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デイアネイラ

カリュドンの地にやって来たヘラクレスは、カリュドン王に娘デイアネイラとの結婚を申し込んだ。


ヘラクレス:「冥界でメレアグロスと会い、妹のデイアネイラと結婚すると約束しました」

カリュドン王:「相手がヘラクレスであれば、まったく申し分ないのだが・・・」

カリュドン王は少し困っていた。


カリュドン王:「実は、もう一人デイアネイラに結婚を申し込んでいる者がおるのだ」


その相手とは、河の神アケロオスだった。

アケロオスは、海流の神オケアノスとテテュスの3000の息子たちの一人だ。


ヘラクレスとアケロオスはデイアネイラを巡って戦うことになった。

アケロオスは上半身が人間で、頭には牛の角があり、下半身は蛇のような魚になっていた。

長い格闘の末、ヘラクレスがアケロオスの角を折ると、アケロオスは降参した。


こうしてヘラクレスはデイアネイラを妻とした。

二人はカリュドンの地で静かに暮らし子供ができた。


子供の名前はヒュロス。

アルゴナウタイの時、ミューシアーで行方不明になったヒュラスに名前が似ていた。


ヒュロスが少し大きくなった頃、ヘラクレスはデイアネイラとヒュロスを連れて旅に出た。

ささやかな家族旅行だった。だが旅先で大雨が降り川が氾濫して先へ進めなくなる。


ヘラクレスは家族で渡れないかと思ったが、小さいヒュロスやデイアネイラには危険だった。

そこへ、ネッソスというケンタウロスが通りかかる。


ネッソス:「困っているようだな、俺が向こう岸まで運んでやろう」

ヘラクレス:「そいつはありがたい、俺は子供を担ぐから、あんたは妻を頼む」


ネッソスは、デイアネイラを背中に乗せ川を渡っていった。

ヘラクレスも小さいヒュロスを肩車して川を渡っていった。


ネッソスが先に、対岸に着くと大声で叫んだ。

ネッソス:「お前は俺のことを覚えていないようだな!」

そして、デイアネイラを降り下ろした。


ネッソス:「俺はエリュマントスでお前に仲間を殺されたケンタウロスの生き残りだ!」

ネッソスはデイアネイラに襲いかかり首を絞めた。


ネッソス:「お前も俺と同じ苦しみを味わうといい!」


トスッ!


ネッソスの心臓に矢が突き刺さった。ヒュドラの毒が塗られた毒の矢だ。

ヘラクレスがヒュロスを肩に乗せたまま、矢を放ったのだ。


ネッソスはデイアネイラにもたれ掛かるように倒れデイアネイラにささやいた。

ネッソス:「あんたの旦那さんは強い、さぞ女にモテるだろう。俺の血には媚薬の効果がある。俺の血を染み込ませた服を着せれば他の女に心を奪われることはない。」そう言って、ネッソスは死んだ。


