ソファに座るレイナ。その後エアナは、ちょっと疲れて溜息をこぼしてレイナの隣に座る。クロはそれに倣い、向かいのソファに飛び込む。


「それにしても、おかしいわね、こいつ。母さんがそのダンジョンの中へ行った時間から数えてもまだ半日も経ってないわ。なのに、この学習能力の高さは何?」


「クロの種族みんなこうだという事と推測した。ここまでのスピードの成長速度は、人間の脅威になるかもしれないな。とりあえずは成長限界を見て、どんな特殊能力があるかを見なくてはな」


「けど、こんなちみっこいのがどのくらいできるかなんてわからないでしょ。というよりどうやって見つけたのよこいつ」


「ダンジョンの通路の端で怯えて隠れてた。なかなか臆病な種類の魔物で滅多に人前に出なかったのだろう。だから今まで発見されなかったとか」


「臆病な魔物って・・・そんな魔物聞いた事もないわよ」


説明されたことが信じられないのか、驚きに目を見開いている。だが、続きが気になり、先を促す。


「私も初めてだ。だから今までの冒険者が見つけられなかったんじゃないか。可能性として考えられるのは、こいつ自身の活動範囲が固定されていないんじゃないかという事。そのために他の魔物と出くわし、我々が発見する前にやられたかだな。私が見つけたダンジョンは、他の魔物も好き勝手に動いていて、違う魔物と殺しあってたからな。だから幸運な事に生き延びて見つける事が出来た」


「けど待って、それじゃあダンジョンに籠って攻略してる奴らが発見してもおかしくはないじゃない」


「私もこれは可能性が低いと思った。だから次に考えられることが一番有力だ」


「・・・新しくダンジョンが生成した魔物」


どこか怯えるように言うのは、きっと気のせいではないだろう。顔は伏せて、影が出来る。


「そうだ。深層へと潜っていくにつれ私たちが見た事ない魔物がいるのは分かる。でも今回私が見たのは、第9層で、浅層も浅層だ。これぐらいの深さなら今までの冒険者が何万人以上も通ってきた」


「・・・確かに一桁層は浅層って言ってもいいけど、それでもこの短時間で9層も潜る母さんはおかしいわよ。そこまでなら普通の人は半日かけて行くものでしょうに」


「いや、今回はさっさとダンジョンを潰すためにスピード重視だったからな。私でも探索を入れれば、今ぐらいで9層に着いたかぐらいだろう。それに難易度もそこまで高くはなかったぞ」


「母さんだから言える事ね。あと今言った目安はそのスピード重視で、なおかつ、マッピング出来てることが前提よ」


長々と話してるのを横目に見ながら、二人の会話を聞いている。エアナの発言から察するに、自分の事を話してるようだ。


(そんなの自分自身でも分からないのに)


ようやく落ち着けたので、後回しにしていた自分の事を、今一度振り返る。自身には人としての生きた記憶がある。人としての意識もちゃんと持っていると。ただお風呂の時にあったエアナとの、美人な人との風呂にも、最初はテンションが上がっていたけど、次第に収まり落ち着いていった。


これは自身自分でおかしなことだと分かる。生前は男だったのだから、興奮しないのがおかしい。この体になったからなのか。それとも他に原因があるのかは分からない。


「何はともあれ、そろそろご飯にしないかクロ?お腹がすいてきただろ」


「キュイ」


「よし、任せてくれ。頑張って練習した腕前を披露してやる」


「ケイチョウの卵はうまく割れるようになったのかしら?勢い余って、器ごと粉々にしない?」


「ううう、うるさいな。なら見ておけばいいだろ」


「はいはい。本当は不安なんでしょう?母さん、ド下手くそなんだから」


「時々失敗しなくなったんだからいいじゃないか!」


「目標は一切失敗しない事よ」


「ううぐ・・・」


どうやら料理担当はいつもはレイナらしい。だけどそれでは駄目だと料理を教わってるようだ。今回の料理は失敗しないことを祈って。


(ちゃんと美味しい物でありますように・・・)








「美味かったか?」


「キュゥキュ」


(食べられなくもなかったが美味くもなかった。けどごちそうさま)


