ヴィナの心境
お久しぶりです。
新年初の投稿となります。今年もよろしくお願い致します。
ツヴァイ・ナ・ウェイという名を聞いたヴィナは、唇を噛んだ。
聖教において、大きく2つの派閥が存在する。
革新派と呼ばれる、聖教を信仰する者ならば、例え魔族であろうと、その者は聖教の一員と考える、言わば穏健派。
そして、保守派と呼ばれる、聖教は人が信仰するべき者であり、亜人や魔族は滅ぶべきだと考える、過激派。
その過激派のリーダー格が、ツヴァイ・ナ・ウェイである。
魔族を滅ぼす為に魔大陸へ進出すべきだと唱え、多くの冒険者を私兵団として雇い入れている。
その為、レイシスの事を良く思っておらず、何度か闇討ちを行っていた。
もちろん全て返り討ち(一部の者は機嫌が悪い時に行い、とある穴に折られた武器の柄を入れられた状態でウェイ家の前に転がされていた。)だった。
そんな事は公になっていないが、ほとんどの貴族の耳に入っており、他の貴族はレイシスに手を出す事を控えていた。
また、この一件についてツヴァイを落とそうとする者は皆無であった。
なにせ、ウェイ家は侯爵家。
つまり、王族を除けば最高位の爵位を持つ事になる。
下手に刺激すれば自分の立場が悪くなる為、例外を除いてその件に触れる者はいなかった。
もちろん、例外とはレイシスだ。
例の闇討ち達が出来上がった翌日、教会に来ていたツヴァイとレイシスが出会ってしまった。
いつもなら、ツヴァイがレイシスに嫌味を言って、レイシスが謝辞を返してツヴァイが不機嫌になって別れていくが、その日は違った。
開口一番に、「昨日の奴等は大丈夫だったか?」と闇討ち達の安否(特に穴)を確認した。
あれではトイレが大変だろうとか、変なモノに目覚めなかったか等。
顔を真っ赤にしたツヴァイは、何も言わずにその場を去った。
後日、色町に男娼を探す者がいたが、それは別の話である、はず。
ヴィナは、何度か闇討ちの件でツヴァイを責めようとしたが、確たる証拠も無く、さらにはレイシスから暇つぶしが無くなると言われ、責めるに責めれずにいた。
そして半年前、三大王助であるレイシスの行方がわからなくなり、調査を行なった。
この世界では、DNA鑑定などが無いが、魔力で個人を見つけ出す事が出来る。
すぐに神殿にある探知機でレイシスの居場所を探すが、もちろん見つける事はできず、暫定的にメイアが三大王助を務める事となった。
もちろん、レイシスの件でツヴァイに追求したが、知らぬ存ぜぬで答えることは無い。
むしろ、半年後に勇者召喚があるにも関わらず、行方を眩ますなど、三大王助としてあるまじき事だ。その娘であるメイアなどではなく、他の者を三大王助に就かせるべきだというしまつだ。
それでも、過去からの規則であり、三大王助の一人は、教皇が自ら隣に立って欲しいと願う者を任命するとある。
これは、その責務故に心が折れる事を危惧して作られたものである。
事実、過去に心を病み、その責務をまっとう出来ず、教会の戦力を戦争に使おうとした、文字通り狂皇がいた。
そのような過去がある為、歴代の教皇は、己の親友や伴侶を。
また、ある者は自らの政敵と呼べる者を任命していた。
その為、ヴィナはレイシスの後任として、姉妹のように育ったメイアを任命したのだ。
故に、その事が許せなかった。
孤児である自分を、本当の子のように育ててくれたレイシスに、そのような仕打ちをしたツヴァイが。




