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アルゴナウタイ

王子イアソンはイオルコスの王位を叔父ペリアスから取り戻すため、コルキスに行き金羊毛皮を持ち帰らなければならなかった。


挿絵(By みてみん)


王子イアソンに集められたアルゴ号の乗組員はアルゴナウタイと呼ばれ約50名ほどが集まった。


ヘラクレス:「すごい人数だな」

ヒュラス:「みんな、こっちを見てますよ」


ヘラクレスはアルゴナウタイの中でも一番注目されている人物だった。

一人の男がヘラクレスに声をかけてきた。


テセウス:「ヘラクレス、久しぶりだな」

ヘラクレス:「テセウスじゃないか!元気そうでよかった。どうだ新婚生活は」

テセウス:「うまくやってるよ、あっちにテラモンとペレウスもいるぞ」

テセウスは親指で後ろの方を指した。

ヘラクレスがその方向へ目を向けると、テラモンが手を振って駆け寄ってきた。

テラモン:「おーい!ヘラクレス!」

ペレウスは会釈をして、その後をついてくる。

ペレウス:「お久しぶりです」


ヘラクレス:「2人とも元気そうだな」

テラモン:「そうでもないぞ、俺はあのヘーシオネ姫が忘れられなくて恋煩いさ」

テラモンは十分に元気そうだった。


ペレウス:「こちらのかたは?」

ペレウスはヒュラスのことをヘラクレスに訪ねた。


ヘラクレス:「俺の最近の相棒でな、ゲリュオンの牛の群れも一緒に同行してもらった」

ヒュラス:「ヒュラスといいます。未熟者ですがよろしくお願いします」


テセウス:「じゃあ、こいつも紹介させてくれ」

そう言って、テセウスは友人をヘラクレスに紹介した。

友人:「はじめまして、テセウスの親友のペイリトオスです」

ヘラクレス:「よろしくな」

ヘラクレスは手を差し出し、テセウスの親友ペイリトオスと握手した。


アルゴナウタイには本当に多くの人たちが来ていた。

カリュドンの王子メレアグロス。

ペイラ王、アドメトス。

いたずら好きな神ヘルメスの息子アウトリュコス。

ヘラクレスの弓術の師匠でオイカリアの王エウリュトスの息子イーピトス。

ヘラクレスが試練として家畜小屋の掃除をさせられた、エーリス王まで来ている。

中でも目玉だったのは、北風ボレアスの息子カライスとゼテスだろう。この2人には翼が生えているのだ。


イーピトス:「久しぶりだなヘラクレス、最近お前の噂をよく耳にするよ」

話かけてきたのは、ヘラクレスの弓術の師匠エウリュトスの息子イーピトスだった。


ヘラクレス:「お!イーピトスじゃないか、お父上は元気か?」

イーピトス:「ピンピンしているよ。そうだ今度、弓術大会をするんだヘラクレスも参加してくれ」

ヘラクレス:「なにか賞金でももらえるのか?」

イーピトス:「父の話だと、すごい商品を出すそうだ」

ヘラクレス:「そいつは、面白そうだ、この冒険が終わったら参加させてもらおう」


旧友達と話を終えた頃、主催者であるイアソンの挨拶がはじまった。


イアソン:「ここに集まって頂いた英雄の諸君、今回の冒険は過酷なものになることが予想されるが、最後まで私に力を貸していただきたい。そして女神アテナの祝福を!」


そう言うと、女神アテナが空に現れ、キラキラした光がアルゴ号を包み歓声があがった。


ヘラクレス:「こっりゃすごいな」

ヒュラス:「僕はアルゴ号に乗れて光栄だな」

ヒュラスは英雄の一員として参加できたことが誇らしかった。


こうして、アルゴ号は出発した。


アルゴ号が最初に上陸した島は、レームノス島という女だけの島だった。

テラモン:「またアマゾンの国みたいだな所だな」


挿絵(By みてみん)


