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ギガントマキア

天界では、この世界の覇権を巡って戦いが始まっていた。

大地ガイアがティターン族の処遇に怒り、ギガス族を生みオリュンポスの神々に宣戦布告したのだ。


この世界の始まり


原始の神々、大地ガイアと天空のウラノスによって、ティターン族が生まれた。

しかし、ウラノスは奇形として生まれたキュクロプスをタルタロスに閉じ込めた。

大地ガイアはキュクロプスがタルタロスに閉じ込められた事に不満だった。


そこで大地ガイアの導きのもとティターン族のクロノスが先頭にたってウラノスを倒した。

しかし、ウラノスはクロノスに予言する「お前も自分の子に王位を奪われるだろう」と。


挿絵(By みてみん)


クロノスは恐れから、生まれてくる自分の子供を次々に飲み込んだ。

クロノスの妻レアは、自分の子供達を救うため、末っ子のゼウスを産むとクレタ島に隠した。

そして、クロノスにはゼウスだと言って布に包んだ石を飲み込ませた。


クレタ島で精霊に育てられたゼウスは青年へと成長した。

青年になったゼウスはクロノスに薬を飲ませ、飲み込まれた兄弟達を助け出した。

それがオリュンポスの神々だ。


そして、オリュンポスの神々とティターン族による戦いティタノマキアが始まった。

ゼウスはタルタロスに閉じ込められたキュクロプスを助け出し味方につけた。

キュクロプスは、オリュンポスの神々に武器を作った。


ゼウスには、雷を。

ポセイドンには、三ツ又の矛を。

ハデスには、隠れ兜を。


この戦いはオリュンポスの神々の勝利に終わり、ティターン族はタルタロスに閉じ込められた。


こうしてゼウスによる支配がはじまった。

そして今、このティターン族の処遇に怒った大地ガイアがギガス族を生み出し宣戦布告したのだ。


このギガス族との戦いをギガントマキアと呼んだ。


ヘラクレス:「で、勝算はどうなんだ?」

ゼウス:「ギガス族は、確かに強力だ。だが我々ほどではない。ただ大地ガイアによりオリュンポスの神々では倒すことがでない事になっているのだ」

ヘラクレス:「それで俺が必要ってわけか・・・」


アテナ:「そういうことよ」

ヘラクレスの守護神アテナがゼウスに代わり答えた。


ヘラクレス:「それにしてもタイミングが良すぎはしないか?」

アテナ:「それはどういう意味?」

ヘラクレス:「だってそうだろ、俺が毒に侵され、体を失い、天界に着いたら、これだ」


アテナ:「そうね、タイミングがいいわね」

アテナは笑っていた。


アテナ:「あなたに理解できるか、あるいは信じることが出来るかわからないけど本当の事を話すわ」

アテナは本当の事を話始めた。


アテナ:「人間が、神と思っているオリュンポスの神々は、本当は神ではないの」

ヘラクレス:「どういうことだ?」


アテナ:「人間は、縦、横、高さ、の三次元の世界にいるけど、私たちオリュンポスの神々は、それに時間を加えた4次元の世界にいるのよ」

ヘラクレス:「それは時間を遡れるということか?」

アテナ:「条件がそろえば出来るわ、そして何度も時を繰り返し、あなたが今ここにいるのよ」

ヘラクレス:「つまり、それがタイミングよく俺が天界に来た理由か?」

アテナ:「そうよ」


ヘラクレス:「じゃあ、もう1つ質問させてくれ。俺は転生してこの世界に来た。これはどういうことなんだ?」

アテナ:「私たちオリュンポスの神々が4次元の存在だったように、また別の次元を持った者が存在するのよ。つまりオリュンポスの神々は本当の神ではないということ。」


ヘラクレス:「なるほど、こいつは頭が混乱しそうだ。」

ヘラクレスは、この件について考えるのをやめた。


ヘラクレス:「じゃあ、さっそくギガス族とやらを倒してしまおう」

ゼウス:「頼もしいな」


ギガス族との戦い


ギガス族は確かに巨人だったが、光輝く鎧をつけまるで神々の兵士のようだった。

そして、その数は12人。ヘラクレスにはギガス族が天使のようにも思えた。


ヘラクレス:「こいつら、巨人なんかじゃない、まるで別次元の住人のようだ」

アテナ:「そうかも知れないわね。でもこの世界は今は私たちのモノよ。」


1番目の巨人:アルキュオネウス

この巨人は強力な特殊能力を持っていた。


ヘラクレスは何度も、この巨人を殴り倒すが、何度も這い上がってくる。

まるで、アフリカのリビアにいたアンタイオスの様だった。


ヘラクレス:「こいつも大地から力を得ているのか・・・」

巨人を倒すほども力を得ていたヘラクレスだったが、小さな体ではどうすることも出来ない。


ヘラクレス:「もう少し、体が大きければな・・・」

そう思いながら、巨人を殴りつけているうちに、ヘラクレスの体は次第に大きくなっていった。

