大変な事
「大変な事になりましたね。」
「はい。」
ネノとメイアはギルドの一室で話をしていた。
ザバは優を挑発し、怒りを買った失態から、ギルドの雑務を言いつけられている。
否、正確にはザバに話を聞かせない為に遠ざけている。
ザバはレイシスを『聖教』と認めない派閥の一員であり、それ故にレイシスをゴミと言い放った。
「まさか、母様が別の世界へ『トリップ』していたなんて。」
「えぇ。そして、そこで優と出会っていた。これはもはや運命としか思えません。そして、魔物が逃げ出すという事が事実だとすれば、彼は間違いなく。」
「それはない。教皇様は、彼女と予言されたもの。彼ではないわ。」
ネノの言葉を遮って、メイアは否定する。
「一度、彼を教皇様に合わせた方が良いかもしれないわ。」
その言葉にネノが驚いてしまう。
「ヴィナにですか?」
「はい。教皇様なら、彼に危害を加える事はありません。それに、彼の身を保証してくださるかもしれません。」
確かに、教皇であるヴィナならば優に危害を加えることはないだろう。
ましてや、親のように接していたレイシスの最後を見届けた優を無下に扱う事はないだろう。
それこそ優を擁護する事になるかもしれない。
それでもネノは、これ以上優をこちらに引き込む事を良しと思えなかった。




