ランク決め (契約)
落雷の轟音と振動が止み、そこには黒い物体が存在した。
光沢のあった黒い鱗は剥がれ落ち、落雷の熱で焦げている。
「タフだな。」
落雷を生きている黒龍に対し、驚きを隠せない。
もっとも、ろくに動けそうにない。
「く、化物め。」
「化物でけっこう。自覚ならある。さてと、じゃあこちらの質問に答えてもらおうか。お前はレイシスさんの娘がどこにいるか知っている。どうだ?」
「いかにも。我は『銀のメイア』がどこにいるか知っている。」
「ならば俺をそこへ連れていけ。」
「それは、貴様に仕えろということか?」
「仕えたいのか?」
「優と言ったな。我は貴殿に負けた身だ。敗者は勝者の物である。我に名は無い。好きに呼ぶがよい。」
黒龍の問いに対し、黒龍の意思で決めろと返すと、黒龍は無理に身体を動かし、頭を垂れる。
「空の覇者にて龍の王たる黒龍が、優を主人と認め、ここに忠誠を誓う。」
その言葉と共に、優の左手の甲に契約の印が現れる。
「今より我が身、我が魂は優の物となり、我は優に服従する。」
「わかった。では名も無き龍の王よ、俺は貴方をグレンと呼ぼう。それと、服従ではなく対等な存在として扱わせてもらう。まずは傷を治そう。」
そう言って、グレンの頭に手をかざし、グレンに魔力を流し込む。
すると、焦げていた皮膚や剥がれ落ちていた鱗が再生する。
「とりあえず、一度街に戻るとしよう。明日、レイシスさんの娘に会いに行く。明日またここに来る。」
「いや、その必要は無い。その印に魔力を流し、我を呼べば主人の側へ現れる。遥か昔に失われた技法だが、『トリッパー』により呼び起こされた邪法の一つだ。」
「邪法? よくある召喚じゃあないのか?」
「いかにも。されど、この邪法は契約を結んだ者を無条件で呼び出す。奴隷を身代わりにして逃げ出す事も、街中で魔物を放すことも出来る。」
前者であれば非人道的であり、後者であれば間違いなく多くの犠牲を出すだろう。
「ならば、俺のこれも隠した方がいいのか?」
「いかにも。もしも見つかれば、厄介な事になろう。」
あぁ、厄介な事になった。




