50 エストス対クラッシュタイタン四型
崩れ落ちた要塞内部で轟音が響き渡る。
それは破壊、衝突、粉砕音のありとあらゆるブレイクウェーブ。
重低音から高音域までの金属音のセレナーデ。
「てめえ。こっちにくんな」
鋼鉄の巨人――クラッシュタイタン四型の一機が宙を舞う。
「てめえこそ、そこにいんじゃねえ」
そして放物線を描き、別のクラッシュタイタン四型に激突。
二機の巨人が抱き合うように転がり、激突音、衝突音、火花が、衝撃波が響き渡る。
姿勢制御ノズルと反重力推進を怒号のように咆哮させ、巨人が立ち上がる。
そこに白き風が舞い降りる。
「くそがあああ」
「てめえ邪魔だ」
慌てて回避する二機のクラッシュタイタン四型の合間に白き暴風が巻き起こる。
衝撃波が半球状に膨れ上がる。
重力を相殺する反重力器官を使用していたのが仇となった。
二機のクラッシュタイタン四型は無様な姿勢でまたしても宙を舞う。
床には巨大なプラズマ球体と放射プラズマが拮抗し空気中の塵を溶かした。
その中心にいるのは人影。
白銀の鎧を纏った女性のような人影。
その鎧には一切の継ぎ目がなく滑らかで周囲のプラズマ光を妖しく、艶めかしく反射していた。
「なんなんだあいつは?」
「知らねえ。なんで生身の人間がこのクラッシュタイタンとやり合ってんだよ」
「それはてめえが弱っちいだけだろうが?」
「あんだと? てめえも一緒に吹っ飛ばされてたんじゃねえかよ」
サダマ上等兵とグリム上等兵が愚痴りながらも白き鎧に向けて突進する。
だがその罵り合いとは裏腹に息の合った二機のクラッシュタイタン四型の二振りの巨大な反物質ソードが白き鎧を捉えた。
だが白き鎧は既にそこにいない。白い残像を残しながらジグザグ軌道で回避する。
それは反重力器官による無限軌道ではない。
明らかに異質。推進器も空間演算推進跡も残さない。あり得ない機動力。
赤い軌跡を残した未知の推進力。
「退くのである」
大きく振りかぶった二機のクラッシュタイタン四型の背後からゲロンド機がロケット推進の尾を引きながら白き風に斬りかかる。
だが白き風がまたしても不可解な動きでスライド回避。
「ぬ? よけたのであるか?」
動揺するゲロンド機の横からサダマ機が巨大な右腕を白き鎧に向ける。
「邪魔だ伍長。予備弾装填。ええいこれでも喰らえ」
サダマ機の右腕に内蔵された王立工房ダッカン製のエネルギー機銃大砲が火を噴いた。
そこから放たれたのは質量弾をエネルギー被膜で覆った破壊の権化。
発射音と命中の破壊音が要塞内を揺らすがそこには誰も居ない。
「外した?」
「下手くそか」
着弾と跳弾が要塞内部を乱舞する。
飛び散ったエネルギー銃弾が要塞の内部の強固なフラクタル構造体をへし折り蜂の巣状に破壊する。
「くっそ、どうなってる?」
「あれを使う。伏せてろ」
ダッグ副官の駆るクラッシュタイタン四型の背中から巨大な砲身が迫り出し、折れ曲がり巨大な砲身が出現した。
その巨大砲身が肩の専用マウントにアタッチすると極太エネルギー供給パイプが蛇のように踊る。
そしてクラッシュタイタン四型の踵の後部パーツが高熱を発し要塞の床を融解し、接着した。
「アイゼンロック。カウントダウン省略。簡易未来予測演算完了。エンドベル圧縮大砲発射」
その時、閃光が床を壁を天井を焼いた。
轟音が衝撃波が全てを吹き飛ばした。
粉塵と瓦礫とプラズマで曇っていた要塞内が一気に澄み渡る。
その射線上にいるは剣を抜刀した白き鎧。
その後方で二つの大爆発が発生。
塵と衝撃波が逆方向に舞い戻る。
「斬っただとおおお」
「は?」
「な?」
「信じられないのである」
「おいおいおい」
「こいつはおもしれえ」
タフガイ達が笑うのも無理はない。
エストスはエンドベル圧縮大砲の亜光速弾丸を一振りで斬ったのだ。
