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閑話 柿野瀬 優

本日2話目です。

 柿野瀬 優という人物を親しい者に語らせれば、間違いなく異常だと答えるだろう。

 容姿は人並み。学力に関しても人並み。だが、身体能力に関しては人並みではなかった。

 否、身体能力以外でも、その思考は狂っていた。

 否、壊れていたと語るが正解なのかもしれない。

 中学の頃は、我の強い者に絡まれたり、何度か喧嘩を売られたりしていた。

 高校に入り、その頻度はさらに増えた。

 入学式当日に幼なじみが絡まれ、即返り討ち。

 翌日からお礼参りのオンパレードで、入学わずか2日で学校一の有名人となり、3日で停学となった。

 本来ならば退学もあったのだが、先に手を出したのは相手側であり、それを教師が見ていた。

 翌日のお礼参りに来た者達との乱闘後に学年主任が現れ、正当防衛でもやりすぎだと注意をする。

 相手は骨が折れ、地面に踞っている。

 優は殴られた痕があるものの、何事も無かったように立っていた。

 相手の親が学校に来て、優を退学させろと喚いていたが、複数の生徒や教師が見ていた事もあり、優が退学する事はなかった。

 停学が開けて登校すれば、周りは腫れ物を触るような態度である。

 だが、それを平然と受け止めてまるで何事も無かったかのように高校生活を続けた。

 学年が上がる度に、新入生に絡まれる。

 その半分は、学校を締めようと息巻く者で、学校一の不良と噂される優に喧嘩を売りに来る。

 もう半分は、幼なじみに一目惚れをしたあげく、優が学校一の不良だと噂を聞いて、貴様に彼女は相応しくないと言われるのだ。

 その都度付き合っていない事を説明する。

 それでも絡んでくるバカは実力で追い払うが、その都度教師から事情の説明を要求される。

 教師も優が絡まれる被害側の立場で有ることは理解しており、学校で優が絡まれるのは、『異常』ではなく『通常』となっていった。

 その為、2年に成って新入生から絡まれた時は、勘違いな事を考える奴が現れたという認識だったが、3年に成った時に絡んできた新入生に対しては、今年もバカが来たという認識になっていた。

 そして、それは大学でも同じ事だった。

 恒例のように絡まれる幼なじみ(恋人)をナンパから引き離すと、勝手に逆上して殴りかかってくる。

 後はいつものように沈めて優の名が広まる。

 空手サークルからは、何故か熱心な勧誘があったが、入る事はなかった。

 そんな中、親友と呼べる者が出来、そして事件が起きた。

 ついにと、多くの者が思った。

 優の親友が誰かに襲われ、大怪我を負った。

 第一発見者は優。

 否。第一容疑者は優だった。

 もっとも、犯人は大学入学後に幼なじみをナンパした者だとわかり、すぐに優の容疑は消えた。

 それでも周りの白い眼が消えること無く、幼なじみに迷惑をかけれないと、別れた。

 大学も自主退学し、携帯も解約した事で家族と連絡を取る事もなく、田舎で暮らしていたが、レイシスと出会って、多少人間らしさが戻った。

 そう、レイシスと出会ってようやく人間らしくなったのだ。

 高校の頃から笑わず、陰では化け物と呼ばれていた。

 そしてレイシスと出会い、笑うようになった。

 それが柿野瀬 優という人間だ。

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