命の葉
白金貨3枚。
受付の言葉にまず頭が追いつかない。
次にサーノに教えてもらった白金貨の価値を思い出す。
白金貨1枚で、およそ1億円。
某CMのマスク男が言っている金額の1.5倍である。
「先程も言いましたが、白金貨3枚は『命の葉』の最低価格であり、ここからさらに増える可能性が有ります。いえ、間違いなく増えるでしょう。死の淵に立たされた者を救い、不治の病を治す。一説には死者さえ蘇らせると言われる程の物です。オークションに売り出せば、1枚に白金貨5枚は付くでしょう。」
説明する受付の声と手が震えていた。
それもそうだろう。
ギルドで働く者の給金は、月に銀貨20枚程。
その1500倍(最低価格)の物を触っているのだ。
1枚で最低3億という『命の葉』の価値を未だに把握しきれていない優と違い、もしも傷付けてしまったら3億が価値を無くすという恐怖に襲われているのだ。
いきなり渡された訳の分からない物に億単位の価値が付いていれば、誰だろうと恐怖を感じる。
「ネノさん。聞きたいことがあるんですが。」
「何だい?」
「質問は2つです。まず、こう言った稀少価値価値のあるものは、地位のある王族などに献上するべきか。もう一つは、何故薬草ではなく毒草の変異種がそのような効果をもたらすのか。」
「まず一つ目だけど、そういった義務は無いわ。そんな事をするのは、覚えを良くしたい貴族くらいのものよ。冒険者なら、まず自分に必要な物を揃える為にお金が必要だから、売って手持ちを多くするか、万が一の時に備えて自分で持っておくべきね。もう一つは、毒草と薬草が同じ物だからよ。」
「同じ、ですか? ですが、薬草は毒消しの効果があると。」
「えぇ。正確には、時間が経った薬草は、形を変えて、その効果を変質させてしまうの。過ぎた薬が毒となるように、時間が経った薬草もまた、毒草へと変わってしまうわ。その中で、本来なら毒草に成るはずの薬草が、何らかの要因を受けて『命の葉』に変わるわ。その要因は全く不明なのよ。優、貴方が採取をしたなかで、他の草と違ったモノは無かったかしら?」
「いえ、特にコレといったモノはありませんでした。」
「そうですか。」
どこか残念そうにネノがつぶやく。
「もしかして、何かあったんですか?」
その問いに対して、沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは、ネノでもメイアでもなく、受付だった。