「何だあいつは? 本当に戦闘機乗りか?」
「ワルキュリアエッダ隊の隊長だと名乗ったからそうだろう」
「だがありえねえ」
「てめえより強えじゃねえか?」
そう、これはただの戦闘機乗りに出来る芸当ではない。
銀河最高歩兵戦力であるアシッドアーマー隊と互角にやり合っているのだ。
いや互角ではない。圧倒していた。
クラッシュタイタン四機をたった一人で相手しているのだ。
それは銀河最強のアシッドアーマー隊以上の戦闘能力を有しているということだ。
「シルフアルケミー対人兵装。観測機とのアクティブリンク良好。次元昇華ジェネレーター出力安定。ミリガタル製魔原子消滅エンジン使用率数パーセント以下。A2B通信良好。エンジンも温まってきたようだな。いざ推して参る」
エストスが消えた。
いや、サダマ機の後方にいた。
しかも反物質ソードを振り切った状態でだ。
「なっ?」
ゴトンと巨大な金属の塊が落ちた。
それはサダマ機の巨大な腕だった。
そう斬ったのだ。クラッシュタイタン四型の圧縮金属の腕を両断したのだ。
いくら触れただけで対消滅し切断する反物質ソードといえども、クラッシュタイタン四型の腕は細くはない。
そう簡単に斬れるものではない。
そもそもクラッシュタイタンの防御スクリーンはどうした?
複合コンポジットアーマーの装甲はどうした?
対魔族用結界文様はどうした?
だがシルフアルケミー対人兵装の前にはそんなものは何の意味もなかった。
剣技とか技術とか経験とかを否定するような圧倒的なパワー。
その小さな体のどこにそんな出力があるのかは不明。
事実を簡潔に描写するならば、エストスのその華奢な腕がクラッシュタイタン四型の巨大な腕を斬り落とした――ただそれだけだ。
「あれは信じがたいごとだがモータースキル……イシキリであるな」
ゲロンド伍長が冷静にそう言った。
「なんだと? モータースキルだとおお?」
「どうなっている?」
「速いだけではないのであるな。パワーがある。だがそのパワートレインは何だ?」
「お前らとっとと俺と変わりやがれ」
ガガーランド隊長が通信で叫んだ。
「タイタンがないボスは黙って下がっててくだせえ」
「ええい、ゼンガ。味方と俺の予備機はまだか?」
「要塞内部の崩落が激しく、そこに辿り着くまでもう少しかかります」
「ええい、早くしやがれ」
「隊長。ここはお任せを。フハハハ」
「ダッグてめえ楽しんでじゃねえ」
「これも任務ですから」
「くっそ。直ぐに戻る」
ガガーランド隊長が通信を切った。
「たかが戦闘機乗りが王国最強の俺達と遊びってえってか?」
「そんなに死にてえなら仕方ねえな」
四機のクラッシュタイタン四型がその巨大推進器を咆哮させ、ビッグメンター要塞を震撼させた。
人に作られし巨人――タイタン達の関節の代わりにある反重力デバイスが軋み、唸り、ビッグメンター要塞の重力に逆らい、その巨体を無重量状態に陥らせ、そのまま重力ベクトルを回転させエストスに向かって落下しながら一気に斬りかかった。
モータスキル――イシキリだ。
剣技を巨大機械に昇華させた科学技。
だがエストスはそれらの巨人の攻撃を華麗に回避した。
だがそのまま止まらず、壁を突き破ってその姿が消えた。
「え?」
「おいおいおい」
「やる気あんのかよ」
「自爆したぞ」
タフガイ達が唖然とした表情で見つめる中、エストスが頭を振りながら壁の中から這い出た。
「いたたた」
「隊長? 大丈夫ですか?」
「痛かった?」
「ここは戦うのには狭すぎる」
エストスは瞬間通信でレガードとウナに応えた。
そう、ここは狭いのだ。
シルフアルケミーの対人兵装が真価を発揮するには、この戦場は狭すぎた。
それにまだ彼女は対人兵装を理解していない。
理解していないのだ。それでこの戦力。
サダマ機が斬りかかる。エストスはベクトルターンで反転。