「う、微妙だって伝わってくる・・・」


異世界なりに見た目ではどんなのか分からないような食材ではあったが、まともな料理ではあった。今回は失敗しなくてよかったと思う。まあ横からあれこれ教わりながらだったからだが。ただ味気ない、キッチンをよく見てみると、扱ってるキッチン用具は地球にあった物とそう変わらない、だが調味料と呼べるものが塩しかなくて、後は具材そのものの味しかないようだ。そう思うとこれでも美味しいほうなのかもしれない。


「グルメな魔物ね。これ以上に美味しいものがあったらお目にかかりたいわ。不思議ね、食べ方綺麗すぎ。見た目とは違って」


何かこっち見て呟いたが、多分また何か悪口を言ってる気がした。煽るなとお願いされてるので、今は勘弁してやる。


「残さず食べてくれるのは嬉しいな。不思議といえば、この従属の儀だな。ここまで一心一体だと、逆にむず痒い」


「従属なんてそんなものよ。けどこいつと母さんがどんどん離れていくとそういうのもなくなるから。嫌になったら少し身を離すのもいいわ」


「嫌という訳ではないんだ。ただその、ちょっと恥ずかしいというかだな・・・」


「・・・恥ずかしいの?」


「あ、ああ。何だろうな。クロと繋がっている事を意識すると、こう・・・心を覗き見られてる気がして」


「それはおかしいわよ。魔物って言っても所詮は獣よ。確かに知性の高さは認めるし、よく分からない勘の良さも・・・あーまたなんかムカついてきた」


「それは鎮めてくれ・・・けど普段のものならそこまでの気持ちにはならないのか?」


「そうね・・・今こっちには来れない私と契約してるエンテも、格も自我も高い彼女と共にいてもそんな気持ちなんて一切わかないわ。契約と従属は違うけど、契約の方がより密接に繋がるのよ?従属の儀は言いたい事が伝わればいいぐらいのと、主従の関係を明確につける事、命令に逆らわない為の術式しか組まれてないはずよ。てことはただの自意識過剰っていうの?それなんじゃない?」


「そ、そうなんだろうか・・・クロ、なんだ?」


自分も感じるこの繋がり。イメージとしてはその繋がりを通って、エアナを凝視してみる。すると戸惑いと困惑と羞恥心が感じられる気がする。


「・・・」


(おお、なんか靄がかかった感じだけど何となくご主人の気持ちが伝わってくるような)


「や、やめろ・・・黙って見続けるな・・・」


「キュイィィ~・・・キュイィィ~」


「鳴きながら見続けるのもやめろ!」


「キュー、キュキュキュー、キュキュキュキュキュ~キュッキュ」


「え?なんで?・・・あ、う、歌いながら見続けるのもやめろ!」


「キュイ」


(しゃーないこれぐらいで勘弁してやる)


「うう、何でこんな気持ちになるんだ・・・」


「よくこれで一緒にお風呂に入ったわね」


「その時は全然気にならなかったんだ。クロも風呂に入れることに夢中になってたから、一段落して、こう、クロとの繋がりを意識すると・・・うう、だめだ・・・」


「はあ、変なことになってるわね。一体どんな風に従属させたのか教えてよ。それをまず聞いとくんだった」


「あ、ああ、そうだな。それと後で、レイナにもダンジョンの所まで案内する」


「お願いするわ。けど良かったわ、わざわざ遠出してダンジョンに行かなくていいなんて」


「管理する方も大変なんだぞ。オーバーダウンして、魔物が溢れかえらないようにする管理局は、毎日この大陸中を見張ってるんだからな、そうだ。後で報告にも出ないといけないな」


「観測器ありきでしょう?実際には観測機が不調にならない程度に見て、計器が反応したら他の部署に丸投げしてるって聞いたわよ」


「・・・大体合ってるがな、だがその観測器なしの時代は本当につらかったのだぞ。日夜大陸中を歩き回って、危険な所にもダンジョンが出来てないかを探る日々だったんだ」


「あ~はいはい。昔の苦労話は良いわよ。取敢えず今朝の話」


話が脱線し始めてる所に路線を正しい方へ無理矢理に戻した。エアナは少々不満ながらも、クロと出会ったことを今度は詳しく話していく。

(話に入る余地がねえ)

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