ヘラクレス:「大丈夫か!」

デイアネイラ:「え、ええ」


デイアネイラはヘラクレスの心変わりを心配してネッソスの血を採った。


こうしてヘラクレス一家の小さな家族旅行は終わった。

しかし、これがきっかけになり家族で出掛けることはなくなった。


カリュドンでの平穏な暮らしは、ヘラクレスにとって退屈なものでしかなかった。

そんな時、テラモンがヘラクレスのもとへ遊びに来る。


ヘラクレス:「元気そうだな」

テラモン:「ああ、元気元気、ヘラクレスが結婚したって聞いたんで、どんな嫁さんか見に来たのさ」

ヘラクレスは、デイアネイラを紹介した。


テラモン:「綺麗な嫁さんだな」

ヘラクレス:「お前は、結婚しないのか?」

テラモン:「結婚はしたいが相手がな・・・」

ヘラクレス:「なんだ、いないのか?」

テラモン:「だから、前に言っただろ、トロイアのヘーシオネ姫だよ」

ヘラクレス:「お前、本気だったのか?」

テラモン:「ヘラクレスの旦那ぁ、なんとかならないかなぁ・・・」


ヘラクレスは、トロイアでの事を思い返した。


ヘラクレス:「そういえば、まだ約束の神馬をもらってなかったな」

ヘラクレスは、なんだかワクワクしてきた。


ヘラクレス:「デイアネイラ!、俺はトロイアへ神馬を取りに行って来るぞ!」

そう言って、ヘラクレスは仲間を集めトロイアへ乗り込んだ。

トロイア王ラオメドンは、神馬を渡すどころか、ヘラクレスを大軍で迎え撃った。


ヘラクレス:「こりゃ戦争になっちまったな」

ヘラクレスは内心、久々に大暴れできると喜んでいた。


そして、あっと間に大軍を打ち負かした。

ヘラクレスは、もう神に近い力を持っていたのだ。


この戦いで、ヘーシオネ姫は捕虜となり、テラモンに与えられた。

そして、テラモンはヘーシオネ姫と結婚した。

テラモン:「こういう形になってしまったが、君への愛は本物だ」

テラモンはヘーシオネの手を握り言った。


ヘラクレスは戦いが面白くなり、まだ貰っていないものを幾つか思い出していた。

ヘラクレス:「そういえば、エーリス王から家畜の10分の1を貰ってないぞ」

ヘラクレスはエーリスに攻め込んだ。


しかしエーリスには、モリオネという双子の英雄がいた。彼らはポセードンの息子だった。

ヘラクレス:「この双子強いな」

ヘラクレスは双子を相手に苦戦をしていた。

そして、戦争中に風邪インフルエンザをこじらせ、休戦を申し込むことになる。

ヘラクレス:「なんてこった不死身でも風邪引くんだな・・・」


エーリス王:「ヘラクレスが休戦を申し込んできたぞ、攻め混むチャンスだ!」

エーリス王は一旦休戦を受け入れて、ヘラクレス達が休んでいる間に奇襲をかけてきた。


風邪インフルエンザでまともに動けないヘラクレスと仲間達は撤退を余儀なくされた。

ヘラクレス:「くそ!」


カリュドンに帰ってきたヘラクレスはしばらく安静にしていた。

デイアネイラ:「久々に動いたから疲れが出たんですよ。ここでゆっくりしていてください。」

ヘラクレスが家にいることが、デイアネイラは嬉しかった。


そんな時、ある情報がはいる。

あの双子のモリオネが、イストミア大際に出場するというのだ。

イストミア大際とは、ポセードンを祭神とする競技大会だ。


ヘラクレスは、イストミアに向かう道中のモリオネを待ち伏せし射殺した。

そして、再びエーリスに乗り込んだ。


モリオネのいなくなったエーリスは簡単にヘラクレスの手に落ちた。


次にヘラクレスが狙いをつけたのは、オイカリアだった。

オイカリア王の息子イーピトスを殺した事で、オムパレの奴隷となってしまったヘラクレスだったが、もとをただせば、オイカリア王がイオレ姫を渡さなかった事が問題だったのだ。


ヘラクレスはオイカリアに乗り込んだ。

オイカリアもヘラクレス軍の前には為す術もなく降伏した。

イオレ姫は捕虜となった。

とても美しいイオレ姫は、捕虜となってもすぐに見分けがついた。


ヘラクレスの妻デイアネイラは心配した。

ヘラクレスの心がイオレ姫に移ってしまうのではないか・・・


デイアネイラはネッソスの血で染めた服を、ヘラクレスの伝令使であるリカスに持たせた。

ネッソスの話が本当なら、これでヘラクレスの心はイオレ姫に移らないはずだった。


挿絵(By みてみん)


ところが、ヘラクレスがこの服を身に付けると、服がヘラクレスに焼き付き。

ヘラクレスの体が腐っていった。


ヘラクレス:「がぁぁぁぁああ・・・な、な、なんだ・・・・」


ネッソスの血にヒュドラの毒が混ざったためか、ケンタウロスの呪いなのか、ヘラクレスは死へと導かれる。

だが、ヘラクレスは不死になっていて死ぬことは許されなかった。


ヘラクレス:「ど、どうなってるんだ・・・な、なんとか・・・してくれ!」

ヘラクレスは狂ったように苦しんだ。


アテナ:「一度、肉体を消滅させるしかないわ」

ヘラクレス:「ア、アテナなのか・・・」

アテナ:「地上での肉体を捨てなさい。そして天界で体を再生させるのです」

ヘラクレス:「わ、わかった・・・ど、どうすればいいんだ」

アテナ:「ゼウスの祭壇を作り、そこで灰になるまで体を焼くのです」


ヘラクレスは、部下に指示を出し、ゼウスの祭壇を作らせた。


そして、伝令使のリカスを呼んだ。

ヘラクレス:「リカス・・・俺はちょっとばかり天界へ行ってくる」

そう言って、ヘラクレスは祭壇に横になり自ら火を放った。


ヘラクレスの体は何時間にもわたって燃え続け灰になった。


リカスはヘラクレスが死んだと思い込み、ヘラクレスが死んだことをデイアネイラに伝えた。

デイアネイラ:「そんなはずがありません、だってヘラクレスは不死身ですもの」

そう言って、デイアネイラは泣いた。

ヘラクレスの死を受け入れられないデイアネイラだったが、ヘラクレスの灰を見たデイアネイラは後を追い自害した。


ヘラクレスの魂は天界に上っていき、灰は神々によって集められた。


天界で神々が見守る中、ヘラクレスの体が再生していく。


ゼウス:「そろそろ目覚める頃じゃな」

ゼウスが小さな雷を落とすと、ヘラクレスは目覚めた。


ヘラクレス:「お、俺は・・・」

ヘラクレスの回りにはオリュンポスの神々がいた。


アテナ:「あなたにやってほしい事があるの。あなたはこの為に生まれたと言っても過言じゃないわ」

ゼウス:「今、我々は、大地ガイアとその息子ギガス族と戦っている」


アテナ:「あなたの力が必要なの」


ヘラクレスには訳がわからなかった。

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