床すれすれの軌道で高速飛行し、サダマ機の両足を両断。
またもクラッシュタイタン四型の防御スクリーンを無視してぶった切った。
「は? ちょっと待て。俺の防御スクリーンは?」
エストスは倒れ落ちるサダマ機の首を刎ねると、隣のグリム機へ斬りかかる。
「おいおいおい」
「てめえ、よくもサダマを」
グリム機がエストスに右腕を突き出しゼロ距離で発砲。
この距離では何人たりとも避けきれない。
だが爆球の中からエストスは無傷で現れた。
「くっ。逃がすかよ」
グリム機が飛び出したエストスを反物質ソードで斬りかかる。
だがそこにエストスの姿はない。
伸び切ったグリム機の腕が両断され宙を舞った。
「ばかな」
叫ぶグリム機の首が飛んだ。
エストスはグリム機の背の姿勢制御推進器を切り裂いた。
倒れるグリム機の向こう側からゲロンド機が反物質ソードを振るうも、そこにエストスの姿はない。
速すぎるのだ。あまりに速すぎてタフガイ達の戦闘技術をもってしても捕捉できないのだ。
「なんであるか? この動きは?」
ゲロンド機の脚部アーマーがエストスによって斬りつけられ、態勢を崩す。
「なんと」
ゲロンド機が倒れながらもエストスに向かって反物質ソードを振り回す。
エストスはそれを空中ターンで回避、ゲロンド機の反物質ソードを斬りつけた。
対消滅反応が拒絶し、反発し合う互いの反物質ソード。
弾き飛ばされたエストスは空中を蹴って下降。
ゲロンド機のがら空きの胴体に向かって斬り下げた。
ゲロンド機が回避しようと姿勢制御推進器を咆哮させるがその巨体ゆえ、遅い。
何を思ったのかゲロンド機は誰も居ない前方の床に向けて発砲。
王立工房ダッカン製のエネルギー機銃大砲から放たれた高出力弾丸が床に直撃。
その反動でゲロンド機が、僅かに後退し、エストスの反物質ソードが空を斬った。
「やるのである」
「やるじゃないか?」
互いに賞賛し合うゲロンド伍長とエストス。
「ゲロンド退け」
突如割り込んで来たダッグ機の反物質ソードを紙一重で回避したエストスはカウンターで斬り返す。
だがダッグ機は反物質ソードでそれに応戦。
反物質ソードと反物質ソードの刀身が互いに対消滅反応を拒絶し、大きく跳ね返る。
エストスはその場から一歩も引かず、もう一度斬りかかる。
同時にダッグ機も斬りかかる。
二合目の閃光が周囲を照らす。互いの反物質ソードが会合し鍔迫り合いに移行する。
だがおかしい。
エストスとクラッシュタイタン四型では鍔迫り合いなど起こるはずがないのだ。
運動エネルギーの総量ではクラッシュタイタン四型のほうが遥かに大きいはず。
質量が遥かに小さいエストスが吹き飛ばされるはずだった。
だがエストスは吹き飛ばない――それどころか押し始めた。
「なんて力だ。こいつのパワートレインは何だ? 反重力器官の推進力を越えているぞ」
ダッグ機が巨大な足でエストスを蹴り上げる。
エストスはクラッシュタイタン四型の巨大な足をベクトルターンで回避。
「そこである」
エストスの回避先へ向かってゲロンド機が斬りかかる。
「そこだ」
ダッグ機も同時に斬りかかる。
「そこだぜ」
サダマ機が倒れながら機体内蔵砲でエストスに向かって発砲。
左右から二体の巨人の攻撃。背後から砲撃。
逃げ場を失ったエストス。
アシッドアーマー隊隊員達は誰もが勝利を確信した。
だがエストスを覆うように巨大な防御スクリーンが煌めいた。
迫るクラッシュタイタン四型の反物質ソードを跳ね返す。
背後から迫るクラッシュタイタン四型のエネルギー弾丸を跳ね返す。
「くっそ、また防御スクリーン」
非現実で、あり得ない出来事だった。
クラッシュタイタン四型の三体同時攻撃に耐えたのだ。
矛盾していた。戦闘はエネルギー総量が多い方が有利のはずだ。
華奢なエストス体のどこにジェネレーターがあるというのだ?