ヘラクレス:「ど、どうなってるんだ?」

アテナ:「あなたは、もう神なのです。望めば、体のサイズくらい自由に出来るのよ。」

ヘラクレス:「そいつは有りがたい」

巨大になったヘラクレスは、巨人を持ち上げ絞め殺した。


2番目の巨人:ポルピュリオン

この巨人が12人の巨人の中で、もっとも実力があった。

ヘラとヘラクレスが協力して立ち向かうが、まともにやっては勝てなかった。

そこで、ゼウスが一計を案じる。

この巨人がヘラを欲するように渇望の魔法を掛けたのだ。

冗談のような作戦だったが、作戦は見事に成功し巨人はヘラに夢中になった。

そして、その隙にヘラクレスがこの巨人を倒した。

ヘラクレス:「どんなに強いヤツでも、なにかしら弱点はあるものだな・・・」


3番目の巨人:エピアルテス

この3番目の巨人はギガス族の司令塔だった。

強力な2人の巨人が倒され、撤退を考えていたところをアポロンに左目を射ぬかれた。

ついでヘラクレスに右目を射ぬかれ殺された。

司令塔を失ったギガス族は統制を失い、次々に倒されていく。


4番目の巨人:エウリュトス

この巨人は、豊穣の神ディオニュソスの霊杖テュルソスにより殴られ、ヘラクレスに止めを刺された。


5番目の巨人:クリュティオス

冥界の一柱ヘカテは、この巨人に地獄の業火を浴びせ、ヘラクレスが射殺した。

冥界でヘカテは、ハデス、ペルセポネに次ぐ実力者だ。


6番目の巨人:ミマス

鍛冶の神ヘパイストスは溶鉱を投げつけ、溶けた鉄が巨人を包み身動き出来ないようにした。


7番目の巨人:エンケラドス

アテナに島を投げつけられ、その島の下敷きとなり封印される。


8番目の巨人:パラス

この巨人もアテナと戦い、皮を剥がされ撤退する。

剥がされた皮は盾にはられギガンテスの盾となった。


9番目の巨人:ポリュボテス

ポセイドンに岩島を投げつけられ火山の中に突き落とされる。


10番目の巨人:ヒッポリュトス

ヘルメスは冥界のハデスから、被ると姿を消すことが出来る青銅の兜(隠れ兜)を借り、この巨人に不意打ちをくらわした。そして怯んだところをヘラクレスが射殺した。


11番目の巨人:グラティオン

狩りの女神アルテミスとヘラクレスが放った無数の矢をあび殺された。


12番目の巨人:アグリオス

運命の女神モイライにより、青銅のこんメイスで殴られ、ヘラクレスに射殺された。


ヘラクレス:「これで全部か?」

ゼウス:「そうだ」


ギガス族は、まだ別の世界にいるのかも知れないが、もうオリュンポスの神々と戦える者は残っていなかった。


一仕事終えたヘラクレスは言った。

ヘラクレス:「じゃあ、俺は人間の世界へ帰るぜ」


だが、ゼウスがそれを止めた。

ゼウス:「いや、実はお前を神々の仲間にすることが決まっている」

ヘラクレス:「まってくれ、俺には地上に嫁さんが」


ヘラ:「デイアネイラは死んだわ」

ヘラクレス:「なんだって?」

ヘラ:「あなたが灰になって死んだと思ったのよ。そして自害した」

ヘラクレスは目を閉じ黙り込んだ。


ゼウス:「お前は不死身、いずれ別れが来る。お前はもう神なのだ」

ヘラクレス:「でも、本当の神ではないのだろう」

ゼウス:「そうだな、だが便宜上、神と言わせてくれ」

アテナ:「もし人間が、時を越えられるようになれば、私たちと同じ存在になるわ」

ゼウス:「だが、それには、まだまだ時間がかかる」


ゼウス達の言うこともヘラクレスにはよく理解できた。


ヘラ:「嫁がほしいなら、ちょうど暇をしている娘がいるの貰ってもらえないかしら」

ヘラは自分の娘ヘベをヘラクレスに紹介した。


ヘベ:「私はゼウスとヘラの娘へべ。ネクタルを注ぐ給仕係だったんだけど、粗相をしてトロイアの王子ガニュメデスと交代させられちゃったの」

へべは明るく陽気な性格だった。


トロイアの王子とは、あの神馬と交換された王子のことだ。


ヘラクレス:「あんたの娘っぽくないな」

ヘラ:「あら、そうかしら、私が一番可愛がってる娘よ」


そしてヘラは、ばつが悪そうに言った。

ヘラ:「ヘラクレス、わたしはあなたに散々意地悪をしたけど、許して貰えるかしら?」


うすうす感じてはいたが、俺に色々と困難を起こしていたのは、このヘラだったか・・・

だが、今のヘラクレスには、それはどうでもいいことだった。

ヘラクレス:「もう、なんとも思っちゃいないよ。」

こうして、ヘラクレスはヘラの義理の息子になった。


俺が憧れていた。本物のヘラクレスは、やはり生易しい人生ではなかった。



おわり


ヘラクレスとはヘラの輝きという意味です。

いろいろな困難が、あなたの人生を輝かせるのかも知れません。


この物語は、転生したらトロイア戦争へ続きます。

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