願い
「先程王都より、全ギルドへ緊急の連絡が入りました。勇者召喚に伴い王都へ向かっていた聖教の教皇が、道中何者かに襲われたというものです。」
受付の説明に、優は息を飲む。
教皇。
つまり、聖教のトップに位置する人物が襲われたのだ。
よくあるお忍びの途中で襲われたのならいざ知らず、公の行事で姿を現す以上、例外なく護衛が付くはずだ。
「護衛はいなかったのですか?」
「本来なら、私が護衛で付くはずだったわ。でも、こうして貴方の調査に来てしまったから、他の者が付いているはずよ。」
手から血が流れる程強く握りしめている。
優は知らないが、メイアは教皇であるヴィナと姉妹の様に育っている。
自分が付いていればと何度も思った事だ。
しかし解せない。
護衛が付いていながら襲われたという事は、余程の手練れという事だろう。
または、内通者がいるかのどちらかだ。
「連絡が入ってから5分も時間は経っていないが、襲われて王都へ連絡が入るまでを考えると、すでに1日以上は経過している。万が一教皇様の身に何かあればと思った矢先、貴方が採取した中に『命の葉』があると聞いてな。もし可能であれば、一枚売ってもらえないかと思ってな。」
「え? 必要なら持っていってもらって構いませんよ?」
「は?」
優の言葉に、流石のメイアも間の抜けた声を上げた。
「先程も言いましたが、僕はレイシスさんに返せない程の恩があります。レイシスさんが亡くなってしまった以上、その恩は娘である貴女に返します。それより、教皇様を探すのに何か手伝える事はありませんか?」
「あ、いや、手伝いはおそらく無いが、本当に良いのか?」
「はい。あと2枚もありますし、それに、嫌な言い方ですが、後ろ楯ができれば、何かあった時に助かりますので。」
そう言って、受付が出した『命の葉』を、メイアに渡した。