どこに防御スクリーン発生装置があるというのだ。
どこにもない。その事実がタフガイ達を混乱に貶める。
「どうなってやがる?」
「さあ?」
「やはり何かが次元ステルスで隠れているのであるか?」
巨人の攻撃を弾き返したエストスが両手を広げた。
「何をする気だ?」
「抱きしめてくれるのだろうか?」
「てめえなんか抱きしめたら腕が腐るぜ」
「あんだと?」
タフガイ達が信じられない物を見て、冗談を言い合って精神を安定させる。
「あれはバードスキル……オールレンジファイアー」
エストスから光線が迸る。
それも一本や二本ではない。
無数のエネルギービームが放たれた。
「なんだあれ?」
「攻撃ビームのように見えるが?」
「逃げろ。あの色はまずいのである」
「逃げろ逃げろ逃げろ」
ダッグ副官が連呼する。
エストスは今、何と言った?
バードスキルと言った。
バードスキルはシルフアルケミー専用スキル。
なぜそれを使用できるのだ?
そもそもこの狭い閉鎖空間内でオールレンジ攻撃を放てばどうなるか?
三六〇度全周囲に放たれた攻撃ビームが隙間を埋め尽くすだけだ。
巨体のクラッシュタイタン四型では逃げ場がない。
フラクタル構造体が両断され、天井構造物がバラバラに切り裂かれ落下を始める。
床が蜘蛛の巣状に切り裂かれ、内部の演算器数百器を粉砕し、その上に立つクラッシュタイタン四型を蹂躙した。
「なんだ今の攻撃は?」
ダッグ副官が光のラインを回避しつつ驚愕に目を見開いた。
それは信じがたい光景だった。
エストスから攻撃ビームが無数に放たれ、弧を描き、分断、両断。切り裂いたのだ。
今の攻撃は間違いなく小型戦艦以上の火力を有していた。
あの細い身体のどこにブラスターを内蔵しているのだろうか?
エストスの眼下には瓦礫の海が広がっていた。
その瓦礫の一つが大きく盛り上がった。
「何回下敷きになれば済むんだよ」
「今回は以前よりはるかにましである」
「そうだクラッシュタイタン四型に乗ってるからな」
「野郎共、気合を入れろ」
「「「OG」」」
「声が小さい」
「「「OG」」」
その怒声と共に瓦礫が吹っ飛び、その下からクラッシュタイタン四型が四機飛び出した。
クラッシュタイタン四型はエストスによって腕を斬られ、足を斬られたはずだ。
だがクラッシュタイタンには元々関節が存在しない。
板バネも反動モーターもない。
各関節にある反物質デバイスが反重力を発生させインバースキネマティクスで四肢を動かしているのだ。
手足がもげようが、首が飛ぼうがクラッシュタイタンは戦闘可能なのだ。
エストスはそれを回避することなく銃を構えた。
「そんなちんけな銃でクラッシュタイタン四型の防御スクリーンを破れるかよ」
「ぬぬ? あれはいかんのである」
「計器が警告? 簡易AIが叫んでいるぞ。あれはヤバイ」
「逃げろ。逃げろ逃げろ」
ゲロンド伍長とダッグ副官が叫び、二機のクラッシュタイタン四型が慌てて回避行動をとる。
その二機の間を閃光が迸ると同時に背後の壁が大爆発を起こした。
遅れて衝撃波がクラッシュタイタン四型に襲い掛かる。
「げげ、なんて威力だ」
「マジかよ、反則だろ」
「あれは携帯型攻撃ビームの威力を超えているのである」
「さっきからなんだんだよ」
タフガイ達の太い眉が歪む。
エストスの放った攻撃ビームは止まらない。
壁を水平に、天井を斜めに切り裂く。
強固なフラクタル構造体の柱を両断する。
それはまるで剣だ。
剣の舞のように要塞内を蹂躙する。
そのエネルギービームが着弾後。さらに大規模の大爆発が数珠繋ぎに発生する。
「ひいいい」
