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少年Rの進路

キーンコーンカーンコーン…


今日も6時限の授業を終え、いつも通りに帰路につこうとした時だ。


「おい、関口。あとで職員室に来てくれないか?」


担任にそう呼びかけられた。


「あ、はい」


しぶしぶ昇降口の横を通り過ぎて、反対の校舎にある、職員室に向かう。

良介が歩いていると、前からくる下校生徒にかなり大げさに避けられる。

良介の()は学年中に広がっていた。

だからこんな事なんて日常茶飯事だ。

初めは確かに良介もこたえたが、最近は全く気にしないようになった。

つまり、無関心になったということだ。

人はイジメを受けると自分以外の事に無関心になるのだろうか、良介は前まではあんなに好きだったサッカーや漫画もほとんどしなくなったし、みなくなってしまった。


「おう、関口。待ってたぞ」


「あの、先生。話というのは??」


「あぁ、一度話をした事なんだが高校の事だ」


「一学期の時のやつですか?」


「ああ、そうだ。」


実をいうと、良介は4つの高校からサッカーの推薦が届いていた。そして今、良介はその学校に「行く」と言えば受験免除で入学する事ができる状態なのだ。


「村上や関本はもう進路を決めている事は知っているよな」


あまり聞きたくない名前だったが、顔に出さないように聞き流した。


「お前も来学期の1月までにはに答えを出さなければいけないんだぞ。分かっているよな」


そんな事は言われなくてもわかっている、そう心の中でつぶやいた。

あの事故が起こる前は良介も村上らと同じ戸塚西高校に行きたかった。冬の全国選手権大会に出場しテレビの奥で活躍しているのを見ていた良介は、小学生の頃から憧れていた。そしてクラブチームで近畿優勝を決め全国出場した時、その戸塚西の、スカウトマンに声をかけてもらったのだ。その時の嬉しさは今でもはっきりとおぼえている。


でも今、良介はそんな事 (大事な事だが)をゆっくり考えられる余裕がなかった。村上らや山田先生、吹部軍団からイジメを受けている今、サッカーにも無関心になりつつあるのだ。


「すいません。もう少し考えさせてください。冬休みを終えた時に答えを出しますから」


「そうか。分かった。じゃあ勉強だけはしておくんだぞ。」


「はい」


「視野は広くもてよ。お前なら勉強でもいいとこ行けるんだからな」


良介は少し苦笑いして職員室をでた。




考えておきます、とは言ったが実はほとんど考える気はなかった。なぜなら、もうサッカーは諦めて勉強に専念しようと思ったからだ。サッカーをしてると絶対にあの事故 (事件)やチームメイトを思い出してしまうに決まっているじゃないか、そう思っていた。


「ただいま」


自分にしか聞こえない声で言った。玄関は薄暗くシンとしている。廊下のむこうのドアの奥に灯りがついていた。声が聞こえる。


「ただいま」


リビングの扉をあけ、さっきよりも大きい声でいう。


「あら、帰ってたの?気づかなかった」


その言葉を流しながら、テレビの方へ目をやる。


『高校生から勉強にしぼっていると、社会人になってから、高校のときにスポーツばかりしている人と差がつくんです。スポーツ選手から天才は生まれませんよね、つまりはそういう事です』


あまり周りから好まれないような、近づきにくいような顔のキャスターが話している。


「ねぇ、母さん。この前の冬季講習の件、申し込んどいてよ。サッカーは諦めるから」


「え!?なんで?ま、まさかテレビ?」


「違うよ、もうサッカーには飽きたんだ」


「え… 何かあったの?大丈夫?」


「何にもないし、大丈夫だっての。ただ勉強しておかないとと思っただけだよ」


そう言うと、リビングからでて自分の部屋へ戻っていった。








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