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恋と愛との間で  作者: 森本美夜
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先輩

先輩だから。

ちょっとカッコつけてみる。

ホントはこんなんじゃない。

勉強嫌いだし運動も必死にやらないとついていけないし、友達と馬鹿話ばっかりしてる。

君には見せられないような、ダッサイ姿。

見たら君は幻滅する。

今はその大きな瞳を輝かせて、頬を蒸気させて僕を慕ってくれる。

怖いんだ。

君を失うことが。

「好きだよ」

たった一言言ってしまったら、

カッコ悪いとこ見せたら、

君を失ってしまう。

いつだってカッコつけてすかした顔してるけど、内心ビクビクなんだ。

君の憧れる王子様。

ちゃんとなれてるのか。


僕だけの可愛いお姫様


いつかは他の人のものになるんだろう。

こんな嘘つきじゃなくて、

こんな年増じゃなくて、

頭が良くて、優しくて運動ができて

君の憧れる絵に書いたような王子様。

分かってる。

言わなきゃ何も変わらないこと。

何も変えられないこと。

君がどうして今側にいてくれるのか。

その意味を考える。

微かな希望を抱いても許されるかな。


君が自分から話し掛けてくるのも、

休日会いたいというのも、

電話やメールをしてくるのも


僕だけだって。


思ってもいいかな。

隣にいる君に聞きたくなる。

そんな僕に構わず君は嬉しそうな笑顔をこちらに向ける。

「馬鹿」

思わず言ってしまう。

可愛すぎるんだよお馬鹿さん。

怒って頬を膨らませて、ポカポカと僕を叩く。

可愛いよ。こんなことですら幸せなんだよ。

これ以上僕を夢中にさせてどうするの。


今、君の手を取って

今、君の肩を抱いて

今、その頬に触れたなら


どんな反応をするのかな。

試してみたいけど、王子様の皮が剥がれちゃうね。

やっぱり僕は変われない。

カッコつけて、嘘ついて

精一杯君の瞳に映るため

自分を偽る。


「好きだよ」

聞こえてないの分かってる。

でも今はこれだけ。


いつか本当の自分でこの気持ち伝えるから

それまでにどうか僕を見てくれないかい。


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