表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【百合アンソロジー】真夏のいちご  作者: 未雪織/あめだま/遥奏多/藤綾人/瀧本一哉/はしもと
2/6

雷とぬいぐるみ/あめだま

――「美春先輩!お疲れさまでしたー!

夏海!また明日ねー!」


部活の反省会も終わり、友達は帰っていった。さぁ、帰ろうかと準備をしていたのだが…。

彼女、美春は外を見てこう呟いた。


――「なんか、雨降りそうな天気やなぁ…?

夏海、傘持ってきた?」


――「え?今日は晴れるって聞いてたから持ってきてないよ?

美春は持ってきてるの?」


答えを聞く前に、雷鳴が響いた。

私は雷が嫌いだ。雷の音を聞くたびに震えてしまう。

そんな私の姿を見て彼女はクスッと笑っていた。


――「ほんま、夏海はカミナリが嫌いやなぁ。

ほら、こうしたら、少しは怖いのも紛れるやろ?」


そう彼女は言うと手を私の手に重ねてきた。


――「美春だってそうじゃんか…。

一つ年が上だからっておねぇちゃんぶっちゃって…。」


彼女も雷は嫌いな筈だ。何故なら彼女の手も雷鳴が響く度に小さく震えているのだから。


――「夏海よりかは、ましだよ?

私は夏海の側にいるから怖いのも飛んでっちゃったよ。

夏海の前じゃ先輩ぶってても、意味ないし…。」


彼女はみんなの前では良き先輩だが二人っきりになると、よく、甘えてくる。

だから、二人っきりの時は先輩って言わずに『美春』って呼ぶんだ。付き合い始めた時から変わっていない呼び方だ。


――「夏海、ちょっとこっち向いて」


何かを思い付いたように、悪戯っ子のような笑みで私を呼ぶ。

振り向くとそこにはキーホルダーのくまがいた。


――「夏海ちゃん雷怖いのかな?なら僕が一緒にいるよ。僕と一緒なら怖くないよ。

なんてね、誕生日もうすぐでしょ?近いうちに渡そうと思って持ってきてたんだ。まさか今日渡すことになるとは思って無かったけどね。」


キーホルダーのくまになりきって、美春は私を励まそうとしてくれた。思わず泣きそうになったのだが、私も美春に渡す物がある。


――「美春ちゃん。夏海はもう雷は怖くないって。美春ちゃんがいてくれたお陰だよ。

ふふ、美春にも誕生日プレゼント。自分の誕生日忘れてたでしょう?うさぎのみーくんだよ。美春の事を私の代わりに守ってもらうんだ。」


お互いの誕生日が近い事もあり、プレゼントを交換しあった。

外をふと見ると雷も、雨も、止んでいた。

お互いに顔を見合わせて、『帰ろうか』と呟いた。


――「せーんぱい!ふふ。大好きだよ。」


彼女は驚いた表情をしたのだが、段々と笑い小さな声で


――「私もだよ。こーはい。」


そう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