この島の女達は、美の女神アフロディーテを崇拝しなかったために罰として悪臭を放つようになった。

その為、この島の男達は別のところから女性を連れ込んだのだが、これに怒った女達は、男達をみんな殺してしまったのだ。


恐ろしい女達だったが、アルゴナウタイの男達はとても歓迎され、この島に居座ることになる。

しかし、ヘラクレスは、いっこうに出発しない一行にイライラしていた。


ヘラクレス:「おい、いつまでここに居る気だ」

テラモン:「いいじゃないか、まだ冒険は、はじまったばかり急ぐことはない」

ヘラクレス:「こいつは、どうしようもないな・・・」

酒を飲んで酔っぱらっているテラモンは相手にせず、この冒険の主催者イアソンの所へ向かった。


ヘラクレス:「お前、本気で王位奪還する気はあるのか?」

イアソン:「ああ、すまない、そうだったな・・・。」

イアソンはこの島の女王ヒュプシピュレと良い仲になっていた。


イアソンは女王ヒュプシピュレに別れを告げ、次の地へ出発した。


ヘラクレス:「本当に、こんなので大丈夫なのかね?」

ペレウス:「さぁ、どうなんでしょうね」

ヘラクレス:「お前は、しっかりしてそうだな」

ヘラクレスは、テラモンの弟ペレウスを見て言った。


ヒュラス:「きっと大丈夫ですよ。女神アテナの加護がありますから」


次の停泊地はドリオニアだった。

この地のキュジコス王は、アルゴナウタイを歓迎して、宴会を開いてくれた。


挿絵(By みてみん)


キュジコス王:「イアソン殿、今回の旅は大変だと思うが、正当な後継者としてイオルコス王になることを私も願っているぞ」

イアソン:「ありがとうございます。かならず王位を奪還してみせます。」

キュジコス王にとって、今後、イオルコスの王になるかもしれないイアソンと親しくしておくことは王として大切な仕事だった。


ノームレス島で遅れをとっていたイアソンは、このドリオニアの地を早めに出発することにした。


イアソン:「キュジコス王、宴会を開いて頂き船員たちも癒されました。」

キュジコス王:「イアソン殿、こんな夜に出発しなくてもよかろうに」

イアソン:「すみません、少し予定より遅れておりまして、急がなくてはならないのです」

キュジコス王:「そうか、もっと話をしたかったが仕方がないな・・・では気を付けてな。」


こうして、アルゴ号は夜に出航した。

しかし、強風で思うように進まない。

逆に、ドリオニアの地に戻ってきてしまった。

イアソン:「この強風じゃどうにもならない、引き換えして出直そう」


一方、アルゴナウタイを見送ったキュジコス王は、夜にやって来た船を見て対立しているペラスゴイ人が攻め混んできたと思い込み、船に攻撃をしかけた。

キュジコス王:「一人も上陸させてはならん、皆殺しにしろ!」


夜襲をうける形となったアルゴナウタイは、相手が誰だかわからず反撃を開始する。

イアソン:「敵襲だ!反撃しろ!」


戦いは明け方まで続き、日が昇る頃、ようやくお互いが誰と戦っているかがわかった。

ヘラクレス:「なんてこった」


この戦いで、キュジコス王は亡くなっていた。

アウゴナウタイは髪を切り喪に服し、キュジコス王を手厚く葬った。


そして、改めて出航しようとするが、暴風雨により出航できなかった。

この暴風雨は何日にも続き、アウゴナウタイはドリオニアで足止めとなる。


イアソン:「どうなってるんだ」


「山頂にゼウスの母レアの像を建てなさい」天から女神アテナの声がした。


この嵐の原因は、キュジコス王が過去にレアの聖獣ライオンを殺したことと、誰かが6本腕の巨人を倒した事にレアが怒ったためだという。


ヘラクレス:「確かに、6本腕の巨人を倒した覚えはあるが、レアと関係があったのか?」

テセウス:「それを追求するより、今は女神像を建てるのが先なのでは?」

ヘラクレス:「それもそうだ、とっとと終わらせて先へすすもう」


女神アテナの言った通り、山頂にレアの像を建てると嵐はピタリとおさまった。

ヘラクレス:「アテナの言った通りだったな」

イアソン:「これで先へ進めます」


風は順風に吹き、アルゴ号はミューシアーにたどり着いた。

ミューシアーには川が流れており、水や食料を補給できた。


挿絵(By みてみん)


