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少年Tらの物語(2)

セリフが長くて見苦しい所もあると思いますが、ご了承くださいm(._.)m

村上らは上田に言われた通りにその日の放課後、学校の屋上に向かった。

屋上では上田が先にきて村上らを待っていた。


「言われた通りにきてやったぞ」


「僕なんかを信じてくれて嬉しいよ」


上田が笑みを浮かべて言う。


「じゃあ、早速本題に入ろうか」


「さっさとしろよ」


松下が口を挟む。

相変わらず口が悪いな、こいつ

村上は思った。


「村上君のお父さんは教育委員会の会長だったよね」


「ああ、それがどうした?」


「お父さんの力を借りてもいいかな?」


「どういう事?マジ意味不。ちゃんと話せよ!馬鹿にしてんの?」


「松下、黙れ。黙って最後まできけ」


村上が止めにはいる。


「そーだよ。さっきからいちいちうっせぇよ」


橋本が付け加える。

松下はチッと舌打ちをして上田の方に視線を戻す。


「で?」


村上が上田にきく。


「お父さんの力をかりるっていうのは、関口を停学処分にしてほしいんだ」


「どうやって?」


「僕にはこの傷がある。これを事故のせいで精神不安定になった関口にされた事にするんだ」


「おもしれーんじゃねえの?」


橋本がいう。

上田はこの前、駅のゲーセンで高校生にからまれて背中や太ももなど周りからみても全く気づかない所に何箇所ものあざがある。


「でも、僕だけが先生に言ったところで関口がしたとは限らないから処分はきめにくい。そこでだ…」


「俺らが見たって親父の前で証言したらいいんだな」


「そうだ。そうしたら1週間くらいの停学処分にはなるだろう」


「ウザ田なのにおもしろいこと考えれちゃうんだ。マジうけるー!」


松下が上田の頭を軽く叩く。


「そうしたら、関口は周りから非難を受けて独りになるってわけだな」


「いや、これだけじゃあ足りないだろうね」


「足りない?」


村上、橋本、松下の三人が口を揃えていう。

上田が黙って頷く。


「関口はなかなか周りからの信頼が厚いからね。あまりしゃべらないけれど、しっかり言われた仕事はこなすし優しいからね。しかも努力家。いつもドーナツロードを走っているし、公園でサッカーの練習もしているからね。

みんなFieldイレブンの黒田そっくりだっていってる。そんな謙虚で真面目で周りがよく見えている所からチーム全員の推薦をうけてキャプテンになったらしい」


ドーナツロードとはこの辺り3校区を通っているジョギングロードの事だ。小中学生からダイエット中のおばさん、年をとったお婆さんまで幅広い年層の市民に使われている。道が円の形をしているからドーナツロードと名づけられている。

そしてFieldイレブンというのは、超大人気のサッカー漫画だ。アニメ化に始まり小説化、映画化、ついこの前はドラマ化までされた所だ。黒田はその中ででてくる主人公のチームのエースストライカーで大会でも全く勝ち上がれなかった弱小チームの立役者だ。口数は少ないもののチームメイトから絶大な信頼が寄せられていた。弱小チームながらもメンバーの光る所を見つけ、どんどんレベルアップさせていった。

世間でもとてもファンが多く、大人気だ。


「何が黒田だよ。マジきしょいわあ」


松下が汚いものでも見ているような顔でいう。


「ふーん。で、どうするわけ?」


「うーん。まあ簡単に言ったら、事故はあいつのせいで起こったことにする」


今までになかった緊張感がその場を走る。


「どうやってそんな事するんだ?」


橋本が尋ねる。


「簡単だよ。あの事故で関口以外が死んだ理由は爆発以外にもう一つあったんだ」


「もう一つの理由⁉」


「死体を解剖した結果、薬物の反応がでたらしい」


「死体を解剖⁉」


「薬物反応⁉」


上田に続けざまに質問を浴びせる。


「残酷な話だな。俺らと同い年のやつらが死亡解剖されてるんだぜ…」


橋本がボソッと呟いた。


「おまえ、関口に同情するつもり⁉」


松下が橋本に舌打ちをする。


「別にそーいうわけじゃねえけど」


「おい、上田。薬物反応って何だ?」


村上が話を戻す。


「そう。チーム全員の死亡解剖をした結果、全員から薬物反応がでているんだ。その薬物というのはBMK885。少し毒性があって、体内に入れて数時間たったら顔が青くなり始め、そしてめまい、頭痛、腹痛が起こり、激しく嘔吐する。そこまで強力じゃないし、治療も簡単にで出来るから問題ないらしい」


しばらく間があく。そして上田が続けた。


「これを利用するんだ。ラッキーなことに俺はこの薬を知っている」


「まさか!」


村上がひらめく。あとの2人もなんとなく分かったようだ。


「ご察しの通りだ。その薬は関口がなにかしらチームメイトに飲ませた事にするんだ。薬物反応が出ないのは関口だけだから、怪しまれるのは当然だ」


「やった!勝った!あいつをズタズタにできちゃうの?キャー」


松下が有頂天になる。


「薬なんか使った事になれば、関口は捕まるんじゃないか?」


村上は思った。警察に捕まって少年院なんかに送られてもこっちは全く楽しくない。


「大丈夫だ。身の回りにある特定の洗剤か何かを混ぜれば同じような結果にはなるから罪は問われにくい。毒性が弱いから所詮人なんか殺せない。しかもこれは体内に入ってから効果が出るのがだいぶ遅いから出発前に何者かが仕込んだ可能性もあるから関口が犯人とは断定しにくいんだ。証拠がない今現時点ではな」


「ちぇっ。あいつ少年院おくりに出きねえのー。マジつまんなーい」


松下が口を尖らせる。


「いいじゃねえか。つまり俺らが自由にしてやれるって事だ」


村上がにやけながらいう。


「あ!そっかー!村上天才‼チョー楽しみー!」


「僕の提案には賛成してくれたようだね。じゃあ後は少し作戦を練って実行だ」


上田がちょっと安心したような顔でいう。


村上は自然と笑みがこぼれた。


「俊樹、なに笑ってんだよ。きしょいぞ」


橋本が村上をみていう。


「いいじゃねえか。わくわくしてきてたまんねぇわ」


橋本は村上に針を刺すようなオーラを感じた。正直、一瞬びびったがすぐに気をもどした。そして自分も村上につられて笑った。松下も笑っている。

上田は相変わらずだが。


「お前もわらってんじゃねーか」


村上はニヤつく2人に突っ込んだ。

そしてさらに付け加える。




「関口への制裁…スタートだ」

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