表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

オタクとギャルと……

作者: 藤沢正文



「あのさー」



 その女学生は、指で自分の髪を弄りながら気だるそうに話しかけてきた。



「なななな、なんでしゅか!?」



 いつもならば紳士に返事を返しているのだが、突然の事もあり返事を噛んでしまった。まさか彼女の方から僕に話しかけてくるとは思ってもみなかったからだ。


 しかし、彼女は何をしてるんだと、ゴミを見るような冷たい視線を僕に向けていた。



「アンタが飲んでるソレ、何?」



 僕の目の前に置かれたペットボトルを指差して彼女はそう述べた。


 眼鏡をクイッと持ち上げ彼女に向かって僕は高らかに声を上げた。



「これは彼の有名なマッドサイエンティストも愛した知的飲料『ドクターペッパー』ですよ!」


「はぁ」



 聞いているのか聞いていないのか、彼女はスマホを弄りながら生返事を返した。



「このドクターペッパー、通称『ドクペ』は1885年にアメリカで発売された炭酸飲料で、最も歴史が古い炭酸飲料なんです!」


「へぇー」


「アメリカでは大人気のドクペなんですが、日本ではこの独特な味わいが功を奏してか余り人気がないんですよねー」


「それって単純にマズイだけだろ」


「なな何を言ってるんですか! ドクペには愛好家も数多くいて、かく言う僕もその一人で……」



 僕が話をしている最中だというのに彼女は徐に僕の目の前に置かれたペットボトルをひょいと持ち上げた。



「ななななな、にゃにをしてるんですかぁ!?」


「何って味見じゃん」



 そう言って彼女は何の躊躇もなく蓋を開けると、僕の飲みかけのペットボトルに口をつけた。



「うげぇーマズッ」


「…………ッ」



 か、関節キス……



 彼女はドクペを一口飲むと、不機嫌そうに顔を歪め僕を睨んだ。



「よくもまぁこんなマジーもん飲めるよなー」


「…………」



 そう言い残すと彼女は再びスマホを弄りだした。僕の手の中には彼女に押し返されたドクペのペットボトルがあった。返されたドクペは少し温くなっていた。



ドクペ美味しいですよねー


僕は大好きですよ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