ヒュラスが水を汲みに泉にやって来ると、美しい女性たちが水浴びをしていた。


ヒュラス:「あ、すみません、ちょっと水を汲みに来ただけです」

女性から目をそらすヒュラスだったが、逆に女性たちから言い寄られた。


女性たち:「ねぇ、こっちへ来て一緒に遊びましょう」

女性たちには魔力があり、ヒュラスは彼女たちの言葉に逆らえなかった。

ヒュラスはかろうじて「助けて!」と叫んで、水の中に引き込まれた。

彼女たちは、この泉の精霊だった。


挿絵(By みてみん)


そして、ヒュラスは精霊が恋するほど美少年だったのだ。


ヒュラスの声を聞き付けて、アルゴナウタイの一人、ポリュペモスがやって来た。

また、いっこうに帰ってこないヒュラスを心配して、ヘラクレスもヒュラスを探し始めた。


ヘラクレス:「おい!ヒュラスを見なかったか?」

ポリュペモス:「さっき、声がして俺も探してるんだ」


しかし、いくら2人が探しても、ヒュラスは見つからなかった。


そのうち、アルゴ号が出発の時間を迎える。

ペレウス:「まだヘラクレスが帰ってきていません」

イアソン:「ヘラクレス抜きでは、この旅は大変だろうからな・・・」

テセウス:「もうしばらく待ちましょう」


数時間がたって、

イアソン:「ヘラクレスに何かあったのか?」

テラモン:「ヘラクレスのことだから心配はないと思うが、それにしても遅いな」


さらに時間が過ぎる。

イアソン:「・・・もうそろそろ限界だ」

「ヘラクレスがいなくても俺たちが何とかするぜ!」

そう言ってきたのは、北風ポレアスの子で翼の生えたカライスとゼテスだった。


カライス:「ノームレスでもドリオニアでも時間を使ってしまったんだ」

ゼテス:「これ以上、遅れるわけにはいかないでしょう。イアソン行こう」


こうして、アルゴ号はヘラクレスをミューシアーに残したまま出発した。


ポリュペモス:「アルゴ号はもう出航しちまったらしい」

ヘラクレス:「・・・仕方があるまい」

ポリュペモス:「これから俺たちどうするんだ」

ヘラクレス:「悪いが、お前はここに残ってヒュラスを探してくれ」


ポリュペモスは偉大なヘラクレスの言葉を忠実に守り、ヒュラスを探し続けた。

そして、この地に町を作り王となった。

この町では、現在でもヒュラスを探すお祭りが続けられている。


一方、ヘラクレスは、ヒュラス探しをポリュペモスに任せミケナイに戻っていた。

ヘラクレス:「あんなに良いやつだったのに失ってしまうとは・・・。」

ヘラクレスはヒュラスを失ったことを嘆いていた。


しばらくして、アルゴ号のイアソンは無事にコルキスにたどり着き、金羊毛皮を手に入れイオルコスの王位を奪還したが、叔父の息子つまり従兄弟アカストスに王位を譲という話をきいた。


それから、ヘラクレスのもとに、オイカリア王から弓術大会のお知らせが届く。

イーピトスが言っていた大会だ。

なんと、大会の勝者には、師エウリュトスの娘イオレを妻として与えるとされたいた。


イオレは評判の美人だった。

ヘラクレス:「嫁さんか・・・」



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