「逃げろ」
「なんだこりゃあ」
「攻撃ビームの中に時差反応ビームが混流している?」
光のラインが二体のクラッシュタイタン四型を捉えた途端、その爆球に飲み込まれた。
「くっそ」
「なんだあれは?」
爆球の中から、防御スクリーンを激しく点滅させたクラッシュタイタン四型が推進器を激しく咆哮させて飛び出すも、そこにエストスの白き剣が舞う。
「くっそ」
「はええぞ」
クラッシュタイタン四型が反物質ソードを振り回す。
エストスがジグザグに、目にも止まらぬ速度でクラッシュタイタン四型の周囲を走った。
「逃げろ、逃げろ」
「うわ」
グリム上等兵とサダマ上等兵がクラッシュライタン四型から飛び出した瞬間、その胴体が真っ二つに切り裂かれた。
「なんで格闘部隊の俺らがやられてんだよ」
「てめえが弱いからだろうが」
グリム上等兵とサダマ上等兵が叫んだ。
そうワルキュリアエッダ隊であるエストスは戦闘機乗りだ。格闘部隊ではない。
それがどうだ? 王国最強の格闘部隊をいとも簡単に切り伏せ、あしらっているのだ。
これは異様な、異常で荒唐無稽な光景だった。
「ゲロンド伍長。真モータースキルの使用を許可する」
ダッグ機が首を振った。
「OG」
ゲロンド伍長のクラッシュタイタン四型が反物質ソードを後方に構えた。
巨体の関節にある反重力アクチュエーターが板バネやモーターとは比較にならない運動エネルギーを、その四肢に溜め込んだ。
「真モータースキル。ブリッジバスターである」
人外の関節に蓄積された重圧縮エネルギーがインバースキネマティクスによって逆から解放、放出された。
エストスの身長の何倍もの長さの、何倍も太い、四本の反物質ソードの先端が音速超え、空気を割った。
その刀身の反物質と空気中の埃や塵が対消滅しチェレンコフ光を斜め後方に残しながらエストスを四方から襲いかかる。
逃げ道などない。
回避先などない。
「むむ? 外したのであるか?」
「なんだと?」
ゲロンド伍長とガガーランド隊長が唸った。
違う。 避けてはいない。
エストスはそこにいた。
ゲロンド伍長の攻撃を受け止めていた。
「なんと? 真モータースキルを受けた?」
そう反物質ソードが拮抗する。
互いの対消滅で激しく対消滅する。
チェレンコフ光が周囲を点滅させる。
巨大なクラッシュタイタン四型の攻撃をエストスは耐えていた。
足場のない空中で踏ん張り、ゲロンド機の攻撃を受け止めたのだ。
「どこにこんなパワーが?」
「それだけは言えぬな」
互いの反物質ソードが離れる。
ゲロンド機の二の太刀が空気を割った時にはエストスはそこにはいない。
ジグザグ軌道で回避。
「加速が見えない?」
エストスは信じられない速度で回避していた。
その速度は想像を超えていた。
まるで加速を省略したような瞬間移動のようは速度で回避と同時に反撃。
ゲロンド機は一瞬だけ硬直した。
モータースキルの使用と鍔迫り合いによる負担が反重力アクチュエーターに降りかかり、一瞬のダウンタイムがあった。
そこにベストタイミングでエストスの正確な攻撃が炸裂した。
もはやクラッシュタイタン四型の防御スクリーンなどあってないようなものだ。
ゲロンド機の四肢の反重力アクチュエーターが木っ端みじんに吹っ飛んだ。
これではもう戦えない。
「見事である」
ゲロンド伍長が脱出しながら何かを投げた。
それは空中地雷――ティザーマイン。
アシッドアーマー隊の男は諦めが悪いのだ。
「なっ?」
巨大な爆球が要塞内に誕生した。
大変遅くなりました。書き直して結局元に戻しました。
お読みいただきありがとうございました。




