次は実技
「さて、この世界についての説明は終わったから、次は実際に魔法を試そうか。」
そう言って水を飲み干して立ち上がる。
後に続いて着いていくと、ギルドの裏に訓練所があった。
訓練をしている人は全くいない。
「ここは新人が訓練をする所だから、基本的に人はいない。さて、まずは手本を見せるよ。」
右手を平行に上げ、訓練用の人形に手を向ける。
「水よ。」
サーノが声を出すと、右手の前に10cm程の水の塊が現れる。
「行け。」
その言葉に従い、水の塊が人形に向かって飛んでいく。
水の塊は人形に当たると、パシャっと音を立て、人形と地面を濡らして消える。
「今のが属性の基礎魔法だ。ボール系は結構簡単だから、練習してみようか。コツは突き出す手を意識すること。意識すれば、必然的にそこに魔力が集まる。次に、手の平から水が出てくるイメージ。まずそこまでやってみよう。」
言われた通り、右手を突き出し、意識を向ける。
中々意識が向けれない為、眼を瞑る。
右手に意識が向いた為、次に手の平から水が出るイメージを思い浮かべる。
すると、ジョボジョボと水が落ちる音がする。
眼を開くと、手の平から水が出ている。
マ○ックもビックリの現象だ。
「よし、じゃあ次だ。」
サーノの声と手を叩く音に注意が向いてしまい、手の平から出ていた水が止まる。
「さて、体感してもらったように、魔法を使う時は意識を向ける。つまり集中する必要がある。慣れない場合はあの程度の音で集中が途切れるから、後は訓練を重ねるだけだね。」
「サーノのように水を塊にできなかったが、問題無いのか?」
「まずは魔法を使うということを体感してもらったから、ボールにするのは今からだよ。次は出す水の量を調整すること。そして、それをまとめて塊、ボールにする。聞くだけなら簡単だよ。でも、やるのは難しいよ。まぁ、魔法を体感すること自体、『名も無き世界』から来た君には難しいんだけど。」
その割には簡単に水が出せたぞ?
「顔に出てるよ。それだけ素質があるんだ。魔力も桁違いに多いし、世界最強の魔法使いって名乗れるかもね。」
「悪いが、そんなものを名乗る勇気は無い。名が売れれば余計な争いを生むし、名を語るバカは必ず現れる。そいつらの尻拭いな御免だ。」
「確かにそれは否定できないね。名を語る偽者は大抵実力の伴わない奴等ばかりだからね。」
何だか遠い目をしているが、昔に問題に巻き込まれたのだろうか?
「それは置いといて、訓練を続けてみよう。次はさっきも言ったようにボールを作る練習だよ。優なら簡単に出来ると思うから頑張ってね。僕はギルドの仕事があるから戻るね。」
「ありがとう、サーノ。分からない事があったら聞きに行く。」
「分かった。ギルドの受付にいると思うから、聞きに来てくれ。」
そう言って、サーノは訓練所から消えていった。




