アジト
お久しぶりです。
たどり着いた先は洞窟だった。
「助かった。ありがとう。」
そう言って、グレンを送還する。
契約を行った魔物がどのように召喚・送還されているのか、解明されていないものであるが、そういうものだと認識されている。
グレンに離れた場所で降ろしてもらい、身体強化をして一気に入り口まで走ってきた。
見張りはすでに始末してある。
叫ばれないように喉を潰してから氷柱で心臓を貫く。
殺した後に、メイアから大丈夫かと問われた。
殺す事には躊躇したが、吐く事はなかった。
もっとも、かなり青い顔をしており、メイアに心配された。
洞窟の中に入ると、足音が吸い込まれるように消えていく。
本来、こういった場所では無駄に響くはずなのだが。
「どうやら、消音の魔法がかけられているな。これでは奇襲をしてくれと言っているようなものだぞ。」
「メイアさん、遠くから固定の場所を見張る魔法や魔道具ってありますか?」
「! そういう事か。ならば洞窟に掛けられた消音の魔法は。」
「侵入者に奇襲する為のものですね。」
確かに視界の悪い洞窟などで音を消して近づくのは有利といえる。
だが、あまりにも相手が悪かった。
レイシスのせいで無駄に気配察知の能力がある優と、世界でも有数の力を持つメイア。
その気になれば、街の1つや2つ簡単に落とすレベルの存在が2人。
だが、この洞窟の主達はそんな事を知らず、指定された場所、つまり奇襲に適した位置についている。
メイアの魔法で洞窟の中を照らしながら進む。
奇襲を仕掛けた一人目は、氷の壁にぶつかり、体勢を崩した所を仕留める。
次は二人組だった為、片方の足を凍らせて動けなくして、奇襲を仕掛けてきた方を一人目と同じように仕留める。
残った一人も同様に仕留め、奥へと進む。
別れ道などなく、一本道だ。
そしてすぐにに奥に辿り着いた。
中央に座っていた男が立ち上がり、こちらに向かって歩いてくる。
年は40手前程で、座っていた位置からするに、この男がリーダーだろう。
男はメイアを見ると、驚いて何か言ったが、聞き取る事は出来なかった。
頭を左右に振って、落ち着いたのか、こたらに顔を向ける。
「ようこそ、俺達のアジトへ。俺が頭のツツームだ。ここには何の用があって来た? 盗みや殺しの依頼か? 俺としてはそれだけの強さを持っているから、仲間になってほしいところだが。」
ツツームと名乗る男が問いかけると、メイアが前に出る。
「聞きたいことがある。先日、この付近で私の友人が何者かに襲われた。そして、ある筋からここにいると情報をえた。空色の髪をした女性だ。ここにいるのは間違いないか?」
メイアの言葉を聞いたツツームは、苦い顔をして答えた。
「あぁ、ここにいるよ。あの嬢ちゃんの友人ってことは、アンタがメイアさんかい?」
「あぁ。」
メイアが頷く事を確認したツツームは、はぁ、と溜め息を吐く。
「エギ、あの嬢ちゃんを連れてこい。」
ツツームは近くにいた者に指示を出し、指示を受けたエギと呼ばれる男が奥に向かった事を確認すると、深々と頭を下げた。
「頭!?」
いきなり頭を下げたツツームに、仲間が驚いて声を上げる。
「まずは謝罪をさせてくれ。いくら騙されたといえ、聖教のトップを襲った事に変わりはねぇ。事情も全て話す。だから、こいつらの命は助けてくれ。」
「ふざけるな! どのような理由であろうと、貴様らがヴィナを襲った事に変わりはない! もしもヴィナに傷の一つでも着いていろ。楽に死ねると思うなよ。」
膨大な魔力を解放しながら脅しをかけるメイアに、ツツームは奥歯を噛み締める。
メイアも魔力を抑えるつもりは無いようで、魔力に当てられた者達の顔色が青くなっている。
いつまで続くのかと思っていると、救いの声はすぐにやって来た。
「メイア!」
空色の髪をした女性が、メイアの名を呼びながら奥から現れた。
三連休で休みが無いのは自分だけで無い事が精神の支えになっています。




