その者の名は
「どういう、事だ。」
ツツームの言葉に、メイアは驚いている。
「1年前、俺達は姉御を襲った事がある。まぁ、もちろん返り討ちになって、相手が悪かったなって笑いながら見逃されたよ。それから、何かと理由を付けて、俺達に会いに来たよ。」
「1年前か。確かに、その頃はよく出かけていたな。」
ツツームの言葉が正しい事を証明するように、メイアが言う。
「半年前だ。いつものように姉御が来たと思ったんだ。だが、来たのは姉御じゃなく、知らねぇ奴らだった。最初は俺達を討伐に来た冒険者かと思ったんだ。言っておくが、俺達だってこんな事して生きてるから、それなりに実力はある。だが、明らかに手練れで、全員動けなくなると、縄で縛られて、何人か腹を刺された。致命傷でも何でもねぇんだ。そいつら、俺達の血を使って、地面に何か書いてよ。そしたら姉御が来て、そいつらが言ったんだ。『こいつらが大事ならその陣の上に乗れ』って。姉御なら俺達を傷付けずに勝てると思ったんだが、そいつらの言う事を聞いて、陣の上に立ったんだ。すると、陣が光って、姉御が消えちまった。そいつらは、姉御が消えると、俺達には眼もくれず、どこかに行きやがった。全員ローブで顔を隠していたが、一人だけ顔が見えた。間違いなくあれは、ツヴァイ・ナ・ウェイだった。」
「何だと!」
メイアが声を上げ、ヴィナは唇を噛む。
「それから調べたさ。あの陣が、禁呪の類いだって分かった。効果は対象を異なる世界へ送り飛ばすというものだ。どの世界へ飛ばされたのか。それは誰にも分からないし、呼び戻す手段も分からない。だから、今回の依頼を受けた時、両手を挙げて喜んださ。あの野郎に仕返しができるってな。」
ツツームが受けた依頼の内容は、聖教が所有する馬車が通った時に、馬車を襲い、中にいる青い髪の男を殺して欲しいというものだ。
もちろん、聖教に青い髪の男は何人もいる。
ツヴァイもまた、青い髪をしているが、その情報だけでツヴァイと判断するには決め手に欠けている。
しかし、
「使いを名乗る男が言ったんだ。『その男が消えれば、我が主の聖教に置ける地位は確実なものとなる。成功すれば、我が主が、貴様らの後ろ楯になる事もありえるぞ。』ってな。だから俺は、依頼の殺害対象が、聖教の三大王助である、ツヴァイ・ナ・ウェイだと判断して、依頼を受けたんだ。」
聖教における地位は、実際の教会のものと異なります。
三大王助。これは作者が勝手に考えたモノです。
意味としては読んで字の如く、王を助ける三人を表します。




