プロローグ
ボディービルダーは、いつもムキムキの筋肉をしていると思われがちだが、
実はシーズンオフは食事制限をせず、ブクブクと体を太らせ筋肉を作っている。
そして、大会前になると、食事制限をして体の無駄な贅肉をそぎおとしていくのだ。
この和製ヘラクレスと呼ばれる男も、大会に向けて食事制限をしている最中だった。
病院で、医者がボディービルダーに話しかける。
「こんなことを続けていると、あなた死にますよ。
今度めまいがした時は何か食事をとってください。」
ボディービルダーは過酷な食事制限で倒れ病院に運ばれたのだった。
病院の帰り道、心配した妹がボディービルダーにいう。
「お兄ちゃん、もし今度めまいがしたら、この飴玉をなめて」
ボディービルダーは、飴を差し出す妹の手を払い除け、
「俺は、こんな飴玉のカロリーすら摂取したくない!」
数日後、部屋で倒れたボディービルダーは心不全の為、亡くなってしまう。
真っ暗な闇の中、光が差す方へ歩きだすボディービルダーにどこから声が聞こえる。
和製ヘラクレスよ、お前は本当にヘラクレスになりたかったのだな、
お前の意思を尊重し、お前をヘラクレスとして転生させてやろう。
「俺が本物のヘラクレス」
まばゆい光が辺りを包み込み、気がつくと、ゆりかごの中にいた。
「そ、そうか俺は転生して赤ちゃんになってしまったのか・・・
そういえば、ヘラクレスの話ってどんなだったっけ?」
どこから女性の声が聞こえた。
「ヘラクレスは赤ん坊のときに毒蛇に噛まれて死ぬのよ」
「毒蛇?・・・そうだった赤ん坊の頃、蛇に襲われるんだった!」
よく見ると、ゆりかごの中にヘビがいるではないか。
これは何とかしないとな、赤ん坊のせいか体が思うように動かないな・・・。
ヘビがヘラクレスに迫ってくる。
「よし、もう少し上に来い」
ヘビがヘラクレスの手に届く範囲にくると、ヘラクレスは蛇を捕まえ両手で蛇の体を引っ張った。
「見せてくれよ、神の子ヘラクレスとなった力を!」
そう言うと、ヘラクレスは、毒蛇の体を引きちぎった。
「さすがだな、人間の赤ん坊では蛇の体を引きちぎるなど、とうてい出来なかっただろう」
うまく体を動かせない赤ん坊で、この力かポテンシャルすごいな。
そういえば、さっきの女の声、誰だ?